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北海道大学図書刊行会
▼田中一著『さよなら古い講義』(四六判・1800円)質問書方式による会話型教育法への招待。これにより、(1)私語がなくなり、(2)学生の思考力、理解力が高まり、(3)文系大学で不確定性原理の講義が成功した、ことなどが明らかにされる。小・中・高の授業、会社の研修でも使える。▼栗山浩一著『環境の価値と評価手法』(A5判・4700円)生態系破壊の損害を金額で評価するCVM(仮想評価法)の理論的背景の検討とわが国の湿原や河川生態系を対象とした実証分析に基づき、新たな生態系保全政策を提唱。▼高見勝利編『人権論の新展開』(A5判・4800円)▼瀬川信久編『私法学の再構築』(A5判・6000円)北大法学部創基五十周年記念出版。北大法学部の教授・助教授を中心とする執筆陣が、最先端の研究から古典的命題の再検討まで日頃の研鑽成果を書き下ろした論文集。▼中浦皓至著『日本スキー・もうひとつの源流』(A5判・3500円)レルヒ中佐による旭川第七師団でのスキー講習を契機とする北海道スキーの誕生過程を、未発掘資料を駆使して解明。
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聖学院大学出版会
▼エーミル・ブルンナー『正義 社会秩序の基本原理』(寺脇丕信訳、5800円、A5判、436頁)
 社会主義体制の崩壊は、世界の市場経済体制化という社会構造の変動をもたらした。現代世界では、経済原理の優先によって、人権は侵害され、また国家や社会の枠組みも揺らぎはじめている。しかも現代では社会を批判する原理も見失われている。それでは二十一世紀に向けて、市場経済原理ではないとすると、何によって正しい社会秩序を形成できるのか。人権は何によって基礎づけられ、いかに保障されるのか。個々人が孤立し政治的無関心が蔓延している中で政治的公正を実現するために、なにが考えられなければならないか。
 本書は、1943年に出版されたものであるが、このような現代の課題にも応えうる基本原理、つまり法・経済・国家・家族・国際関係などを秩序づけている基本原理を提示している。
 著者はスイスのチューリヒ大学で神学・社会倫理を教え、戦後国際キリスト教大学で教えたこともある神学者である。

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慶應義塾大学出版会
▼『ビット産業社会における情報化と都市の将来』(伊藤滋監修、光多長温・日端康雄編著、1500円)は、情報化の進展による国土の変貌と情報化時代の地域振興の条件について、思い切った将来像を描く。▼『グループ・インタビューの技法』(S・ヴォーン他著、井下理監訳、田部井潤・柴原宜幸訳、2600円)は、教育学・心理学・マーケティング・コミュニケーション等への応用について解説する。米国で実績・定評のある良書の完訳。▼『福澤論の百年』〈KeioUP選書〉(西川俊作・松崎欣一編、2200円)は、『三田評論』に掲載された福澤論から、出色の評論、異色のエッセイ、近年の福澤論の傾向を窺わせる座談を収録。慶應義塾『三田評論』創刊百年記念出版。▼『女?日本?美?―新たなジェンダー批評に向けて―』(熊倉敬聡・千野香織編著、2500円)は、「芸術」のジェンダー化、政治化の視点から、「女」「日本」「美」をめぐる言説とその背景にある権力を問い直し、新たなジェンダー批評の理論と実践の可能性を拓く論集。
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産能大学出版部
『起業の心得―めざせ日本のビル・ゲイツ―』松井利夫著(1600円)
 1980年初めのアメリカで、500万人の失業者が出たとき、中小のベンチャー企業がこれを吸収してアメリカの経済を蘇らせた。
 今日の日本経済に活路を見い出し、経済の再生・活性化をはかるためにベンチャー型のアントレプレナー(起業家)の出現が切に求められている。
 本書は、四畳半一間に製図版2枚から創業した著者が、株式公開をはたすまでの、実体験をもとに、起業の心得・起業家の資質についてを述べたものである。
 100人には100の顔があるように、経営にもそれぞれのやり方があるが、著者の提唱する「経営者学」は、志・情報(知識)・創造(知恵)・実践(行動)が成果となり、評価となって達成されるにはどうしたらよいかを具体的に述べている。
 知恵や勇気の大切なこと、戒めなど経営者として体験したものを若き起業家に伝えたいという使命から著者の熱い思いを述べたものである。

