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災害復興法学Ⅱ

災害復興法学Ⅱ

A5判 352ページ 並製
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-2536-9 C3032
奥付の初版発行年月:2018年07月 / 発売日:2018年07月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

「災害復興法学」待望の続刊が登場!

復興の叡智をさらなる復興へ、そして防災・減災へ

企業の事業継続計画(BCP)や防災に関わる人材育成に不可欠な知識を満載。産学官の危機管理担当者必携。

東日本大震災4万件、広島土砂災害250件、そして熊本地震1万2千件の被災者無料法律相談を徹底解析。そこから導き出された法改正や新制度構築に向けた9つの「復興政策の軌跡」と「新たな課題」を描き出す。

防災とは、災害直後の命や財産を守ることに尽きない。助かった命を繋ぎ、希望の一歩を踏み出し、生活や事業を再建する知識の備えをすることも「防災」に他ならない。防災を「自分ごと」にする防災教育の新たなデザインを提示し、「リーガル・レジリエンス(法的強靭性)」の獲得を目指す。東日本大震災をはじめとする大災害からの復興政策の軌跡を防災、減災、危機管理に繋げることが『災害復興法学Ⅱ』のメッセージである。

慶應義塾大学法科大学院で誕生し、同大学法学部でも実践されている、屈指の人気講座「災害復興法学」及び「災害復興と法」の白熱講義の集大成。第1巻『災害復興法学』から4年の歳月を経てついにその続刊が登場。東日本大震災からの7年余りの法制度構築の歴史が前巻と本書に凝縮されている。


目次

プロローグ 復興から復興へ

第1部 災害時のリーガル・ニーズに学ぶ生活再建の知識の備え
第1章 東日本大震災「リーガル・ニーズ・マップ」
 1 無料法律相談事例の分析
 2 リーガル・ニーズ・マップの作成
 3 不動産賃貸借(借家)のリーガル・ニーズ
 4 工作物責任・相隣関係
 5 住宅ローン
 6 震災関連法令(公益支援・行政認定等)
 7 相続
 8 原子力発電所事故等
 9 リーガル・ニーズ・マップや統計分析の意義と活用

第2章 新しい防災教育~生活再建の「知識の備え」
 1 当たり前の日常生活の繋がりをイメージする
 2 絶望を希望に変える~これだけは知っておきたい「知識の備え」
 3 防災研修プログラムの実践
 4 生活再建の知識の備えを学ぶ「防災ツール」の開発

第2部 復興政策の軌跡 大災害を教訓とした新制度の誕生と課題
第1章 住まい(1)所有者不明土地の高台移転を加速せよ
 震災復興特区法改正による土地収用規制緩和と第3の法案
 1 復興事業地の確保ができない課題の真相
 2 国の「加速化措置」の不十分性と土地収用法の課題
 3 岩手県と弁護士の共同提言
 4 提言から復興特区法改正に至る政策形成活動
 5 東日本大震災復興特別区域法改正による早期着工スキーム
 6 大規模災害復興法による恒久化
 7 東日本大震災復興特別区域法改正後の活用実績の紹介
 8 復興事業促進に残された課題と展望

第2章 住まい(2)二重ローン問題は終わらない
 2つのガイドラインと被災ローン減免制度立法提言
 1 東日本大震災と個人版私的整理ガイドラインの成立
 2 個人版私的整理ガイドラインが残した教訓
 3 恒久制度としての「自然災害債務整理ガイドライン」
 4 自然災害債務整理ガイドライン利活用と課題
 5 ガイドラインの積極的周知と金融機関のアウトリーチ
 6 首都直下地震・南海トラフ地震に備える立法提言

第3章 住まい(3)マンションに救助はやってくるか
 安否確認とマンション防災における個人情報の利活用
 1 個人情報保護法制について
 2 災害と安否情報
 3 マンション防災と安否確認の盲点
 4 コミュニティとマンションの資産価値
 5 分譲マンションにおける災害時要援護者の情報共有政策
 6 個人情報に関するリテラシー向上研修

