大学出版部ニュース
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北海道大学図書刊行会
▼山本正編 『近世蝦夷地農作物地名別集成』(A5判・3200円)その全容が不明であった明治以前の蝦夷地の農業について,膨大な文献資料の中から地域別に農作物栽培の歴史をまとめ,現在の市町村別に全貌を明らかにした初の成書。
▼ヘーガン著/西村・野田・島川訳『アメリカ・インディアン史[第3版]』(B6判・2600円)『シカゴ大学アメリカ文明史叢書』の1冊。 最近の動向を分析した第七章を増補。
▼久保田義弘著『ストック経済のマクロ分析―価格・期待・ストック』(A5判・6000円)ストックや期待が実体経済に果たす役割から出発し,古典的モデル・2部門モデル・3金融資産モデルに焦点をあて,ストック化したマクロ経済の新たな解明を目指す意欲作。
▼カーペンター著/北村二朗・川上倫子訳『壊血病とビタミンCの歴史― 「権威主義」 と 「思いこみ」の科学史』(四六判・2800円)大航海時代から今日までの壊血病とビタミンCを巡る著名人の驚くべき物語。 1932年に発見され大量生産されるようになったビタミンCだが,物語はさらに続く。
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聖学院大学出版会
▼『「宇魂和才」の説――21世紀の教育理念』(大木英夫著,2400円,四六判・304頁)
大学教育の危機が叫ばれて久しい。組織神学者であり,学校法人の理事長でもある著者は,大学の歴史を論じ,現代の教育問題の根底にあるピエタス(敬虔・超越次元)という理念の欠如を指摘する。とくに日本では,近代化の指導理念であった 「和魂洋才」が,大学制度においても取り入れられ,知識・技術を増大させるがそれを支える理念を無視し,軽視した教育がなされてきた。そこに現代日本の文化的混迷,教育問題の根がある。
著者は,グローバリゼーションの時代に「和魂洋才」では,このような現代日本の混迷に,また教育問題に対応できないと論じ,21世紀への新しい文化理念,教育理念を求めることを主張し,「和魂洋才」に代わる「宇」(宙)魂和才を文化形成,教育の理念とすべきことを提言する。
現代日本の精神文化の問題と教育の課題に新しい視点を示す,日本文化論・教育論である。
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慶應義塾大学出版会
▼『イギリス中世・チューダー朝演劇事典』(松田隆美編著,6000円)はシェイクスピア以前250年間のイギリス演劇の全容を明かす海外にも類をみない画期的な事典である。『日本における西洋医学の先駆者たち』(J・バワース著,金久卓也他訳,3800円)は西洋人医師たちと日本人医師たちの交流を描いた近世・近代医学史である。『法体系の概念―法体系論序説第2版』(J・ラズ著,松尾弘訳,4800円)はハート,ケルゼンらの理論を批判的に検討し新たな法分析の視点を提示した現代法学の名著である。『地方自治の実証分析 日米韓3カ国の比較研究』(小林良彰編著,3500円)は日米韓の同時調査に基づき,わが国の地方自治のあり方を,中央―地方関係の再編を視野に考察する。
▼『近代国家の再検討』『政治・社会理論のフロンティア』『日本政治の構造と展開』『地域研究と現代の国家』『冷戦後の国際政治』『政治学科百年小史』(2000〜2800円)は慶應義塾大学法学部政治学科開設百年を記念して,政治学科の教員を中心に執筆されたものである。
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産能大学出版部
▼『マーケティングのための多変量解析』(清水功次著,2000円)
パソコン,インターネットの発達により,ますます情報は複雑化,多様化しており,企業にとって,顧客のニーズ,市場動向を的確に把握することは非常に困難な時代となった。そのため今,注目されているのが,データベース・マーケティングであり,その中でも特に注目されているのが,多変量解析,データマイニングである。本書では,一般的に理解するのが難しいといわれている多変量解析を,高度な理論は一切使わず,極めて活用頻度が高く実践的な手法のみを,データマイニングと絡め,初めて勉強する人にも容易に理解できるよう,例題をまじえ,わかりやすく解説する。