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専修大学出版局
▼坂誥智美著『江戸城下町における「水」支配』(4500円)水は、人間が生きることを営むうえで、基本のものである。古来より水を制する者がその社会を治めてきた。水については上水、下水、堀、河川等があって、近世の水研究は封建社会が水田耕作を中心とした農業を基幹としていたため、治水史の側面が強いのであるが、本書は江戸城下町を流れる河川の管理がどのようになされていたかについてまとめたものである。
 管理のための幕府職制のうち、特に道奉行、町奉行、本所奉行、普請奉行らの職制、幕府内の位置付け等を考察していき、終章では、環境法制史的な視点から塵芥処理と屎尿処理の問題にまで論考を及ぼしている。
▼石巻専修大学開放センター編『夢と遊びごころ』(1400円)地域市民に開かれた講座として第8回を数え、本としてもシリーズ3巻目になる。
 混迷の時代に潤いをもたらす「夢と遊びごころ」をテーマに、「自然への好奇心」「大学の夢」「プレイメカトロニクス」「夢と眠りと脳」など14編。

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玉川大学出版部
▼大学が辿ってきた歴史を繙くことから、その本質をあぶり出した秀作二点。羽田貴史著『戦後大学改革』(4500円)は、大学自治の制度化、一般教育の導入、大学の地域的配置の計画的統制など、戦後〜60年代に至るまでの大学諸政策の意義を、史料を駆使して解明する。伊藤彰浩著『戦間期日本の高等教育』(6200円)は、大学昇格や「知識階級」の就職難、学校騒動など諸問題が噴出し、顕著な量的拡大を遂げた高等教育大変動期を描く。
▼変革期にある日本の大学が、高等教育先進国アメリカから学ぶべき点は多い。喜多村和之著『現代の大学・高等教育―教育の制度と機能―』(4500円)は、日米比較の視点から、制度的概念・システム論・教育機能・大学評価などの問題を取り上げる。現代高等教育論の決定版。E・アシュビー著/宮田敏近訳『誰でも何でも学べる大学』(2400円)は、イギリス大学人の立場からアメリカ高等教育を論じた古典的名著。万人に開かれた大学における学生・教師、教育と研究のあり方を語る。

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中央大学出版部
▼城山英明・鈴木寛・細野助博編著
『中央省庁の政策形成過程―日本官僚制の解剖―』(2600円)
 中央省庁の意志決定がどのような多元性、動態性をもっているかを、主な省庁の起案から行政活動執行までの一連のプロセスを具体的に記述することで明らかにしようとしている。本書の独自性として、従来ブラックボックス化してきた省庁内部の意志決定プロセスを明示化する初の試みであること。研究者と各省庁の第一線で働いているキャリア官僚との共同研究のため実証性の高い研究成果が実現できたこと、の二点が挙げられる。
 特に行政改革への取り組みについての政策形成過程の紹介などは、ドキュメントとしても面白く、一般にも興味深いものになっている。

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東海大学出版会
▼図研究会『図・建築表現の手法』
 本書は、大学での建築設計教育において、その基礎的部分である建築設計図面等の描き方(表現手法)等を、はじめて学ぶ人が簡単に理解できるように、欧米および日本建築の巨匠たちの作品(ミース、コルビュジエ、アーキグラム、清家清、磯崎新)を参考にわかりやすく解説する。内容‥配置図・平面図・立面図・断面図・アクソメなど

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東京大学出版会
 バブル崩壊後久しく、日本経済は低迷をつづけている。世の中は「景気の回復」の合唱であふれている。折しも「春闘」の季節、それもまもなく「死語」になるかもしれない。多くのわが国の給料生活者にとってもはや右肩上がりの収入は今後は望むべくもないのだろうか。では、この国の社会保障 年金、保険、医療等の財源はどうなるのだろうか。
▼『先進諸国の社会保障』(全7巻)の刊行を開始した。1.イギリス、2.ニュージーランド・オーストラリア、3.カナダ、4.ドイツ、5.スウェーデン、6.フランス、7.アメリカ。各巻とも、第1部「社会保障の背景」、第2部「所得保障」、第3部「医療保障と社会サービス」、第4部「社会保障改革の動向」と目次をそろえ、本年中に完結する予定である。(1〜4、各5200円)
 二十一世紀を目前にして、社会保障制度の見直しが迫られている時に、先進諸外国のあゆみと最新の動向を知ることは、わが国のゆくえを占ううえでも必要なことであろう。気鋭の研究者が全国から集まり、このシリーズが編まれたことは、時宜に適った試みであると思っている。

