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新世紀のディアスポラドイツ映画史の基礎概念

ドイツ映画史の基礎概念 新世紀のディアスポラ

A5判 282ページ 並製
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-7985-0336-3 C1074
奥付の初版発行年月:2022年09月 / 発売日:2022年09月上旬

内容紹介

本書は、現代ドイツ映画史への手引書である。「移民」「ナチス」「東西ドイツ」を扱った21世紀以降のドイツ映画賞受賞作を取り上げ、現代のドイツ映画が〈ドイツ人のディアスポラ〉という戦後のモチーフをどう描いたのかを解明し、その歴史的変容を解説する。新しい視点でドイツ映画を観るのに最適な一冊。

著者プロフィール

古川 裕朗(フルカワ ヒロアキ)

広島修道大学商学部教授
慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。
大阪芸術大学大学院芸術文化研究科博士後期課程修了。
博士(芸術文化学、大阪芸術大学)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次



  第I部 2000年代
第1章 移民の背景を持つ者(帰還)
1《愛より強く》(2004年/金賞)
――トルコ・ナショナリズムからトルコ・ローカリズムへ――
2 《タフに生きる》(2006年/銀賞)
――「統合の失敗」と「平行社会」――
3 《そして、私たちは愛に帰る》(2008年/金賞)
――左翼テロリズムへの批判――

第2章 ナチ・ドイツ(和解)
1《名もなきアフリカの地で》(2002年/金賞)――故郷の再認――
2《ベルンの奇蹟》(2004年/銀賞)――戦後の世代間葛藤――
3《白バラの祈り》(2005年/銀賞)――天上への回帰――
4《四分間のピアニスト》(2007年/金賞)――自己回帰する天才――
5《ウェイヴ》(2008年/銅賞)――擬似ホームからの帰還――
6《ジョン・ラーベ》(2009年/金賞)――ホームの死守――

第3章 東西ドイツ(再生)
1《階段の踊り場》(2002年/銀賞)――青い鳥症候群――
2《グッバイ、レーニン!》(2003年/金賞)――嘘から生まれた真実――
3《幻の光》(2003年/銀賞)――希望のポツダム広場――
4《何でもツッカー!》(2005年/金賞)――五分五分の決着――
5《善き人のためのソナタ》(2006年/金賞)――アクチュアルな芸術劇場――

  第II部 2010年代
第1章 移民の背景を持つ者(消失)
1《よそ者の女》(2010年/銅賞)
――トルコ的伝統と西洋近代の相克――
2《おじいちゃんの里帰り》(2011年/銀賞)
――血族共同体から歴史共同体へ――
3《女闘士》(2012年/銅賞)――ネオナチの代償――
4《ヴィクトリア》(2015年/金賞)――神としての資本主義――
5《女は二度決断する》(2018年/銀賞)――ネオナチ化する犠牲者――

第2章 ナチ・ドイツ(決別)
1《白いリボン》(2010年/金賞)――破滅への序曲――
2《女闘士》(2012年/銅賞)――金銭教育の末路――
3《コーヒーをめぐる冒険》(2013年/金賞)――過去の弔い――
4《ハンナ・アーレント》(2013年/銀賞)――理解か? 許しか?――
5《さよなら、アドルフ》(2013年/銅賞)――連鎖の拒絶――
6《アイヒマンを追え!》(2016年/金賞)
――「ドイツの誇り」と「ドイツ人の誇り」――

第3章 東西ドイツ(贖罪)
1《東ベルリンから来た女》(2012年/銀賞)――エデンの園の東――
2《誰でもない女》(2014年/銅賞)――「生命の泉」の真実――
3《ヘビー級の心》(2016年/銀賞)――幻のロス五輪――
4《グンダーマン》(2019年/金賞)――東ドイツのボブ・ディラン――




あとがき
作品リスト
索 引


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