大学出版部ニュース
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北海道大学図書刊行会
▼東 晃著『雪と氷の科学者・中谷宇吉郎』(四六判・2800円)
「雪は天から送られた手紙である」はあまりにも有名である。現象をよくみること、そしてそれを実験室で再現すること、風土にあった研究をすれば必ず役に立つこと、これが中谷の研究者としての基本姿勢であった。雪結晶から霧退治さらに洪水調査まで、多彩な研究活動を繰り広げた宇吉郎の科学の方法と素顔を、長年彼に師事した著者が尊敬と追憶を込めて語る。関連書として小林禎作著『雪の結晶』(B5判・1500円)、前野紀一著『氷の科学』(四六判・1500円)がある。
▼ウォルラベン著、黒沢信道・優子訳『水鳥のための油汚染救護マニュアル』(B5判・1800円)
日本海沿岸のタンカー事故はまだ記憶に新しい。頻発する油汚染事故に出遭った水鳥を救護する方法を具体的かつ平易に解説。日本で初めて出版される関係者必携のフィールドマニュアル。日本の読者のため、巻末に訳者による付録を添付。八木健三著『北の自然を守る』(四六判・2000円)も併せて読まれることをお勧めする。
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聖学院大学出版会
▼永岡薫編著『イギリス・デモクラシーの擁護者 A・D・リンゼイ―その人と思想』(本体5200円)
リンゼイは、『民主主義の本質』で知られているが、オックスフォード大学の副学長もつとめた政治哲学者である。本書は、リンゼイのひととなりと彼の思想の全貌を多数の幅広い執筆者により紹介した我が国初の研究書である。
主な内容 リンゼイとキリスト教、リンゼイの人間観、リンゼイのデモクラシー論、リンゼイと大学改革、その他。なお、本書は文部省科研費の補助を受けた。
▼三田村佳子著『川口鋳物の技術と伝承』(本体7600円)
埼玉県川口市は鋳物の町として知られるが、現在僅か数人の職人を残すのみとなった。著者は伝統的な鋳物の技術と伝承を民俗学の観点から、現地での調査をもとに、多数の資料や写真、聞き取りにより、彼らの生活や信仰をも含めまとめたものである。なお本書は日本生命財団の出版助成を受けた。
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慶應義塾大学出版会
…学術叢書の三点をご案内します。
▼〈慶應義塾大学産業研究所叢書〉
*『先物・オプション市場の計量分析』(岩田暁一編、3400円)は、先物・オプション取引の理論的説明とともに、市場における取引主体の行動モデルを構築しマイクロデータと対決させる。またカオス理論の適用も試みる本格的計量経済学的研究を行った待望の書。
*『実証経済分析の基礎』(中島隆信他編、3400円)は、社会の豊かさを測るための多様な分析手法を具体的経済資料を使い解説する。
▼〈慶應義塾大学地域研究センター叢書〉
*『ハイブリッド・キャピタリズム―東アジアの「和魂洋才」型発展―』(藤森三男他著、2200円)は、東アジアの目覚しい経済発展の理由を、ハイブリッド(=交配)をキーワードに解明する。
…ニュータイプの紀要をご案内します。
▼『KETO SFC REVIEW』1(慶應義塾大学湘南藤沢学会編、1429円)は、「ディジタルユニバーシティからディジタル社会へ」という特集のもと、現状分析と近未来への展望を論じる。
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産能大学出版部
▼『衝撃の古代出雲』(安本美典著、1800円)
神話の宝庫といわれる出雲。その出雲の神庭荒神谷遺跡から、358本もの大量の銅剣が出土し、さらに加茂岩倉遺跡から49個もの大量の銅鐸が出現して、マスコミをにぎわした。しかし、その報道は、出土物の様式・遺構の状況などを詳しく説明しただけである。千数百年の昔に、いったい何があったのだろうか。
本書は、古代史研究で広く知られる著者が、鋭い視点で、その謎のベールをはぎ、真実に迫る。出土物や遺構は、古代史のどこに、どのような位置づけをすべきか、どんな時代だったのか、出雲神話との結びつきは、誰が、いつ、何のために使ったのか等……徹底追求した話題作。
