大学出版部ニュース
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北海道大学図書刊行会
▼片桐千明編著『両生類の発生生物学』(A5判・8400円)
第一級の特色ある研究を、テーマ別に個体発生のクロノロジーに沿って並べ、発生生物学の基本問題と概念が把握できるよう構成。発生研究の将来方向を提示。
▼浜忠雄著『ハイチ革命とフランス革命』(A5判・6600円)
「人権宣言」の国は、奴隷制植民地ハイチの革命にどのように反応したか。フランスの史学界永年のタブー「ハイチ革命史」の論述を通して新しいフランス革命像を提示。
▼亀井秀雄・松木博編著『朝天虹ヲ吐ク―志賀重昂 『在札幌農學校第貮年期中日記』(A5判・7500円)
『日本風景論』の著者=ナショナリスト志賀の若き日の日記を翻刻・解説。明治知識人の思想・精神形成の軌跡をたどる。日本近代国家の法や組織の制度化と植民地形成に関する基本文献。
▼平尾・伊藤・関口・森川編著『アメリカ大企業と労働者―1920年代労務管理史研究』(A5判・7600円)
主要産業企業の労務政策と労使関係の歴史的経過と特質を個別実証的に把握し、アメリカ労務管理及び労使関係の20年代像を確定。
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聖学院大学出版会
▼倉松功・近藤勝彦 『キリスト教大学の新しい挑戦』(2400円)
21世紀を間近にした現在、大学教育のあり方も根本から検討しなおす必要にせまられている。キリスト教大学の学長、あるいは理事として大学運営の責任を負う著者たちが、現代日本における大学教育の意義をキリスト教大学の理念と特質を明らかにしながら論ずる。
今年、設立10周年を迎える聖学院大学の記念出版の一冊として刊行する。類書として、学校伝道研究会編『キリスト教学校の再建』(3400円)がある。
▼倉松功『ルター神学の再検討』(4800円)
宗教改革者M・ルターの神学は戦後、ルター派神学者たちのナチスへの協力などの事実からも、多方面から批判されてきた。著者は、ルター批判の妥当性を承認しつつも、一方で、その神学思想を原史料、時代状況のなかから再検討し、ルター神学の本質と構造を解明している。他方で、その思想が、文化多元主義社会、人権の確立、デモクラシー社会の形成などの現代的課題にどのような有効性をもっているかを明らかにしている。
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慶應義塾大学出版会
▼『ケインズ「一般理論」とその理念』(千種義人著、3800円)
は、ケインズ経済学の基本理念の現代的意義を論究する。
『「内向の世代」 論』(古屋健三著、2800円)
は、戦後文学に本質的な変貌をもたらした「内向の世代」を論じた長編評論。
『めまいを治す―生活習慣病として考える―』(神崎仁著、1500円)
は、慶應義塾大学病院長が、増えつづける「原因の特定できないめまい」を生活習慣病という新しい観点から解説。
『ニュージーランド入門』(日本ニュージーランド学会編、2200円)
は、ニュージーランド通が政治・経済・文化から日常生活まで“美しい島国”のすべてを紹介する。
▼〈Keio UP選書〉では、
『ふだん着の福澤諭吉』(西川俊作・西澤直子編、2200円)
が、福澤諭吉についてその子や孫が語った日常や、門下生の見聞・追憶を中心に編集、意外な素顔を伝えてくれる。また、
『21世紀の医学―最先端技術と人に優しい医療―』(北島政樹・永田守男編、2300円)
は、通信ネットワークを用いた遠隔病理診断や内視鏡下手術など、先端医療技術を紹介する。
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産能大学出版部
▼『企業倫理綱領の制定と実践』(日本経営倫理学会監修・高橋浩夫編著、3000円)
今、企業の倫理問題が各所で話題となっており、大きくクローズアップされている。近年わが国で多発している企業の不祥事は、グローバル化を指向するわが国企業においては、大きなマイナス要因となっており、経営倫理を念頭においた経営活動なしでは、今後、企業の発展はおろか存続すら危ぶまれる事態も起こり得る。本書はこのような状況をふまえ、わが国企業が世界市場で存続、発展するために不可欠な企業倫理綱領制定の実際を、東芝、NEC、リコー、イトーヨーカ堂、エッソ、IBM、3M等の企業の具体的制定事例を取り上げ、その制定方法、内容等を詳説する。