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専修大学出版局
▼大河内俊雄著『アメリカの黒人底辺層』(2200円)アメリカの社会問題の根底にあるのは黒人問題である。一九六四年の公民権法の制定にも拘わらず,黒人の社会経済的な不平等は一向に解消されなかった。逆に,黒人のコミュニティは一部の中産階級と広範な貧困層とに両極化した。本書は,これまでの歴史的背景や人種統合の理念を検討し,住居・婚姻・犯罪などのデータから黒人問題の現状に迫る。特に貧困層のさらに下の底辺層についてその荒廃化の実態を明らかにする。
▼専修大学今村法律研究室編『帝人事件別巻1』(4175円)昭和9年初某誌が発した不当株問題に検察が着手,財界人や大蔵次官らを贈収賄容疑で召喚拘束,世上騒然とさせた。法相は事件の有罪見通しを公言,蔵相の子息にまで株利益が渡ったとの噂に内閣は総辞職,政党政治の弱体化と軍部肥大のシナリオが見え隠れする。弁護士今村力三郎が「法は元、死物,之を活用するは人に在り。人生の不幸冤罪より甚しきは莫矣」の信条に則り,公判廷で展開した事件弁論を集めたのが本巻である。その舌尖極めて明瞭である。
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玉川大学出版部
▼苅谷剛彦著『変わるニッポンの大学―改革か迷走か―』(2500円)
日本の大学はどこへ向かおうとしているのか。なぜいま改革が一斉に進んでいるのか。拡張と教育改革のさなかにある「やさしい時代」の大学で,教育の質の維持はどこに求めればいいのかを問う。
▼中西通著『能のおもて』(7500円)
能楽資料館所蔵の代表的な面に加え,近年発見収蔵した優品を数多く掲載した写真集。面裏の鑿痕・焼印,さらに漆書の記録などを克明に収録・解説する。カラー原寸73点,他40点,白黒96点。
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中央大学出版部
▼中村達也著『読む―時代の風音―』(本体1800円)
本書は,著者が『読売新聞』『日本経済新聞』『東京新聞』『月刊Asahi』『経済セミナー』掲載の書評を中心に『エコノミスト』『日本経済新聞』の論壇時評と『毎日新聞』掲載のエッセイ等を収録した書評集である。好評を博した『読む―時代の風景342冊』(TBSブリタニカ,1992年)の続編。
とりわけ『日本経済新聞』で論壇時評を担当した1995年は,戦後50年の節めの年だけではなく,阪神・淡路大震災,地下鉄サリン事件,急速な円高の進行といった出来事が社会を揺るがし,論壇が賑わいを見せた時期でもあった。そうした雰囲気が,書評,エッセイとともに少しでも伝わってくれれば幸いである。
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東海大学出版会
▼メラニー・メルトン/中村浩美訳『ブラックホールは宇宙を滅ぼすか?―知りたかった天文・宇宙101の疑問』(A5判・162頁・本体1400円)
「太陽は燃えているの?」「火星には運河があるの?」『土星の環は何でできているの?」「白色矮星って何?」「流星と隕石はどう違うの?」「銀河はいくつくらいあるの?」「ブラックホールに吸い込まれたものはどこへ行くの?」。このような,宇宙に関する素朴な質問でさえ,高度な天文学・物理学の要素が含まれている。
本書は,十数年にわたって天文学教育に携わってきた著者が,実際に受けた質問から101問を選択し,その回答を簡潔に述べたQ&Aである。
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東京大学出版会
「こころの時代」,漫画家は傲慢な歴史家になり,「それが人間だもの」的箴言もどきが横溢する。神,歴史,人間等かつて生の意味を形作った概念が廃墟なのは皆分かっていながら,その模造品が作られ続けている。偽物だから安心して消費できる,ということか?