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専修大学出版局
▼石巻専修大学開放センター編『学術とロマン』(1400円)
大学の先生方が、学問や科学技術の発展に傾けた情熱や思いを社会人講座向けに、よりわかりやすく書いたのが本書である。
▼専修大学今村法律研究室編『帝人事件』全12巻(各4175円)
戦前の政治的フレイムアップが垣間見える疑獄事件の鑑定書、尋問調書、検事調書、上申書などの根本史料集。今秋にでる別巻で完結。
▼『シリーズ性を問う』全5巻完結!(大庭健他編、各巻2800円)
本シリーズは、現在話題になっている性について、生物学・社会学・哲学といった各分野にわたって網羅し、性をトータルに理解することを目的としている。本シリーズが性の新たな認識の起点になればと願う。
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玉川大学出版部
▼西川潔・織田芳人著『ビレッジサイン―英国フォークロアのデザイン』(4900円)
ビレッジサインに施されたレリーフが教会や共有地の存在を、あるいは村民の暮らし振りを、言葉より鮮明に伝える。ビレッジサインには、英国らしい気品さえ漂っている。(読売新聞1月25日付朝刊より)
▼久米康生著『和紙 多彩な用と美』(5400円)
シーボルトらによって高く評価された和紙。ヨーロッパ各地の博物館・美術館・図書館には、江戸期・明治初期の日常生活を彩っていた貴重なコレクションが所蔵されていた。本書は美しさと汎用性を併せ持つ和紙の魅力と本質に迫る。
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中央大学出版部
▼長谷川廣編著『日本型経営システムの構造転換』(5900円)
なぜ今また日本的(型)経営なのか、そのわけは、現代の企業経営をめぐる環境が大きく変わり、日本的(型)経営の見直しの再検討を迫られているからに他ならない。
すなわち、「国際化」の時代から「グローバリゼーション」の時代に入ったといわれ、「大競争時代」ともいわれるような新時代をむかえて、日本の企業は、単にこれまでのような「モノづくり」に熱中しているだけではすまされない。いかに安く、いかに大量にモノをつくるかよりも、何をつくり、何をするかが問題なのだといわれている。独創性や創造性が重視され、個性重視の能力開発が強く求められているのもそのためなのである。
本書では、こうした時代背景のもとにおける日本企業の経営システムの全体像を究明するとともに、その再構築の実態と方向とを、環境保全、企業財務、持ち株会社の解禁、情報システム化の推進、などについて解明する。
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東海大学出版会
▼『和州吉野郡群山記―その踏査路と生物相―』(B5判・本体10000円)
御勢久右衛門編著 東謙吉・岩野和彦著
紀州藩の本草学者、畔田翠山による「和州吉野郡群山記」は江戸期吉野地方の動物相・植物相を知る貴重な記録である。
本書では「和州吉野郡群山記」の翻刻を掲載し、それに編著者らの踏査によって確定された踏査路・植物相・動物相を注として挿入、現代吉野の植物相・動物相と重ねあわせる。
「和州吉野郡群山記」の植物相と動物相は主として漢字で記載され、当時の仮名和名・地方名も付記されているが、実地踏査によって確認されたものはつとめて現在の和名に変換・同定した。大和における翠山最初の著書「金嶽草木誌」についても同様に掲載した。
畔田翠山の踏査路の大半はすでに消滅して村人の記憶からも薄れているが、可能な限り踏査路の復元を試み、「和州吉野郡群山記」の理解を助けるものとして踏査路全行図を付し、底本掲載の図約150点も掲載した。150年の時空を超えて吉野古道を現代によみがえらせる。
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東京大学出版会