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専修大学出版局
▼石倉美智子著『村上春樹サーカス団の行方』(1900円)
現代の小説家の中で村上春樹ほど、発表する作品を待望されている作家もそうは居まい。その中核となる作品をテクストに物語の可能性と現代社会の有り様を考察する本書は、気鋭の研究者がより広汎な読者の受容を期待し、新鮮で読み易い語り口で書いたものである。
▼村上春樹ということで一つ。
先日電車の中でコンピューターの打ち出しと思しき百枚ぐらいの紙の束を繰って読んでいる女子大生らしき人物がいた。何なのかとちらっと横目で見たが、これが上や下にイラストがさり気なく配されて紙面も良くデザインされていて本の頁のようである。中身は、どうも文・村上春樹でイラストが安西水丸のようである。後で知ったが、これがネットワーク上で流されている「村上朝日堂ホームページ」『夢のサーフシティー』らしい。こういうことがあってもおかしくないとは前々から思ってはいたが、いざ巷で当り前のように目撃するようになると、書物の行く末について考えてしまう。
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玉川大学出版部
▼間瀬啓允著『生命倫理とエコロジー』(2600円)
私たちは生きている。けれどもやがて死ぬ。ではどうして〈この私が…〉と考え始めると、答えがみつからず困惑してしまう。〈この私〉は命をもらって生きており、大きな命と結びついて私の小さな命があるからである。共生型の成熟社会をより良く生きるために、人間中心から生命中心の視点への転換が必要だと説く。
▼J・ボウカー著/石川都訳『死の比較宗教学』(4400円)
古今の大宗教にあらわれた人間にとっての「死」の意味を、生の限界状況、生死の境界で人間を支えうる価値の面から探究してゆく。死をも含めた生の包括的、積極的な解釈は、私たちを現代における生の新たな解釈へと導くであろう。
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中央大学出版部
▼星野智著『現代ドイツ政治の焦点』(2400円)
ヨーロッパ統合がいっそう進展していくなかで、ドイツには経済や外交の面でその指導力が期待されている。その反面において、ドイツは東西統一によって自国の「ナショナル・インタレスト」や「アイデンティティ」という問題を生みだした。その意味では、ドイツはヨーロッパ統合と自国の統合という二つの大きな問題に直面している。
本書は、ゼノフォービア(外国人への敵対)、ネオナチあるいは極右主義政党、難民・移民問題、庇護権の制限、安全保障問題、通貨統合、連邦議会選挙といった現代ドイツ政治のかかえるさまざまな課題をクローズアップし、それらが提起している問題点を解明する。
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東海大学出版会
▼尚樹啓太郎著『ビザンツ帝国史』(A5判、 本体16000円)
ビザンツ帝国の成立から崩壊にいたる激動の歴史を初期・中期・後期の三部構成で検証する。通史に留まらず、政治・経済・文化などの文化的な要素を加え、図表・系図・首長表などを用いてビザンツ文化に総合的な検討を加える。さらにビザンツ時代のギリシア語の発音に留意した地名・人名・事項などの索引にはその現綴りをすべて記載。政治的な経過のみならず、文化的要素を踏まえた視点から総合的に論じられた、わが国初のビザンツ帝国史研究書。
▼太田充編『30のキーワードで学ぶ 現代経営』(A5判、2000円)
日々変貌する現代の経営学に初めて出会い、学ぶ人のための本。「戦略」「組織」「国際」「情報化」「ファイナンス」の5つの領域から、30の専門用語を選び出し、用語の定義・背景・由来・実践例などをわかりやすく解説する。
“一瞬もとどまらない”今を生きる企業・社会のありようが目に見えてくる。
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東京大学出版会
東京大学では1953年以来、 春秋2回、 公開講座を開催しており、 毎回多くの熱心な聴講者を集めている。
『東京大学』(蓮實重彦著者代表、 四六判、 2600円) は、昨秋行われた第88回の講座の内容をもとに編集・製作したもの。
