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国語からはじめる外国語活動

国語からはじめる外国語活動

B7 288ページ 並製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-7664-1657-2 C0037
奥付の初版発行年月:2009年09月 / 発売日:2009年09月上旬

内容紹介

「春子さんは冬子さんと秋子さんに会いました」をふた通りに解釈できますか。

 主語、動詞、目的語あるいは人称や数(性)、時制や相(アスペクト)、句や節(修飾)といった概念をしっかりと把握できなければ、外国語だって理解できません。
 外国語学習を進める上で大切なことは、日本語力。本書は、英語と国語の授業を連携させることの重要性を説き、英語の知識を整理しながら、日本語について「再発見すること」を目指します!


【編著者】
森山 卓郎(もりやま・たくろう)
京都教育大学教授。1960年3月京都市生まれ。大阪大学大学院博士課程修了(学術博士)。専門分野は日本語学(特に文法論やコミュニケーション論)。言葉という観点から国語教育についても研究を進め、国語の教科書にも関わっている。著書に、『日本語動詞述語文の研究』(明治書院)、『ここからはじまる日本語文法』(ひつじ書房)、『コミュニケーション力をみがく』(NHK ブックス)、『コミュニケーションの日本語』(岩波書店)、『表現を味わうための日本語文法』(同)、『音読・朗読入門』(同、共著)、『モダリティ』(同、共著)、『言葉から考える読解力』(明治図書)、『標準日本語 初級』(人民教育出版社、共著)、『標
準日本語 中級』(同)などがある。

【執筆者】(五十音順)
梅原 大輔(うめはら・だいすけ)
甲南女子大学文学部教授。1963年京都市生まれ。大阪大学大学院文学研究科単位取得退学。専門分野は英語学(意味論)。共訳書にジョージ・レイコフの『認知意味論』(紀伊国屋書店)。近年は、英語学習者の持つ言語意識や学習者言語の採集に取り組んでおり、その分野の研究として「英語学習者の英語意識」(『甲南女子大学研究紀要』35号)、「Let’s 構文への文法意識とその習得」(『甲南女子大学研究紀要』43号)、「外国語学習におけるトップダウン処理とL1の影響」(『甲南女子大学英文学研究』オンライン版)などがある。

加藤 久雄(かとう・ひさお)
奈良教育大学教授。1954年名古屋市生まれ。東京都立大学院修士課程修了。専門分野は日本語学。語彙論と文法論について研究を進めている。また、日本語の観点から国語科教育、特に、語彙教育と文法教育について研究を進めている。著書に、『日本語学を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)、『中学校国語 言語指導の方法』(共編著、光村図書)、論文に、「程度副詞の反期待について」(『日本語文法 体系と方法』ひつじ書房)、「品詞学習における学習過程とそのしくみ」(『ことばの論文集』おうふう)、「「橋本文法」の今日的意義」(『日本語学』28-4)、「数量を表す単語の文法性」(『国文学 解釈と鑑賞』74-7)などがある。

児玉 一宏(こだま・かずひろ)
京都教育大学准教授。1964年大阪市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門分野は英語学・理論言語学。著書に、『言語習得と用法基盤モデル』(共著・研究社)、『言語学の領域(I)』(共著、朝倉書店)、『言葉と認知のメカニズム』(編著、ひつじ書房)、『認知音韻・形態論』(共著、大修館書店)、『現代言語学の潮流』(共著、勁草書房)、『他者を見る目』(共著、大阪教育図書)、論文に「言語習得と構文形成」(『言語』第36巻第8 号)、「認知言語学と言語習得?用法基盤モデルと構文習得の研究を中心に」(『英語青年』第148巻第11号)などがある。

菅井 三実(すがい・かずみ)
兵庫教育大学大学院准教授。1965年岐阜県中津川市生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。専門分野は、日本語学・理論言語学。著書に、『認知言語学キーワード事典』(共著、研究社)、『認知言語学への招待』(共著、大修館書店)、『認知言語学のための14章[第3版]』(共訳、紀伊国屋書店)、『ことばをつくる?言語習得の認知言語学的アプローチ』(共訳、慶應義塾大学出版会)、論文に、「現代日本語における格の体系化と認知的分節機能」(『日本認知言語学会論文集』第8巻)、「格助詞『に』の統一的分析に向けた認知言語学的アプローチ」(『世界の日本語教育』第17 号)などがある。