シリーズ「情報社会の文化」(青木保ほか編、全4巻)の刊行が開始された。
私たちを取り巻く文化を大きく変えてきた情報化の流れ。ボーダーレス化する社会では文化の複合が進み、現在では情報は国境を越え、ナショナルな文化統合をゆるがしている。ネットワーク化された電子メディアの中には様々なヴァーチャル・ワールドが見え隠れし、私たちの現実感覚の根底を危うくさせるような犯罪も発生している。きわめて多様な文化変容を、情報化の進展がもたらしているのである。
それら具体的な現代の文化の変容の場に、情報化とのかかわりを考えながら迫る本シリーズでは、人類学、社会学、芸術学、倫理学、宗教学等、各方面の気鋭の研究者が集い、共同研究や討議の成果をふまえ執筆している。
各巻はそれぞれ、青木保・梶原景昭編『1情報化とアジア・イメージ』、内田隆三編『2イメージのなかの社会』、嶋田厚・柏木博・吉見俊哉編『3デザイン・テクノロジー・市場』、島薗進・越智貢編『4心情の変容』
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東京電機大学出版局
Mathematicaは数値計算、代数計算、サウンド処理等を実行する強力な数式処理ソフトである。簡単なコマンドで難解な数式を三次元グラフィックス表示したり、数値変化をアニメーションとして表現することが可能なため、初学者の理解を助け学習効果を上げることができる。三冊の関連新刊書を紹介する。
▼中村健蔵著『Mathematicaで絵を描こう』(3500円)
Mathematicaを画像作成のツールとして使用。アーティスティックなアニメーション等を作成する。
▼小峯龍男著『Mathematicaによる材料力学』(2900円)
Mathematicaで問題を解き材料力学の理解を助ける。
▼同上著『ファーストステップMathematica』(2000円)
Mathematicaの基本的な扱い方を初心者向けに解説。
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東京農業大学出版会
▼『文明開化と造園』針ケ谷鐘吉(本体1905円)
平成2年に、同名で出版した本を、縮刷版でまとめたもの。文明開化というと明治維新により欧米文化が堰を切って流れ込んで来た時である。近代的工場の出現、鉄道の開通、蒸気船の運航、電信・郵便の開始、ガス灯の設置、洋服・洋食の奨励、洋風建築・散髪の採用等々。江戸時代の生活様式が、がらっと変わっていった。
それが、当然造園にも強い影響をおよぼしたことは明白である。例えば銀座煉瓦街の誕生。明治5年の大火によって全焼したこの一帯に、火に強い煉瓦造りの建築市街をつくった。この事業はイギリス人ウォートルスが設計、街路樹には、カエデ、サクラ、マツなどが使われ、純日本式街路樹の通りが出来上ったという。その他、アメリカ・セントラルパークというとてつもない大きさの公園を、どのような目で日本人が見たか。明治維新から百年以上経つと、「文明開化」という言葉の響きも薄れたが、当時の影響は、はかりしれないものがあった。
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法政大学出版局
▼A・リード/平野秀秋・田中優子訳『大航海時代の東南アジアI』(全2巻)
アジアに関する名著がまた一つ翻訳され、日本の一般読者の目に触れることになった。喜ばしい限りである。……大略十五世紀から17世紀の東南アジアを、「交易の時代」というコンセプトでとらえ、ヨーロッパ史の「大航海時代」に匹敵する、海を架け橋とする壮大な地域全体にわたる文化・歴史のドラマとして描き切る。……あのブローデル史学の東南アジアへの適用であるが、その試みは間違いなく成功裡に仕上げられている。
……欧米人によるアジア研究のぼう大な蓄積が、これまで日本の一般読者の手に必ずしも十分に届けられていたとは言い難い。中には、たしかに欧米の基準に偏した視野のものも多いが、「アジアのことはアジア人にしかわからない」という偏見を打破する上で、本書はまさに格好の事例となっていよう。訳者(田中)があとがきで言う通り、本書は我々日本人にとって「アジアの中で互いを発見する」ための本である。……