東京大学創立120周年を機に、大学院重点化などのさまざまな改革が進む東京大学の多様な側面を、東大スタッフ自らが語る本書は、「東京大学を知る」ための貴重な1冊となった。
〈目次〉東京大学は何であったのか? 何であるべきなのか?(立花隆)/「東大闘争」とは何であったのか (船曵建夫)/東大入試と東大生――東大生はどのように生まれるのか?(苅谷剛彦)/文学の中の東(帝)大生(長島弘明)/東大生とスポーツ(平野裕一)/東京大学の「不思議な空間」(岸田省吾)/東京大学コレクション(西野嘉章)/東京大学医学部の過去・現在・未来(加我君孝)/日本の大学の活力 ――自然科学系を中心に(有馬朗人)/三都大学誌――パリ・ベルリン・東京(樺山紘一)
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東京電機大学出版局
ダイオキシン・環境ホルモン・発ガン性物質・酸性雨・エルニーニョ現象等、 近ごろ環境に対する話題が豊富である。
水理学においても、「環境水理」という分野で以前より環境に関する研究が行われてきた。しかしこの研究は、単に物質の拡散や流れを扱ったものであった。
近年の環境水理は、ダイオキシンや環境ホルモンに代表される化学・生物学的分野から周辺地域と調和した景観設計に至るまできわめて広範囲にわたっており、この問題は今後ますます研究が盛んになるであろう。
▼有田正光編著『水圏の環境』A5判(本体3400円)
現場や教育の第一線で活躍する執筆者が、水質の基礎知識から最新動向までを平易にまとめたもので、土木工学を学ぶ者のみならず、環境問題に関心がある者にも有益な一冊である。
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東京農業大学出版会
▼『モンゴル100の素顔』モンゴル100の素顔編集委員会(1500円)
一般の旅行案内では得られない、モンゴルの情報を提供する目的で編纂されたもの。写真を中心にしているので、視覚的にも十分に楽しめる。文章も平易で短くまとめられている。
モンゴルの人は、日本人によく似ている。或いは、逆に日本人がよく似ているのかもしれない。どちらにしても、モンゴルに行くと、ある種の郷愁を感じるのは、顔が似ていることだけではなく、日本人が捨ててしまった、大切なものを彼らが持ち続けていると感じるからではないだろうか。それは例えば、
「モンゴルの人々の屈託のない笑顔はどこから来るのだろうか……多分、それは大人も子供も一緒になって家族の生活を支えているという連帯感から来るような気がする。家族の中に自分の居場所を持っているという感覚である。そういえば、日本のあの時代にも子供は家族の中で立派な働き手であった」(玉木氏)ということのようである。
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法政大学出版局
▼独自の視点から《文明化の理論》を検討し、社会学・民族学・文化人類学に新たな地平を拓いたH・P・デュルのエッセイ集
『戸外で朝食を』(藤代幸一訳/2200円)
が刊行されました。その意図と方法を理解するための、著者自身による恰好の入門書です。下記の既刊7点とあわせてご購読下さい。
サテュリコン…………………2600円
夢の時…………………………5800円
再生の女神セドナ……………4700円
神もなく韻律もなく…………2900円
《文明化の過程の神話》シリーズ
裸体とはじらいの文化史……4300円
秘めごとの文化史……………5800円
性と暴力の文化史……………6600円
▼本年7月31日より、 事務所が左記に移転しましたのでご案内いたします。
〒102−0073 東京都千代田区九段北3−2−7 法政大学一口坂別館内
編集 TEL03-5214-5541 FAX03-5214-5543
営業 TEL03-5214-5540 FAX03-5214-5542
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放送大学教育振興会
▼放送大学では、新たに左記の学習センターを設置し、今年10月より学生を受け入れることとなった。
・和歌山学習センター…和歌山市西高松1-7-20 (和歌山大学松下会館内)
・徳島学習センター…徳島市川内町平石住吉209-5 ((株)徳島健康科学総合センター内)
・佐賀学習センター…佐賀市天神3-2-11 (佐賀県立女性センター・佐賀県立生涯学習センター [アバンセ] 内)