この時代がポストモダン後の諸国に共通なことをノルベルト・ボルツ『意味に餓える社会』(村上淳一訳,四六判,3600円)は言う。ベンヤミン研究や 『批判理論の系譜学』(邦訳・法政大学出版局)等の著書で知られるボルツは,本書ではサッカー,テクノ,エコロジー等現代世相の細部を取り上げながら,その根元にある意味の飢餓を透視する,どこかブロッホの 『この時代の遺産』 を思わす手法をとる。
ただ,ボルツは意味の喪失を嘆くのではなく,意味の不在を何かのチャンスへと読み替えようとしているようだ。訳者が見事に再現した独特の文体を通して,このボルツの賭けが日本で持つであろう“意味”について,考えてみていただければと思う。
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東京電機大学出版局
Linuxは,ヘルシンキ大学の学生だったライナス・トーバルズが独自に開発したUNIX互換の無料OSである。発表以来,世界中の優秀な技術者がインターネットを介し,新機能の追加やバグの修理等の製品開発を競って進めている。使いやすく安定性が高いため,ユーザ数は推定800万人とも言われており,大学でも必須のツールとなっている。
▼松田七美男 『学生のための情報活用シリーズ Linux活用術』(1900円)インストールの仕方や最新情報ではなく,実際に活用するためのツールを紹介。Mule・LaTeX・Gnuplot・Tgif等,理工系学生が研究論文を作成する上で便利なものを取り上げ,設定から基本操作,知っていると便利な機能まで具体的な例を示しながら平易に解説した。
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東京農業大学出版会
▼ 『花ごころ』川添良子(2000円)
和歌730首収録の歌集。著者は,主婦で,「郷土」に所属している。詠い留めた年数は,30年におよぶ。
作品は,最近15年間のものの中から選び,年代順に並べてある。
著者はあとがきで,
「無職といわれる専業主婦としての,ごく普通のパターンの,一人の女の暮らしの中で刹那刹那を詠い留めてきた」
といっている。主婦ならではの,日々の生活の中での感覚,子供のこと,ふるさとのこと,家庭のことなど,さまざまな出来事を,草花,樹木,自然の観察を通して,詠いあげている。
人が生きていくということは,たいへんなドラマである。
それが一見たいへん平凡に見えても,そこには,苦悩,歓喜,驚愕,落胆,感動,悲哀などが,見事に展開されているものである。
それが一冊の歌集を通して,鮮明に甦ったといえる。
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法政大学出版局
▼R・K・リーバーマン著/鈴木依子訳『スタインウェイ物語』(5600円)
あらゆるピアニストにとってのあこがれであり,ステータスでもあるスタインウェイ――この「不滅の楽器」を造り,販売し,演奏し続けた人びとが奏でる産業と芸術のコンチェルト。
1835年のドイツに始まり,現代のアメリカまで,1850年代の不況と1890年代の金融暴落をくぐり抜け,破産状態と信じ難いまでの繁栄をともに経験し,5世代・6家族に引き継がれてきたファミリー・ビジネスの歴史は,アメリカにおける移民の暮らしを,職人の手わざの極致を,労働問題を,戦争とのかかわりを描き,ヤマハとの軋轢を語って日米経済摩擦におよぶ。四六判・610頁。
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放送大学教育振興会
▼平成11年3月刊行予定の放送大学印刷教材(開設改訂科目)71点の編集作業は,今たけなわ。主任講師・分担執筆者合わせて約280名,編集担当者約40名が,資料収集・原稿執筆,原稿回付・校正にと,大わらわの毎日である。
▼放送大学授業科目別受講者数ランキング(平成10年度第2学期。カッコ内は受講者概数:単位100名。外国語を除く)1.心理学入門(47),2.カウンセリング(27),3.日本の自然(25),4.児童の臨床心理(25),5.人格心理学(23),6.日本の文化と思想(23),7.保健体育(22),8.人生の哲学(20),9.臨床心理学(20),10.病気の成立ちと仕組み(20),11.哲学入門(20),12.精神分析学(19),13.老年期の心理と病理(18),14.認知心理学(17),15.発達心理学(17),16.現代の精神保健(17),17.乳幼児の健康科学(17),18.老年期の健康科学(17),19.母性の健康科学(16),20.看護学概論(16)……と続いている。
