なぜフィクションか? ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-7664-2575-8 C3010
奥付の初版発行年月:2019年01月 / 発売日:2019年01月下旬
なぜ人はフィクションを楽しみ、忌避するのか
フランスを代表する文学理論家・美学研究者であるシェフェールが一九九九年に発表した本書は、その後のフィクション理論に多大な影響を与えた。
「なぜ」フィクションかと問うことは、「なぜ」人間がフィクションに身をゆだね、喜びを感じるのか、あるいは逆に、ときには「なぜ」フィクションを忌避するのかと問うことを意味する。
物語論、哲学、人類学、心理学、認知科学等の観点から、文学や映画からビデオゲームにいたるあらゆるフィクションの形式を分析し、フィクションを人類に普遍的に備わる「心的能力」としてとらえなおす。
ジャン=マリー・シェフェール(ジャンマリー シェフェール)
1952年生まれ。フランス国立科学研究センターディレクター、社会科学高等研究院研究ディレクター。専門は美学、芸術理論。
著作にLa Fin de l'exception humaine (Gallimard, 2007), L'Expérience esthétique (Gallimard, 2015)など多数。
久保 昭博(クボ アキヒロ)
1973年生まれ。関西学院大学教授。
東京大学大学院総合文化研究科満期退学。パリ第三大学博士課程修了、文学博士。専門は文学理論、フランス文学。
著作に『表象の傷──第一次世界大戦からみるフランス文学史』(人文書院、2011)、訳書にレーモン・クノー『地下鉄のザジ』(水声社、2011)など。
目次
序論
第一章 模倣なんかこわくない
1 模倣する狼からバーチャルの狼へ
2 プラトンⅠ――「する」から「あたかも~のようにする」へ
3 プラトンII――模倣することと認識すること
4 遊戯的模倣の二つの系譜
5 プラトン、それでもなお
第二章 ミメーシス――模倣する、装う、表象する、認識する
1 古くからの混乱について
2 ミメティスム
3 類似から模倣へ
4 模倣から偽装へ
5 表象からミメーシス的表象へ
6 認識手段としてのミメーシス
第三章 フィクション
1 模倣、まやかし、偽装、フィクション
2 フィクションの系統発生――共有された遊戯的偽装について
3 フィクション能力の個体発生――ミメーシス的自己刺激について
4 フィクション的没入
5 フィクション的モデル化――フィクションと指示
第四章 いくつかのフィクション装置について
1 遊戯、夢想、芸術
2 没入の媒介と態度
3 フィクション物語(レシ)
4 演劇フィクション
5 視覚表象とフィクション
6 映画
7 デジタルフィクション
結論
註
訳者解説
参考文献
索引