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東京電機大学出版局
 先の大戦におけるソ連軍戦車T34は、その活躍振りに比べて中の狭隘さで悪名高かった。しかも床は固定のまま砲塔だけが回転したから、砲手はアクロバットさながらの次発装填を強いられた。ライバルの独軍戦車とは雲泥の乗り心地だったとか。これは即ち人間工学の有無を意味する。勝敗の問題ではない。
 高齢社会を迎え、老人が老人を介護する状況が実際に現れた。介護者の方が無理な動きで身体を痛めてしまう例もある。英国では介護動作に関する諸規則が社会に浸透し、そんな例が激減したという。本書はその辺りの話題にも触れながら、イラストを上手く使って、人間工学の基本的考えから応用までを解説する。人を大切にする国や社会は、やがて尊敬と賞賛を勝ち取るだろう。

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東京農業大学出版会
▼武田正久『東京農業大学醸造科学科と酒づくりのはなし』
 お酒づくりというと、いい環境で、いい水で、よい米で、そして職人的な杜氏(とうじ)さんの腕によって造られる、たいへんロマンのある仕事ではないかと思われます。しかし、著者は、そのような点にとらわれることなく、科学的な分析によって酒づくりを客観視しているのです。例えば、水の問題。よい水、おいしい水を使えば、おいしい酒が出来るかというと、そうではないと指摘します。おいしい水を使えばおいしい酒は出来るでしょうが、名水といわれるようなおいしい水でなくても、同じようにおいしい酒は出来る。これは科学的な事実であるといいます。
 本書は、著者が学生の教材用として書いたものです。数々のお酒の開発を手がけてきた著者が、科学的な根拠なしに、ロマンとして扱われてきた酒づくりの闇に科学の光を当てるものでもあります。

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法政大学出版局
▼ギュスターヴ・フロベール著
斎藤昌三訳(叢書・ウニベルシタス618)
『フロベールのエジプト』……3500円
=讀賣新聞評(1月24日)より抄録=
フロベールは1849年から一年半をかけて中近東を旅行した。本書はそのうちのエジプト旅行記で、削除なしの完全版の初の全訳。帰国後、5年をかけて彼は『ボヴァリー夫人』を書き上げるが、それに先立つオリエント旅行記は、十代なかばから十年以上の長い習作の時期を経て、フロベールが作家としての出発を遂げた作品と考えられており、貴重な文献学上の資料でもある。
 しかし、それ以上に旅行記としても本当に面白い。エジプトの強烈な光や砂漠の嵐、エキゾチックな踊りや食物の匂いが感じられるような紀行文になっていて、思わず引き込まれてしまう。
 未知の国で未知の文化に肌で触れた驚きが、全篇にみなぎっている。それは異質なものとの出会いや価値の多様性を重んじる今日的な多文化主義(マルチカルチュラリズム)と通じるものでもあるのだろう。評者・城戸朱理氏(詩人)

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放送大学教育振興会
▼放送大学では二十一世紀のあるべき放送授業の姿を目指して、平成十一年度より「基幹科目」と「主題科目」を開設することとなりました。それぞれの科目の目的は次のとおりです。
基幹科目…従来の専門分野にとらわれず現代社会の基本的な課題について考え、それを追究するための幅広く深い教養と総合的な判断力を養うとともに、問題の所在とその探究の方法を考える手掛かりを与えること。
主題科目…各専門分野を横断する今日的な主題について、課題の認識、理論の理解など、課題解決のための学際的・総合的知見と思考力の涵養を図ること。
▼初年度に開設される基幹科目と主題科目は、それぞれ「現代日本の地方自治」「現代日本の教育課題」「日本の自然」と「地球環境を考える」(いずれも平成11年3月刊行予定)。
▼放送大学印刷教材の編集・発行が放送大学教育振興会の大きな業務の一つである。平成11年度の新刊は71点、放送大学の第一学期に開設される科目は、308科目。

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明星大学出版部
▼神辺靖光著『教育史散策』。四十年余の教育史研究とともに、中・高・大学で教鞭をとってきた筆者の、世に訴えようとする思いをまとめた珠玉の書。
 大学院在籍中、学資を得るために杉並区にあった私立城右中学・高等学校の講師となった筆者は、戦後のアメリカ化一辺倒の時流の中で、威武に屈することなく、孔孟の道を説いた河野通禰太校長に傾倒。河野校長との明治の私塾・私学の反骨、独立精神についての談論が、生涯をかけた教育史研究の端緒となる。昭和4二年、大学教員のまま財団法人日本私学教育研究所の兼任研究員となり、教育史研究の中で最も手薄だった中等教育史を専攻。昭和戦前期の旧制中学校を舞台としたドラマ「はっさい先生」(NHK放映)の監修者となって全国に紹介される。なお、私立東京文化高等学校の主事として、卒業生や父母を前にした講演や朝礼での訓話、私立中学・高等学校教員のための講演「中等教育史と慶應義塾」「近代日本の学校と私学」も収録。日本の教育を知るうえに手軽な書になっている。