▼恒例の 『1999 ジャンル別目録 放送大学テキスト』 ●人文系・外国語,●社会系・外国語,●自然系・外国語,の3分冊を作成。全点全章見出し付き。
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明星大学出版部
▼児玉九十・児玉三夫共著改訂版『明星ものがたり』(本体1500円)本書は学校法人明星学苑の初代学苑長児玉九十,二代目理事長児玉三夫が語る明星学苑の創設から現在までの変遷を記録したものである。これまで学内の機関誌や記念誌などに掲載されていたものに社会情勢の変化を追録し,時代の変動に翻弄される教育現場で,明星学苑が掲げる教育理念の普遍性をいかに子ども達に伝えていくかを力説する。明星学苑に集うものの必携書。
特に明星学苑が行う「凝念」についてのおこりと意味を詳しく解説。「凝念」の「凝」とは一点集中の意,「念」は観念の念で心のはたらきをいう。つまり心のはたらきを一点に集める,精神統一のこと。明星学苑に学ぶ生徒は授業前に「凝念」の姿勢で教師を待つ。同じように幼稚園児には「みなしずか」として精神統一を指導。喧噪の時代に心をみつめる教育として関係者に再確認されている。このように「凝念」は明星学苑の幼稚園、小学校,中学校,高等学校まで一貫して「生きる力」を育む教育を行う。
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早稲田大学出版部
▼〈シリーズ比較家族第II期〉の配本を開始した。1.『扶養と相続』(奥山恭子・田中真砂子・義江明子編,3800円)は介護や遺産相続を中心に,高齢化社会の家族の生き方を考察する。2.『父親と家族』(黒柳晴夫・山本正和・若尾祐司編,3800円)は少子化が進むいま,家庭における父親の役割を検証する。
▼〈シリーズ高齢社会とエイジング(全8巻)〉第5回配本,7.『高齢者の保健と医療』(柄澤昭秀編,2600円)老年病の予防や治療法を紹介し,高齢者のための保健と医療のあり方を考える。
▼『北欧の政治』(O・ペタション/岡沢憲芙監訳,2800円)北欧5か国の政策を支える独特な政治システムを分析し,福祉国家の現状を多角的に捉える。
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名古屋大学出版会
▼D・ハウンシェル著/和田一夫他訳『アメリカン・システムから大量生産へ 1800〜1932』(6500円)大量生産はいかにして生まれたのか。フォーディズムにいたる展開をヴィヴィッドに描く。
▼御崎加代子著『ワルラスの経済思想―一般均衡理論の社会ヴィジョン―』(4800円)思想としてのワルラス経済学の全体像を解明し,純粋理論研究にも新生面を切り拓いた力作。
▼植村博恭・磯谷明徳・海老塚明著『社会経済システムの制度分析―マルクスとケインズを超えて―』(3500円)資本主義経済の多様性と可変性を解明するべく制度分析を再構築したテキスト。
▼塩見治人・堀一郎編『日米関係経営史―高度成長から現在まで―』(3600円)グローバル競争における日米企業の相互作用を通して,20世紀後半の産業発展のダイナミズムを展望した共同論集。
▼M・ウェーバー著/肥前栄一他訳『ロシア革命論II』(8000円)ウェーバーによる全く新しいロシア革命論。法社会学的視点に立脚した鋭利な分析は,今日的な示唆に富む。
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京都大学学術出版会
▼『〈地域間研究〉の試み』上巻(高谷好一編著・4200円)従来の地域研究においても「比較〜論」という言葉はあった。しかし,特定の事象を取り上げた比較を積み重ねるだけで,個々の地域の全体像は浮かび上がるのだろうか? 地域研究の第一人者たちが,自らの個別地域研究を大胆に見直し,地域の総体として他の地域を比較しようと試みる。地域をまたいで理解する論理(それも一つではない)を見出し,各々の地域の外郭と実質を浮かび上がらせようとする意欲作。文部省重点領域研究の成果を基礎とした研究者必読の書。