読売新聞・中西輝政氏評(抄録)
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放送大学教育振興会
▼これまで関東地域だけであった放送大学の電波の視聴地域が、平成10年1月21日から一挙に全国に広がった。通信衛生(CS)デジタル放送用のアンテナ等をセットすれば、北海道から沖縄まで全国のどこででも、自宅で放送授業が視聴できるようになる(パーフェクTV、テレビ=205チャンネル、ラジオ=500チャンネル)。これで、放送大学設置構想以来の目標であった視聴可能地域の全国化が実現したこととなる。
▼全国放送の開始にともなって、10月から全国で全科履修生を受け入れることを放送大学では検討している。それに備えて地域学習センターの整備や、全センターでの面接授業の開講、学習相談の充実などにも力を入れ、準備を行っている。
▼放送大学は放送教材と印刷教材とで授業を行う通信制大学であるが、その印刷教材の編集・発行が、わが放送大学教育振興会の大きな業務の一つである。平成10年の新刊は67点、放送大学の第一学期に開設される科目は314科目。
▼放送大学では平成9年度第1学期末までに卒業者累計が1万人を超えた。
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明星大学出版部
高島秀樹著『教育調査―教育の科学的認識をめざして―』(3700円)
▼現代日本においては、教育の科学的な研究のための教育調査も、教育実践のための教育調査も数多く実施され、それらの成果は多くの事実を私たちに教えてくれている。しかし、教育の科学的研究の方法としての教育調査が、有効性を保つためには、その調査が正しい方法と技術に基づいて的確に行われていなければならない。本書は、I教育調査 II 教育調査の諸技術 III 教育調査の諸領域という内容からも分かるように、大学の学部段階でのテキストとして利用できるように必要最小限の内容を取り入れて作成されている。
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早稲田大学出版部
▼『シェイクスピア―この豊かな影法師』(大井邦雄、3600円)
シェイクスピアをどう読むか。今を生きるシェイクスピアの発掘と発見をテーマに、四大悲劇の台詞の新解釈を試み、映画のなかに潜むシェイクスピアを探索する。
▼『世界システムの「ゆらぎ」の構造―EU・東アジア・世界経済』(田村正勝・臼井陽一郎、4200円)自由貿易主義の功罪を多角的に検証し、個性豊かな地域同士の交流がもたらす柔軟な世界システムを提唱する。
▼『経済のグローバル化と日本経済』(大畑弥七・横山将義編、3500円)注目を浴びる金融政策や貿易、企業行動などの現状分析を通して、日本経済が直面するグローバル化の問題点を考える。
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名古屋大学出版会
▼J・スチュアート/小林昇監訳・竹本洋他訳『経済の原理―第1・第2編―』(12000円)
『国富論』に先立ち、理論・政策・歴史の諸領域を統合した最初の経済学体系の全訳ついに完成。
▼A・O・ラブジョイ/鈴木信雄他訳『人間本性考』(3800円)
承認願望、競争心、高慢さといった観念の歴史を辿り、人間の情念と社会の秩序形成の問題を精緻明晰に考察した好著。
▼谷本雅之著『日本における在来的経済発展と織物業―市場形成と家族経済―』(6500円)
在地商人の成長、小農家族の戦略、問屋制家内工業の展開を析出し、従来の工業化論に修正を迫る労作。
▼小林達也編『ガンマナイフ治療−症例を中心として−』(12000円)
ガンマ線を使い開頭せずに脳動静脈奇形や腫瘍を治療する方法を、千例以上を手掛けた医師達が症例を中心にまとめた。
▼伊藤文雄編『クローズアップ臨床栄養学』(4000円)
飲食物中心の栄養学から、それを摂取する身体の側に視軸を移し、ホルモンの働きや細胞膜受容体の変化などを、遺伝子解析も含めて解説。