・鹿児島学習センター…鹿児島市山下町14-50 (旧鹿児島県庁舎東別館内)
これで全都道府県に一つの学習センター(東京都は3センター)が配置されるという状態が達成され、すべてのセンターで今年10月より全科履修生を受け入れることになった。
▼7月10日、千葉市ホテルグリーンタワー幕張において、平成12年度開設改訂予定科目の主任講師会議が開かれた。専任教員・客員教員、ディレクター、編集担当者等が、全体会議、専攻別部会に出席した。これで平成12年度印刷教材編集作業が正式にスタートした。
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明星大学出版部
▼森下恭光・佐々井利夫『増補・道徳教育の研究』(本体1800円)
道徳教育というのは、ことばの広い意味における人間教育である。したがって、それは、人間によって、人間に対して、人間になるためになされる教育である。ということは、人間の存在するすべての場所と時間においてなされる教育であるということになる。そのような道徳教育は、従って、学校という場所で、学校に居る時にのみなされるようなものでないことは明らかである。それにかかわらず、現実に行われる道徳教育は、とくに、現代のわが国においては、学校でこそ行われるべきものと期待されているところがある。そういう誤りを意識しながらも、道徳教育の意義と必要性を説き、学校で指導する道徳教育についてを解説する手引書。
〈目次〉道徳教育の意義と必要性/道徳教育の可能性/発達観と道徳教育/明治以降の道徳教育の展開/子どもの生活と道徳教育/小・中学校における道徳の時間の指導法
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早稲田大学出版部
▼シェイクスピアと同時代の喜劇作品を本邦初訳で紹介する〈エリザベス朝喜劇10選第II期〉(全10巻) が、
(5)『貞淑な娼婦 第二部』(T・デッカー、岡崎凉子訳、2500円)
の配本で完結した。セットでの購読をお薦めする。
▼『体制移行の政治学―イタリアと日本の政治経済変容―』(真柄秀子、5700円)
政治・経済の体制が移行するとき、その変化にどう対応すればよいか。イタリアと日本を比較対照して、経済再編下における政治改革の力学を分析する。
▼『トルストイと日本』(柳富子、5200円)
トルストイは近代日本の知識人にどのような影響を与えてきたのか。森鴎外、芥川龍之介、中里介山等の作品の解読を通して考察する。
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名古屋大学出版会
▼阿部泰郎著『湯屋の皇后―中世の性と聖なるもの―』(3800円)
性による疎隔や媒介の亀裂に垣間見られる〈聖なるもの〉を求めて、生成変化する中世の物語・説話、 縁起・伝承、図像・芸能の奥深い森に分け入り、その深層構造を明らかにした労作。
▼羽賀祥二著『史蹟論―19世紀日本の地域社会と歴史意識―』(5800円)
19世紀日本の各地で澎湃として起こった歴史的遺蹟の発掘や考証、記念碑建立の活発な動きを検討することによって、近代の史蹟空間を作り上げた歴史的想像力と文化構造の特質を明らかにした労作。
▼坂行雄監修・佐竹立成編 『急性死の症例100―臨床と病理―』(10000円)
名古屋掖済会病院で剖検された100症例を選び、症例ごとに専門医の臨床経過と剖検所見、コメントを掲載した。救命救急医療に関わる医療従事者に必携の書。
▼坪井秀人著『声の祝祭―日本近代詩と戦争―』(7600円)
〈声〉と〈書くこと〉の相克の歴史。日本比較文学会五十周年記念大賞受賞。
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京都大学学術出版会
▼『Index general de la Correspondance de Marcel Proust』吉川一義他編著・14000円
マルセル・プルーストの遺した膨大な書簡集に登場するすべての人名、地名、作品名を網羅した総索引。日本のプルースト研究家40人を総動員して成った世界初の試み。20世紀初頭のヨーロッパの文学・芸術・社会を知る上でも第一級の一次資料である。(仏文)
▼『小人口世界の人口誌―東南アジア社会論の試み』坪内良博著・4000円