▼『材料強度の基礎』(高村仁一著・5000円)材料の強度を決定する金属結晶中の格子欠陥とは何か? その評価と測定の方法は? 材料物理学の泰斗・故高村教授による決定版教科書。
▼『動物個体群の生態学』(内田俊郎著・4800円)動物の個体群における密度効果,寄主・寄生者関係,同一種内における多型性の発現などの問題を,著者自身がおこなった実験と野外調査に基づいて,実証的に論述する。
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大阪経済法科大学出版部
▼長谷川正安・円羽徹編『自由・平等・民主主義と憲法学』〈法学研究所研究双書4〉(5600円)本書は,戦後の憲法運動を理論的に担ってきた一人である長谷川正安氏が本学を退職されるのを期して企画出版された。
「勉強すること,こんな楽なことはない。50年もやっているんだから。」と語られ,いまも健勝な先生に対し,前任校の名古屋大学や本学をとおして関係する各執筆者を中心に様々なテーマで論究する。
▼岩崎允胤著『現代の文化・倫理・価値の理論』(3000円)本書は文化・倫理・価値の三つの篇からなる。各篇において,原理論・総論から,核兵器,日米安保条約,環境問題,生命科学等に到るまで論究は多岐に及ぶ。その基底には,人間とその生の尊厳への著者の熱い思いがある。その理念を著者は,人類の今日の課題の解決に最もよくかかわるような,人間的価値の根底をなし,それらの諸価値を諸価値たらしめる原理であり基準なのである,と語る。
▼近づく21世紀へ向け,憲法・哲学という根本的なテーマの二つの著作である。
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大阪大学出版会
▼堀正二・松田暉監修/是恒之宏編集『内科医のための心臓移植ハンドブック』(A5判・8000円)心臓移植医療を日本に定着させるために必要な,循環器内科医の意識改革に寄与する一書。
本書では,移植の実際,適応の判定基準などにかんする解説とともに,適応症例を提示することで,より具体的に心臓移植の実態と移植医療における循環器内科医の位置づけを理解できるように,様ざまな工夫がなされている。
▼五十嵐徳子著『現代ロシア人の意識構造』(A5判・6000円)ソ連崩壊という大きな社会的変動のなかで,ロシア人はなにを考え,なにをしようとし,また,どこへ向かおうとしているのか。本書ではその答えを,既存のデータからだけでなく,著者が現地で行った社会調査の結果から,統計学的手法によって分析し導き出している。
調査の項目は,経済・政治・社会・宗教と文化・ロシア人のアイデンティティなど多岐に亘る。また,文献に見られるロシア人の国民性と著者が行った意識調査の結果との関係についても考察する。
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関西大学出版部
▼津川正幸著『近世日本海運の諸問題』(2800円)河村瑞賢が東廻り・西廻り航路を開発したことで,物資の大量輸送は大半,海運が担うことになる。他方,海難事故の多発で荷主たちは江戸十組問屋を結成し,事故防止と管理監督に乗り出した。特に,発生した海損を公正に処理することは大問題であった。本書には,ほかに北前船経営の切り出制の一例も収める。
▼眞鍋俊二著『現代独米関係論』(6000円)本書は,日本とドイツの対米関係構造の比較研究を目的とする。第二次大戦後からドイツ統一に至る時期を対象に,ドイツの対外関係構造における対米関係について検討する。従来の日米関係論を回顧するとともに,新時代の日米関係論を再構築する際の基礎的参考文献ともなる。
▼神保一郎著『動学的一般均衡理論研究』(3500円)本書では,静学的生産の理論,貯蓄を含んだ消費理論を議論したのち,価格が固定された経済の動きを論じる。こうした静学的理論を基礎として,動学的一般均衡論ではターンパイク定理,環境問題の影響,価格の成長経路への効果を分析する。
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九州大学出版会
▼〈アジア太平洋センター研究叢書〉