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早稲田大学出版部
▼『産業社会の発展と議会政治―一八世紀イギリス史』(松園伸、3600円) 富の裏側に潜む腐敗と堕落。産業社会が発展するなかで、新しい政党政治が誕生し変貌する過程をつぶさにあとづける。
▼〈シリーズ高齢社会とエイジング(全8巻)〉第六・七回配本、(8)『エイジングの政治学』(内田満・岩渕勝好、2600円)、(5)『高齢者のライフスタイル』(嵯峨座晴夫、2700円)「国際高齢者年」におくる必読書。
▼『オーウェル―時代を超える精神』(奥山康治、4000円)没後50年近くを経たいまも、読者を獲得し続けるジョージ・オーウェル。その全体像を時代背景とともに浮彫りにする。既刊『ジョージ・オーウェル』(同前、3500円)。

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名古屋大学出版会
▼岡本隆司著『近代中国と海関』(9500円)中国と西洋の交渉の場であった海関制度を軸として、16世紀末から20世紀初にわたる中国の国家構造とその変遷を、西洋近代モデルによる枠組と通説を批判しつつ、実証的に解明した力作。
▼阿部稔雄編『最新人工心肺―理論と実際―』(6000円)体外循環の実際、病態生理、新しく開発された人工心肺に関係する機械装置・計測機器など最新の知見を盛り込んだ手引書。医師、臨床工学技師、看護婦必携。
▼石井三記著『18世紀フランスの法と正義』(5600円)ヴォルテールの関与した冤罪事件、ベッカリーアの近代刑法へのインパクトなど、啓蒙から革命までの刑法改革思想の冒険を描き、底流をなす法観念の変容を析出する。
▼大林信治・山中浩司編『視覚と近代―観察空間の生成と変容―』(3048円)近代は視覚の時代か 「視覚」と「モダニティ」の関係を、美術史、科学史、思想史、文学史などの領域から探究。歴史的変化を射程に入れ、均質な近代イメージの限界と経験の多様な可能性を問う。

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京都大学学術出版会
▼『幼児期の他者理解の発達―心のモジュール説による心理学的検討―』小安増生著・4500円/人間の心のしくみがいくつかの相対的に独立した機能単位から成り立つとする「心のモジュール説」の立場に立ち、視点取得・「心の理論」・社会的知能といった多彩な心理学的概念を用いて、幼児期の心の発達のメカニズムを追う。テキストとしても好適。
▼『〈総合的地域研究〉を求めて―東南アジア像を手がかりに―』坪内良博編著・5400円/地域をとらえる〈総合的〉な視座こそが多様性と共存の時代を支えるパラダイムを拓く 新しいフロンティア論、世界単位、エコ・アイデンティティ…など、わが国の中心的研究者が、二十一世紀の地域研究に新しい認識と方法を提示する画期的論集。
▼『Landslides of the World:世界の地すべり』地すべり学会国際部編著・16000円/人口増加、都市開発とともに増え続ける地盤災害…。「国際防災の十年」の最終年にあたり、過去十年の世界の主要な地すべり、土石流、岩盤崩落など約百事例を豊富な図版入りで報告。

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大阪経済法科大学出版部
▼藤田整著『The Soviet Economy as a Social Experiment』(B6判・94頁・2000円)20世紀の重大事件の一つであるソ連の誕生と崩壊。そのソ連経済を分析した英語論文三編。
▼村下博著『外国人労働者の政策と法』(A5判・6500円)長年、外国人労働者問題に取り組んできた著者の集約的刊行。日本の外国人労働者問題の状況、政策と展開。アジアの労働力移動の現状。外国人労働者問題と労働法学の総括と課題。
▼韓羲泳著『文献史的商品学−ドイツ商品学説史―』(A5判・2000円)現代マーケティング論の核心たる商品を、文献的商品論の立場から分析し、体系的な商品学説史を展開する。特に、商品学の先進国ドイツの諸学説を整理し、その分析と評価に重点をおく。
▼山代義雄著『地方自治法講義〈改訂版〉』(A5判・240頁・1900円)長年、大阪府の行政にたずさわってきた著者の経験や事例を取り上げ、地方行政を学ぶ人にとって格好の入門書となっている。

