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新版 トルコ民族の世界史

新版 トルコ民族の世界史

A5判 232ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2809-4 C3022
奥付の初版発行年月:2022年05月 / 発売日:2022年05月中旬

内容紹介

イスラーム世界を理解するためのキーワード

▼騎馬遊牧民族に起源をもつトルコ民族と先住民族との時間的・空間的な関わりをダイナミックに分析し、クルド人問題、ナゴルノ=カラバフ紛争など、トルコ周辺の民族やナショナリズムの諸問題を歴史的な視点から見渡していく。
▼トルコ周辺の複雑な問題について政治的手法、国際関係の視点から検討する類書は多いが、過去にさかのぼりその根にある問題について歴史的な分析をとおして検討しているのは本書だけ。
▼新版では、直近20年の情報をアップデート。
▼文献案内も更新し、より深い学びへの入り口となっている。

著者プロフィール

坂本 勉(サカモト ツトム)

慶應義塾大学名誉教授
専攻:近代イスラーム社会史・経済史、トルコ民族史。
略歴:1945年生まれ。1969年慶應義塾大学文学部東洋史専攻卒業。1975年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。慶應義塾大学文学部助手、助教授、教授を経て2011年より名誉教授。1976-78年テヘラン大学・ケンブリッジ大学中東センターに留学、1987-89日本学術振興会西アジア地域センター派遣研究員およびアンカラ大学言語・歴史・地理学部講師としてトルコに滞在、1999-2000年ボアジチ大学(イスタンブル)文理学部訪問教授。
主要著作:『イスタンブル交易圏とイラン』慶應義塾大学出版会、2015年、『日中戦争とイスラーム』(編著)慶應義塾大学出版会、2008年、『ペルシア絨毯の道』山川出版社、2003年、『イスラーム巡礼』岩波書店、2000年、『イスラーム復興はなるか』(共編著)講談社、1993年、『近代日本とトルコ世界』(共編著)勁草書房、1999年、『井筒俊彦とイスラーム』(共編著)慶應義塾大学出版会、2012年など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 イスタンブルに民族の問題を見る
 コスモポリタンな国際都市イスタンブル
 イスタンブルに押し寄せるイラン人
 社会主義体制崩壊の余波
 経済の要となるイスタンブル
 留学生を通じた交流の拡大
 ボスニアを助けるトルコ
 シリアからの難民問題
 二つの顔を見せる民族の問題
 トルコをキーワードにしてみる民族
 トルコ民族史観の独善性を排す
 COLUMN:トルコ系諸民族はどの程度、意思の疎通が可能か?

第Ⅰ章 トルコ民族とは何か
 二重の意味をもつトルコという言葉
 トルコ民族の外貌は同じでない
 民族をくくる基準
 民族の鍵となる言語
 オルホン碑文の発見
 フィンランドの民族精神
 トルコ民族の故郷はモンゴル高原なのか
 中国王朝のトルコ民族情報――鉄勒
 ビザンツ帝国のトルコ民族情報――ブルガロイ
 語族は民族なのか
 民族移動によって生み出される多彩なトルコ系諸民族
 COLUMN:ユダヤ人に改宗したハザール

第Ⅱ章 ペルシャ=イスラーム世界への道
 ペルシャ=イスラーム世界とは何か
 トルコ系遊牧民の侵入
 『シャー・ナーメ(王書)』が暗示するもの
 言語的に自立する中央アジア
 イスラームへの改宗
 シャマニズムの世界観
 シャマンはスーフィーに通じる
 スーフィー教団の発展と変質
 分裂するイスラーム教徒としての意識
 血縁,地縁に根ざす帰属意識
 COLUMN:トルコ民族の郷土 トゥラン

第Ⅲ章 東方キリスト教世界のトルコ化
 多言語,多宗教のなかでの民族形成
 文化的変容が及ばないアラブ世界
 イコノクラスムから見る東方キリスト教
 イスラーム化の先頭に立つスーフィー
 キリスト教の影響を受けたベクターシュ教団
 バルカンのイスラーム化
 ボスニアの異端キリスト教
 イスラーム化の理由
 アナトリアで進展するトルコ化
 宗教別につくられたミッレト
 イスラーム教徒としての意識の強さ
 COLUMN:ドリナの橋

第Ⅳ章 未完のトルキスタン国家
 近代におけるトルコ民族世界のナショナリズム
 帝政ロシアの征服と支配
 クリミア・タタール出身の先覚者
 中央アジアに波及するジャディードの運動
 堕落するミール・アラブ神学校
 パン・トルコ意識を生む共通トルコ語
 トルキスタン人意識はチャガタイ・トルコ語から
 民族の叙事詩『アルパミシュ』
 ロシア市場に直結する中央アジアの綿畑
 フェルガナ盆地に集中する矛盾
 ロシア革命に夢を託す中央アジア
 コーカンドに集まるトルキスタン人
 バスマチのゲリラ運動
 民族的境界画定
 変質する現代の民族主義
 COLUMN:イスラーム世界の神学校

第Ⅴ章 アゼルバイジャン 二つの顔
 二つのアゼルバイジャン
 帝政ロシアの征服
 言語ナショナリズムの父
 ザカフカスのモリエール
 イラン・アゼルバイジャンの状況
 民族主義の二つの潮流
 石油ラッシュに沸く町
 バクーの光と影
 政党が乱立するバクー
 バクー・コンミューン
 民族主義政権の興亡
 民族主義の復活とナゴルノ=カラバフ紛争
 根が深い民族の憎悪
 COLUMN:石油で財をなしたグルベンキアン

第Ⅵ章 変転するトルコ人の民族意識
 ミッレト制の解体から生まれてきた民族
 バルカン諸民族の独立
 役に立たない「防衛のナショナリズム」
 トルコ民族史の開拓者
 言語の改革家シェムセッティン・サーミ―
 オスマン・トルコ語の改革
 文化をキーワードにしてみたジヤ・ギョカルプ
 青年トルコ人革命
 肥大化するトルコ民族主義
 エンヴェル・パシャの野望
 オスマン帝国分割の危機
 アナトリア・ナショナリズムへの道
 クルド人の挑戦
 COLUMN:トルコ民族の心 英雄叙事詩

終 章 灰色の狼はよみがえるのか
 チルレル首相の発言
 シンボルとしての灰色の狼
 一国ナショナリズムに固執するトルコ
 旧ソ連邦トルコ系諸国家の事情
 経済進出に意欲的なトルコ
 苦しいトルコの台所事情
 ヨーロッパに顔が向くトルコ人
 中東イスラーム世界に回帰する人たち
 発展の可能性を秘めたトルコ民族世界の関係
 ゆるい統合に向かうトルコ民族の世界
 COLUMN:石油パイプラインの建設で脚光をあびるトルコ

さらに深く知るための文献案内

あとがき

トルコ民族史 略年表
人名索引
事項索引
図版出典一覧・所蔵元一覧


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