4.松原宏編著『アジアの都市システム』(A5判・350頁・3400円)アジアの都市間競争のゆくえ,首都への一極集中に対する地方都市の戦略など,都市間関係の解明に迫る国際共同研究の成果。5.塩次喜代明編著『地域企業のグローバル経営戦略―日本・韓国・中国の経営比較―』(A5判・304頁・3200円)北部九州の地域企業の国際化を,韓国・中国の同様な企業の国際化と比較し,新しい事業展開を目指した国際経営戦略を展望する。〈同叢書・既刊〉1.小川雄平編著『タイの工業化と社会の変容―日系企業はタイをどう変えたか―』(A5判・158頁・2800円)。2.丸山孝一編著『現代タイ農民生活誌―タイ文化を支える人びとの暮らし―』(A5判・240頁・3200円)。3.矢田俊文・朴仁鎬編著『国土構造の日韓比較研究』(A5判・440頁・5000円)。
▼ジャン・パウル/恒吉法海訳『ヘスペルスあるいは四十五の犬の郵便日』(A5判・712頁・12000円・97年4月刊)本年度第35回日本翻訳文化賞受賞。
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東北大学出版会
▼森芳三著『昭和初期の経済更生運動と農村計画』(A5判・324頁・5000円)昭和初期の農山漁村経済更生運動を扱った著者の一連の研究を集大成したものである。昭和初期は巨大な変転の時期であり,「非常時」の時局であった。この状況で,重要な政治経済的役割を担った運動が農村経済更生運動である。運動の核ともいうべき位置に,農村計画が据え置かれていた。村民側の自力更生運動と政府側の政策である経済更生計画とが結びついて展開されることになった経済更生運動を周到な資料調査にもとづき実証的に分析する。
▼大内清昭・佐藤春彦監修『油性抗癌剤を用いた肝細胞癌の治療―SMANCS動注療法検討会編』(B5判・114頁・3000円)東北地方の基幹病院における本治療法の使用経験を持ち寄りその効果と問題点を検討し,さらに肝癌の病態をも広く勉強することを目的として開催された5回の検討会の内容をまとめた。
▼小林久三(作家),山田みづえ(俳人)らのエッセイを載せた会報「宙」4号が発刊されました。
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流通経済大学出版会
▼坂内誠一著『江戸最初の時の鐘物語』(四六判・200頁・2500円)
本書は,今年1月小会発行の『江戸のオランダ人定宿 長崎屋物語』の連作であり,17世紀初期に,当時の江戸日本橋本石ホンゴク町三丁目に建設された「石コク町の時の鐘」を主題としてとりあげている。「石町の時の鐘」と「長崎屋」は,やはり当時の鐘撞新道を隔て至近の距離にあって17世紀初期から19世紀中期頃までの約3世紀の間併存し,江戸の中心街の歴史を織り成していたようであるが,その実像は長崎屋と同様不明の部分が多く残されているという。
著者は,この「石町の時の鐘」について多くの史料をもとにその建設の時期,場所,規模と外観,鐘の音や音色などについて明解に推理している。又,随所に,当時の時刻の知らせ方や鐘にまつわる説話やエピソードを織りまぜている。
平賀源内や吉田松陰などが小伝馬町の牢屋敷でこの鐘を聞いたであろう下りや大内良雄ら赤穂浪士四十七士がこの鐘の音を合図に行動を起した話など読者の興味はつきない内容である。
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三重大学出版会
▼石田正昭編『食と農』(A5判・150頁・1323円)本書は三重大学共通教育(1年次後期)に開講される総合科目「食と農」の教科書である。冒頭に総合科目の主催者が行う1回のガイダンス,末尾に1回のまとめを入れて,合計15回(講師13人)の講義に対応するかたちで編集されている。また講義担当者は生物資源学部,人文学部,教育学部の教官及び外来講師で編成されており,「食と農」が人文科学,社会科学,自然科学の各方面から探求されるよう工夫されている。
▼玉置維昭著『折々の記』(A5判・176頁・2625円)著者の退官記念パーティー用に書かれた随筆集。昭和50年10月,三重大学工学部教授に就任した著者が,平成10年3月までの22年6ヶ月に及ぶ三重大学生活の四季折々を綴ったもの。工学博士である著者はこの随筆集の執筆のために「自分史の書き方教室」に通い,随筆家の手ほどきを受けてこの著作を準備した。各章ごとに配置された多数のカット,表紙のイラストもまた著者の意匠を用いたものである。
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