豊かな森と海と川が織りなす東南アジアの風土。しかし、ごく最近まで、この地の人口密度は東アジアの5分の1に満たなかった。歴史的な小人口の中に、複雑に入り組んだ生態に生きる人々の、強い移動性と緩やかな社会関係を描き出す。
▼『身体運動における右と左―筋出力における運動制御メカニズム』小田伸午著・5600円
人が最大限に力を出す場合、両手同時に力を入れると、片手のみの場合に比べて力は落ちる。日常の意識とは相反する、そのメカニズムを中枢系の筋制御から明らかにし、スポーツ科学のあり方を問い直す。平尾誠二氏他推薦。
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大阪経済法科大学出版部
▼『科学機器製造業者から精密機器メーカーへ―1870年〜1939年における英仏両国の機器産業史―』 マリ・ウィリアムズ著/永平幸雄ほか訳/4300円
19世紀以降、産業の発展に伴って科学機器は多様化し、計測機器のように産業の各分野に浸透していく機器も現れ、その発展は、国家や軍事や教育などの社会の歴史と密接に絡み合うことになる。
本書はそのような時期の機器産業経営史を通して科学機器と社会の関わりを追求した希少ともいえる研究書である。
著者マリ・ウィリアムズは、英仏両国を比較することによって、精密機器産業の主要な性格を明らかにし、機器産業の発展における軍事的要請の役割に焦点をあてた。第一次世界大戦とそれに続く軍備拡大競争によって、機器産業に対する国家の介入が強化され、研究開発が進展したことを明らかにした。
本書は大学における科学研究や企業の研究開発および産業業績、国家の政策等の相互の関連性を明らかにし、科学技術政策・経営の歴史に関心のある者にとり興味深いテーマを提供している。
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大阪大学出版会
本会単独のホームページアドレスはhttp://www2.books.or.jp/osaka-up/となりました。ぜひアクセスして下さい。
▼山川鴻三著『永遠のロマンチシズム―シェイクスピア、チシアンそしてロマン派―』A5・490頁・10000円
シェイクスピア、イギリスロマン派の詩人、16世紀のイタリアの画家チシアンからなる三者がロマン主義精神の表出という点においていかに密接に関連しあっているかを、キーツ、コウルリッジ、スコットらの数多くの作品群から洞察。シェイクスピア研究に新風を吹き込む。
▼川久保勝夫・宮西正宜編『現代数学序説(II)』A5・212頁・2300円
位相幾何学入門の章ではサッカーボールからオイラーの定理を解説するなど、身近な問題を通じて興味深いトピックスを紹介した現代数学玉手箱、第2弾。
▼鬼原俊枝著『幽微の探究―狩野探幽論』(1998年2月刊)
が国華賞を受賞した。これは明治期に岡倉天心が創刊した月刊美術雑誌『国華』の発行元が主催する賞である。美術史研究者にとっても出版元にとっても最高の栄誉である。
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関西大学出版部
▼倉橋英逸ほか著『21世紀の情報専門職をめざして』(2800円)
本書はカナダとアメリカ合衆国の図書館情報学教育の変化の実態を大学の計算機センターと大学図書館の変革を含めて調査し、21世紀の情報専門職教育の内容と方法の方向性を探ろうとする。
▼赤尾勝己著『生涯学習概論』(1400円)
海外の生涯学習関連の理論が日本でどう展開され、どのような可能性と課題があるかを明らかにした。全12章で構成。各章とも最近のトレンドを踏まえたシャープな問題意識を満載したコンパクトな入門書となっている。巻末には教育基本法や生涯学習関係法規も掲載。
▼北條秀司著『信濃の一茶・火の女』(3000円)
数々の賞を受賞し、文化功労者にも選ばれた著者が、90歳の卒寿を迎えて書き下ろした「信濃の一茶」は、俳人小林一茶の生涯をユーモラスに描き、演劇界を驚嘆させた。遺稿となった大杉栄の葉山事件を扱った「火の女」(未定稿)も収録。この二つの戯曲のほか、作品上演目録、著書目録を収録し、著者の演劇活動の全容を明らかにする。
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九州大学出版会
▼田村馨著『日本型流通革新の経済分析』(A5判・270頁・3400円)
戦略分野・商品としての「食」を対象に、都市・環境問題との共生、消費者のコスト負担意識の高揚、新しいルールづくり、風土適合的な戦略展開が要請されていることを示し、ポスト大店法時代が要請する新たな枠組みと流通変革の構図を展望する。