冨永 英夫(とみなが・ひでお)
兵庫県立大学教授。1959年京都市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。専門分野は、英語学・言語コミュニケーション論。著書に、『英語学用語辞典』(分担執筆、三省堂)、論文に「英語総称文の意味について」(『河上誓作教授退官記念論文集』、英宝社)、「情報通信機器を活用した教育の試み?インターネットテレビ会議システムを活用した異文化学習支援の可能性」(『兵庫県立大学経済経営年報』第36号、兵庫県立大学経済経営研究所)、“Rhetorical Devices in Japanese Advertisements: Towards a Taxonomy”(『人文論集』第43巻、兵庫県立大学経済経営研究所)などがある。

濱本 秀樹(はまもと・ひでき)
近畿大学文芸学部教授。1952年和歌山県美浜町生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中退。専門分野は英語学、英語教育学。早期英語教育にも関わっている。著書に『多文化世界の意味論』(松柏社)、『英語のテンス・アスペクト・モダリティ』(共著、英宝社)、『English WOrks』(共著、北星堂)。主要論文は“Irony from Cognitive Perspective”(Relevance Theory-Application and Implications, John Benjamins)、「早期英語教育における発見のプロセスについて?仮説形成推論と認知的方策による解明?」(『英語教育研究』31号)、「仮説形成推論と言語学習」(『文学・芸術・文化』20巻2号)などがある。

森 篤嗣(もり・あつし)
独立行政法人国立国語研究所研究員、小学校国語科教科書編集委員(光村図書)。1975年兵庫県尼崎市生まれ。大阪外国語大学大学院博士後期課程修了。博士(言語文化学)。専門分野は日本語学、国語科教育、日本語教育。主な論文に、「形容詞連用形に後接するスル?サセルの置換について」(『日本語教育』第120号)、「三上章における文法教育観(『国語と国文学』第83巻第8号)、「学校教育における「語彙」の教育」(『日本語学』第27巻第10号)、「書き手の語彙選択が読み手の理解に与える影響?文脈の中での意味推測を妨げる要因とは?」(共著、『日本語教育』第140 号)などがある。

【特別寄稿】
大津 由紀雄(おおつ・ゆきお)
慶應義塾大学言語文化研究所教授、東京言語研究所運営委員長。1948年東京都大田区生まれ。マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院博士課程言語学・哲学研究科Ph.D. 専門分野は言語の認知科学(生成文法)。近著に『「英語が使える日本人」は育つのか?』(共著、岩波書店)、『ことばの宇宙への旅立ち1・2』『探検! ことばの世界』『ことばに魅せられて 対話篇』(ともにひつじ書房)、『英語学習7 つの誤解』(NHK 出版)、『小学校での英語教育は必要か』(編著)、『小学校での英語教育は必要ない!』、(編著)『日本の英語教育に必要なこと』(編著)、『ことばの力を育む』(共著、ともに慶應義塾大学出版会)などがある。

目次

はじめに

特別寄稿 国語教育と英語教育—言語教育の実現に向けて    大津由紀雄

Ⅰ 総論編「国語と英語の連携に向けて」
 外国語活動を支える「国語の力」
 「英語の前に国語」の声に応えられる言語教育とは
 ことばの学習の理論的基盤
 流暢さと正確さの両立を目指す
 早期英語教育における発見学習の重要性
 英語と日本語の「主語」を考える
 「品詞」をどう考えるべきか

Ⅱ 各論編「日本語と英語の違い ここがおもしろい!」
 1.音声のおもしろさ
  「音素」とは?
  アクセント
  モーラとシラブル
  英語話者が苦手な日本語の発音
  日本語と英語の「音」の注意点とローマ字
  つづり字と発音
  英語のカナ表記
 2.文法のおもしろさ
  a とthe の区別
  複数形と総称文
  「仕事は教師です」
  人称代名詞の「重さ」と「軽さ」
  人間だけ特別扱い?
  名詞の数量表現
  不規則動詞はよく使う動詞?
  give は「あげる」とは限らない?
  英語には存在しない日本語の受身表現
  動詞の示す時間幅
  「〜ている」と英語の「進行形」と日本語の方言
  過去を表さない日本語の「過去形」
  can と「〜することができる」
  must と「なければならない」
  SVO1O2 とSVO2 to-O1 は本当に同じ意味なのか
  リンスインシャンプー
 3.語彙と意味のおもしろさ
  季節と言葉 242
  足の指、手の指、ポチのpaw
  擬態語の話
  Yes, No と「はい」と「いいえ」
  身ぶりやしぐさ
  ことばの学習と比喩(1)
  ことばの学習と比喩(2)
  ことばの学習と比喩(3) 
  言葉の多義性

Ⅲ 資料編
 1.外国語活動教室英語フレーズ集
 2.小学校学習指導要領


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