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京都大学学術出版会
▼『地震と都市ライフライン』都市防災と環境に関する研究会編(6500円)
日常生活を支え、災害発生時の救援・復旧の要となるライフラインそれ自体の耐震性と保守・復旧対策をどう作るか。阪神大震災による最新の知見をふまえ、巨大地震時代のライフライン建設に指針を示す。土木・建築関係者必携の理論書。
▼『暴力の文化人類学』田中雅一編著(6311円)
戦争、食人、生け贄……人類の歴史
はまさに暴力とともにあった。人類学は、暴力そのものに内在する問題にどのように取り組むことができるのか。本書は、とくに文化人類学を中心に学際的な展望を持って考察することにより、暴力論の新たな地平を切り開いていく。
▼『ピュロン主義哲学の概要』(西洋古典叢書I―8)セクストス・エンペイリコス/金山弥平他訳(3800円)
1562年、本書のラテン語訳の出版は、哲学史上、他に類を見ないほどの大反響をもたらした。その影響は、モンテーニュ、デカルト、ヒューム、カントなどに及び近世哲学の形成に大きく貢献した。ここに、古代懐疑主義哲学が全容を現わす。
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大阪経済法科大学出版部
▼M・サイドマン著/向井喜典訳『労働に反抗する労働者』
世界恐慌と人民戦線で知られる1930年代の世界史の諸経験を対象として、近年の日本や欧米で理論的・実証的に注目すべき代表的な著書があいついで公刊されている。本書は、欧米における新しい研究動向を代表する国際的な第一級の研究成果のひとつである
。
「比較社会経済史」の視座から、人民戦線の期間のフランスとスペインのブルショワジーと労働者階級との経済的・政治的な社会関係を実証的かつ国際的に比較する。従来のマルクス主義的歴史研究の方法と欧米諸国でのオーソドックスな社会運動史の研究方法を超克することをねらいとしつつ、労働過程で疎外された労働者が人間性を回復する課題に向けて社会・労働運動の研究方法の開拓を試みている。さらに、パリとバルセロナという、フランスとスペインの重要年の諸経験に対象を集約している研究方法も特徴的である。第一章〜第七章はバルセロナにおけるスペイン革命、第八章〜第一三章はフランス人民戦線について論述している。
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大阪大学出版会
▼柏原士郎・上野 淳・森田孝夫 編著『阪神・淡路大震災における避難所の研究』(B5・342頁・7000円)。
1995年1月17日兵庫県南部地震発生。その直後から現地入りし、避難所と避難生活の実態を詳細に記録したフィールドワーク研究の成果。逃げずに済む安全で住みよいまちづくりのための基礎資料として地域防災計画に一石を投じる。日本生命財団出版助成図書。
▼鬼原俊枝著『幽微の探究―狩野探幽論』(B5・函入り・15000円)。
江戸狩野派を確立した巨匠という名声のゆえに、かえって探幽研究は敬遠され沈滞気味であった。近年、再評価の気運にあるが、その一翼をになう著者が新資料の発掘も含め、前半生の画歴を丹念に追い、その画風形成を明らかにする。科研費研究成果公開促進費助成図書。
▼畑田耕一・宮西正宜 編『科学技術と人間のかかわり』(四六・2200円)。
執筆者:池内了・安斎育郎・奥雅博・中村桂子・餌取章男・茅 陽一・児玉文雄・甲斐 學・島田 彌・松本 元・嶋正利・水野博之
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関西大学出版部
▼藤善真澄編著『浙江と日本』(2400円)
稲作東伝、鑑真渡日の謎、唐詩ルート、呉越文化、入宋僧、江南の漆芸、李仁山種痘書、倭冦、17・18世紀の寧波船、漂着唐船萬勝號、西学東漸の道、留日浙江人夏丐尊、官費留日学生、傳雲竜の日本研究などが本書のキーワード。
▼藪田貫編著『寛政十二年遠州漂着唐船萬勝號資料』(5000円)