第4章 家族の生活(1)災害関連死と家族の二重苦に終止符を
 審査基準・支給金額の課題と命を守るデータ・ベース
 1 災害関連死とその実態
 2 災害弔慰金法に関する公共政策上の課題の概観
 3 東日本大震災後の提言と政策形成活動
 4 熊本地震後の提言と政策形成活動
 5 災害弔慰金不支給決定取消訴訟が明らかにした実態
 6 将来の巨大災害に備えた命を守るデータベース

第5章 家族の生活(2)災害救助法を徹底活用せよ
 避難生活の向上と一般基準・特別基準
 1 災害救助法とはどんな法律か
 2 災害救助法の柔軟運用の実績
 3 仮設住宅の入居要件の運用と錯綜
 4 応急修理制度の不十分性
 5 現金支給状況の死文化
 6 災害救助法の徹底活用
 7 災害救助法研修と特別基準の備え

第6章 家族の生活(3)半壊の涙、境界線の明暗
 被災者生活再建支援法の課題と災害ケースマネジメント
 1 被災者生活再建支援制度と成立経緯
 2 竜巻被害で顕著になった「制度の狭間」
 3 罹災証明書の被害判定と実態の乖離
 4 熊本地震と半壊住宅支援
 5 隙間を埋める自治体の「独自支援」
 6 災害ケースマネジメント
 7 原子力発電所事故と被災者生活再建支援制度
 8 熊本地震と長期避難世帯
 9 糸魚川市大規模火災と「自然災害」

第7章 地域と情報(1)津波犠牲者訴訟と安全配慮義務
 災害後の情報収集力と事業継続計画(BCP)の本質
 1 安全配慮義務や工作物責任に関する裁判例
 2 安全配慮義務と事業継続計画(BCP)
 3 善管注意義務・内部統制システム構築義務
 4 津波犠牲者訴訟の教訓
 5 事業継続計画(BCP)の本質とチェックポイント
 6 帰宅困難者対策と安全配慮義務
 7 人づくりこそ防災・減災に繋がる

第8章 地域と情報(2)続・個人情報は個人を救うためにある
 自治体個人情報保護法の立法提言と消費者安全法の利活用
 1 活かされなかった規制仕分けの取りまとめ結果
 2 東日本大震災の教訓の再確認
 3 個人情報保護法制「2000個問題」
 4 官民データ活用推進基本法による政策推進
 5 消費者安全法の徹底活用の可能性と新たな懸念

第9章 地域と情報(3)必要な情報を必要なところへ
 災害派遣弁護士「DLAT」宣言と災害協定
 1 弁護士による情報提供支援ツールの開発
 2 弁護士と行政機関の災害時協定
 3 専門士業連携
 4 生活再建情報とメディアやNPOが果たす役割
 5 災害派遣弁護士「DLAT」と被災者支援ノート

第3部 復興から防災へ 復興の叡智を未来の防災政策に
第1章 東日本大震災「復興期」のリーガル・ニーズ
 1 陸前高田市仮設住宅巡回活動
 2 東日本大震災「復興期」のリーガル・ニーズの分析
 3 復興フェーズの無料法律活動の機能

第2章 熊本地震と新たな復興モデルの提示
 1 熊本地震における弁護士の無料法律相談活動
 2 熊本地震の無料法律相談データ分析
 3 熊本地震におけるリーガル・ニーズ(地域分析)
 4 熊本地震におけるリーガル・ニーズ(多角的分析)
 5 都市激震型(L型)の復興政策モデル

第3章 広島土砂災害にみるリーガル・ニーズの普遍性
 1 広島土砂災害における弁護士の無料法律相談活動
 2 広島市豪雨災害無料法律相談情報分析結果
 3 広島土砂災害におけるリーガル・ニーズ
 4 広域巨大災害と局地災害にみるリーガル・ニーズの普遍性

第4章 復興から防災・減災へ
 1 災害復興法学とリーガル・レジリエンス
 2 あるべき災害法制――可塑性と強靭性
 3 復興と生活再建の理念

エピローグに代えて
2015年ネパール地震:カトマンズ講演に込めた「レジリエンス」の思い
謝辞
参考文献一覧
索引


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