▼清水孝純著『交響する群像―『カラマーゾフの兄弟』を読む―』(四六判・306頁・3200円)
人間をその関係性においてとらえる、そこにドストエフスキーの文学の本領があるが、それが最高度に発揮されたのが、最晩年の大作『カラマーゾフの兄弟』である。現代的問題を豊かにかかえたこの鬱然たる人間の森を通して交響する、魂の光と闇の対話がここにある。
▼木下智見編『New Direction in Transmission Electron Microscopy and Nano-characterization of Materials』(B5判・404頁・10000円)
九州大学と日本学術振興会の主催で開催された「透過電子顕微鏡法の新しい動向と材料のナノ構造評価」に関するアジア学術セミナーでの講義と参加者の発表論集。
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東北大学出版会
▼足立達著『ミルクの文化誌』(3000円)
乳食文化は、ウシなどが自らの乳児の哺乳のために分泌するミルクを横取りしてヒトの食糧に転用する思想から開発された。本来は離乳期までの食糧に限定されていたミルクを生涯にわたる食糧としてヒトに開放し、哺乳動物として他に例を見ない異端の食生活がヒトによって産み出されたことになる。本書は乳用家畜の起源から説き起し、ヒトの食糧とはなりえない牧草からの動物性食糧としてのミルクのエネルギー生産性の比類なき高さを評価し、それに基づくミルクの飲用文化の成立と現代の飲用乳生産に至る科学技術発展のプロセスを検証する。まさにミルクの「文化史」が展開されている。
▼森芳三著『昭和初期の経済更生運動と農村計画』(近刊)
昭和恐慌の非常時状況で、農村の諸階層、諸団体、諸組織の動向はどうであったのか。その農村動向の一つとして、重要な政治的経済的役割を担った運動が農村経済更生運動であった。本書は、この運動が農民の自力更生運動と政府の経済更生計画の合成であるという分析視点に立つ地域史研究の成果である。
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流通経済大学出版会
▼流通経済大学教授大塚祚保著 『イギリスの地方政府』(A5・300頁・3800円)10月発行
地方自治の根幹は、地域のことは地域の住民の意思で決定することであり、そのための財政的な裏付けがきちんとなされていなければならない、ということである。この観点から見れば、橋本前内閣の地方分権推進委員会の「機関委任事務の廃止」の提言は、わが国における地方自治の拡大に大きく寄与するものと評価される。しかし、地方財政の確立のための具体的な処方箋は示されなかったことは竜頭蛇尾の感をまぬがれない。
英国においては、時を同じくして、スコットランド議会の開設が、高い支持を得て承認され、財政面では同議会に三パーセントまでの所得課税権が与えられたのである。まさに「地方政府」の誕生である。
本書は、この英国の地方自治の実態をエセックス・カウンティ、コルチエスター・バラ、ウイベンホウ・タウンについて行った実証的研究の成果であり、わが国の地方自治を考究する人に必読を勧める。
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三重大学出版会
▼都築正則/シュテファン・トゥルンマー著『ライン川、ドイツ語の旅』(A4、 2100円)
ドイツ語会話を担当する著者が実際に使えるドイツ語を修得するためにカラー写真・図版をふんだんに盛り込んで編集した教科書。文法のためだけに書かれるような不自然なドイツ語を廃し、意味の取りにくい文には注を付けて翻訳のために使う時間を最小限度に押さえることで、ドイツ語会話という授業の目的に叶った教科書ができあがった。
▼高島慎助著『三重の力石』(A5、2800円)
三重県発の特殊事例研究。県内をくまなく巡回し、調査した「力石」(力比べのための石)195点を写真付きで紹介した調査報告。江戸末期に「力持ち番付」「力石人名簿」の形で広がりを見せた娯楽としての「力比べ」に的を絞り、三重県内の「力石」を調査収集する事で、その娯楽の幅広い浸透ぶりを検証する事例研究。
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