唐船一艘ごとに資料収集をするという方針のもと、寧波船萬勝號の漂着始末日記や漂着顛末図譜などの応接記録、船主と儒者の筆談記録、静岡県内各地に散らばる漂着見聞記などを収め、ほかに詳細な解説と松浦章氏の「中国商船萬勝号の運営形態」も収録。
▼鶴嶋雪嶺著『中国朝鮮族の研究』(4500円)
中国朝鮮族を移住史、農業経営、抗日闘争、今日の延辺朝鮮族自治州などから全般的に解明。移住史では中国側の移住歓迎の諸要因、日本による中朝国境協定の締結、農業経営の発展が辺境の開発に貢献しながらも民族差別の要因になったこと、民族主義者の抗日闘争、文化大革命期の迫害など、新しい研究成果も発表。
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九州大学出版会
▼小林茂他編『福岡平野の古環境と遺跡立地―環境としての遺跡との共存のために』(B5判・306頁・8000円)。
本書は、地形・地質学、地理学、考古学、文献史学などの学際的研究グループが、歴史的都市を含む一つのまとまった地域について、自然的・歴史的環境の変遷を、数千年の長い期間にまたがって追求した研究実践例。日本生命財団出版助成図書。
▼上里賢一編『校訂本 中山詩文集』(菊判・376頁・8000円)。
『中山詩文集』は琉球における最初の本格的漢詩文集である。1725年に初版、1856年に重刊本が出ている。現在流布しているテキストの中で保存状態の良い重刊本を底本に初版本の写本等と校合して、信頼できるテキストを作成する。付録として『皇清詩選』(中国で編纂された詩集)所収の琉球人の作品69首を付す。日本生命財団出版助成図書。
▼前間良爾『ドイツ農民戦争史研究』(A5判・392頁・7500円)。
本書は、諸学説の批判的検証と公刊・未公刊史料の詳細な分析に基づく新しい民衆社会史の視点からの総合的研究書である。
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東北大学出版会
▼仲田祐、藤村重文著『呼吸器外科学』(A4判・15000円)は、肺・気管支の解剖、生理、呼吸器外科の検査法と手術法、疾患の病態、診断法、治療法及び肺移植の最新成果をまとめている。
▼細谷昂著『現代と日本農村社会学』(A5判・516頁・5000円)は、日本の社会と文化の根底にひそむものの変化を探り、昭和前期から現代までの歴史を生きぬいてきた家と村のとらえ直しを明らかにしている。
▼高橋澪子著『心の科学史―西洋心理学の源流と実験心理学の誕生』(B5判・297頁・5000円)は、現代心理学を特色づけている方法論と認識論の歴史的な成立過程をヴントに基づいて解明。
▼尾坂芳夫著『心の豊かさをつくる技術知』(A5判・2913円)は、近代科学と技術の有効性と限界を多角的にとらえ、神学との関係にまで言及して人間のための自然科学を解明する。
▼足立達著『ミルクの文化誌』(予価3000円)は、人類がミルクを入手して以来のミルクに関する文化の発展を検証したもの。
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流通経済大学出版会
▼H・アームストロング&J・テイラー/流通経済大学教授坂下昇監訳『地域経済学と地域政策』(A5判406頁・4000円)。
本書は、本誌第31号で近刊予定図書としてご紹介したが諸般の事情で発行が遅れた。しかし、いよいよ本年3月15日付で発行の運びとなったので改めてご紹介する。
内容は、地域経済学の基礎理論を懇切に説明したあと、イギリスおよびヨーロッパ連合の実例を豊富に引用しつつ地域経済分析や地域経済政策のわかり易い解説を展開しており大学の教科書として最適のものであるとともに、一般の読者にも有用な万人向きの地域経済学テキストである。
▼流通経済大学教授吉田凖三著『日本の会社制度発達史の研究』(A5判385頁・3500円)。
近年、バブル経済崩壊により、金融をはじめ証券、不動産など多くの業種で経営破綻が相次いでいるが、本書ではコーポレイトガバナンス(企業統治)の視点からわが国の明治以降現在に至る会社制度の展開過程を回顧し、将来の会社制度の望ましいあり方を提示する。
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