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上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで張愛玲の映画史

張愛玲の映画史 上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで

A5判 610ページ
価格:8,800円 (消費税:800円)
ISBN978-4-86283-348-8 C3074
奥付の初版発行年月:2023年01月 / 発売日:2023年01月下旬

内容紹介

張愛玲にとって映画とは、生涯にわたり情熱を傾け、文学的想像力に多大な影響を与えた芸術であった──上海・香港での映画脚本家としての創作から浮かび上がる新しい張愛玲像。

著者プロフィール

河本 美紀(カワモト ミキ)

1978年広島生まれ。九州大学、福岡大学非常勤講師。
大阪大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(言語文化学)。
専門は中国語圏の近現代文学、映画史。
主な論文に「張愛玲による映畫脚本「香閨争覇戰」の發見」(『日本中國學會報』第74号、2022)、「文学に及ぶ政治的規制ケン・リュウ(「紙の動物園」)の中国語バージョンを例に」(『立命館文學』第667号、2020)、著書に『中国20世紀自伝回想録解題集』(共著、中国文芸研究会、2022)、翻訳に『アジア現代女性史第9巻 憤れる白い鳩 二〇世紀台湾を生きて六人の女性のオーラルヒストリー』(共訳、明石書店、2008)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例

序章 張愛玲と映画
一 小説家としての張愛玲
二 映画脚本家としての張愛玲
三 本書の目的と構成

第一章 シネフィルとしての映画体験─一九三〇年代
一 映画の街に生まれて
二 ハリウッド映画への心酔
三 映画スターとアニメーション
四 香港での大学生活

第二章 日本占領下の上海での活躍
一 映画評論家としてのデビュー
二 日本映画を観る
三 小説家としての活躍

第三章 一九四九年前後の上海文芸界と張愛玲
一 張愛玲の「戦後」
二 『不了情』〔一九四七〕
三 『太太万歳』〔一九四七〕
四 上海映画界の再編成
五 収縮する文化空間からの脱出

第四章 ディアスポラたちの映画─張愛玲と国際電影懋業有限公司
一 宋淇と鄺文美
二 共産党政権下の中国映画・ソ連映画の記憶
三 香港の映画
四 シンガポールの映画
五 国際電影懋業有限公司
六 香港での再会
七 米国での生活

第五章 ロマンティック・コメディ 『情場如戦場』〔一九五七〕
一 制作の過程
二 英国演劇 FrenchWithoutTears から『情場如戦場』へ
三 踏襲・アレンジ・創作
四 スクリューボール・コメディとしての造形

第六章 ロマンティック・コメディの変奏
一 『人財両得』〔一九五七〕
二 初期の『国際電影』にみる張愛玲像
三 『桃花運』〔一九五九〕
四 形にならなかった作品
五 香港の映画界における脚本家の待遇

第七章 ロマンティック・コメディ『六月新娘』〔一九六〇〕
一 英国演劇 WhiletheSunShines と比較して
二 踏襲・アレンジ
三 張愛玲による創作
四 映像との違い
五 映画脚本と小説の関係

第八章 香港映画界の狭間に
一 西海岸での生活
二 台湾へ
三 『紅楼夢』を巡る制作競争

第九章 シチュエーション・コメディ ─「南北」シリーズ
一 宋淇脚本の『南北和』 
二 『南北一家親』〔一九六二〕 
三 『南北喜相逢』〔一九六四〕 

第一〇章 東アジアに伝播したハリウッド・ファミリー・メロドラマ 『小児女』〔一九六三〕
一 『小児女』について
二 ハリウッド・ファミリー・メロドラマの視点
三 上海映画の記憶

終章 北京語映画の衰退と香港映画の誕生
一 斜陽化する電懋
二 『一曲難忘』〔一九六四〕
三 『香閨争覇戦』〔未制作〕
四 『魂帰離恨天』〔未制作〕
五 後期の『国際電影』にみる張愛玲像
六 北京語映画の終焉
七 余話
八 自らを主役に

図版出典一覧
参考文献
あとがき
索引


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