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大阪大学出版会
▼脇田晴子/A・ブッシィ/上野千鶴子編著Gender and Japanese History(vol.I. II)[邦題『ジェンダーの日本史』]
 本書は、すでに刊行されている日本語版『ジェンダーの日本史(上下)』(東京大学出版会刊)が欧米でも評価を得たため、さらに、最近のすぐれた研究の成果をつけくわえて英訳されたものである。
 内容は、たんに女性のみのあり方を問うのではなく、男女のかかわり合いの中で社会的、文化的に性差がつくられていくことを検証し、日本史を新たな視点から構築していくことをめざしている。
 本書は、外国人と日本人の日本研究者による6年間におよぶ共同研究の成果である。また、歴史学・文学のみならず宗教学・社会学・社会人類学・民俗学・言語学・医学・法学など多岐にわたる分野の研究者を糾合しての学際的研究であり、当初から、日本語のみでなく英語版を刊行することが目的とされていた。
 今回の英訳化によって、さらに広い範囲の研究者の批評を得るとともに、日本語を解さない人びとにも広く読まれることを願っている。

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関西大学出版部
関西大学出版部▼ダニエル・デフォー研究会訳『ロビンソン・クルーソー挿絵物語』(2000円)挿絵とは単に作中のエピソードを視覚化したものではない。それは特定の時代や社会における作品解釈を視覚化したものである。本書は、挿絵という時代を映すイコンを丹念に読み解くことで、時代とともに変貌するロビンソン・クルーソー神話の姿をダイナミックにとらえた傑作である。▼橋本恭之著『税制改革の応用一般均衡分析』(2700円)シミュレーション分析を採用することで、税制改革の影響を数量的に把握し、現実的な政策提言と理論分析の間の架け橋となることをめざした研究書。部分均衡から一般均衡へ、短期的分析から長期的分析への多彩なシミュレーション。近年の税制改正の概要や所得税、消費税の仕組みも詳しく解説。税理士をめざす人にも好適。▼上田惟一著『ピューリタン革命史研究』(3500円)17世紀イギリスにおける教会教派の宗教・思想闘争を詳細に分析し、それが当時の政治体制と政治過程に決定的な影響を与えたことを論証しようとした日本で最初の研究書。
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九州大学出版会
▼サー・フィリップ・シドニー/礒部・小塩・川井・土岐・根岸訳『アーケイディア』(A5判・566頁・9400円)ギリシャ、小アジア、黒海周辺におよぶ広大な古代世界を舞台とする華麗なパストラルロマンス。英国ルネッサンスの代表的物語文学、本邦初完訳。▼石部雅亮編『ドイツ民法典の編纂と法学』(A5判・548頁・8200円)ドイツ民法典編纂の過程を歴史的に叙述すると同時に、その個別制度と規定の成立史を詳細に分析。ドイツ民法典公布一〇〇年記念、共同研究論集。▼矢野宏二・矢田脩編『熱帯昆虫学』(A5判・430頁・7200円)熱帯における昆虫の多様性や華美で驚嘆すべき形態と擬態など古くからよく知られていたにもかかわらず、熱帯昆虫を体系的に記述した書は内外ともになかった。現在世界的な緊急課題である熱帯雨林の破壊を視野に入れて、熱帯昆虫の危機と保護についても解説。生物多様性問題など関係領域の理解と発展にも寄与する。▼上里賢一編『校訂本中山詩文集』(菊判・378頁・8000円・98年3月刊)第二六回伊波普猷賞受賞。
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東北大学出版会
▼〈TUP叢書3〉『父阿部次郎』
(大平千枝子著、2200円)
 「語り部」として娘が描く、哲学者阿部次郎の老いと死。「……あれほど強かった父は、私の目の前で、少しずつ少しずつ弱い父に変わって行き、とうとう消滅してしまった。……」(本文より)。
精神的にも肉体的にも強い父の姿。その父の老いとのあらがい。日々勝る死の影。衰微していく肉体と精神。阿部次郎とその家族が、老いと死をどのようにして受け入れていったのか。愛惜のまなざしと透徹した観察力と筆力によって紡ぎ出す。幻の名著「父阿部次郎愛と死」(1961年刊行)の増補復刊版。
▼『フォンターネの詩』(藤田賢著、3500円)
十九世紀後半のドイツで最も重要な作家の一人、テーオドーア・フォンターネの「詩」について、訳詩・詩論を合わせ、「詩人」フォンターネの全体像を解明する。普遍的な詩境、万人共有の心情や感懐が巧みに表現されている作品の他、晩年の心境や見解を独特のトーンとリズムによって吐露した作品も紹介されている。

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流通経済大学出版会
▼根橋正一著『上海―開放性と公共性』
(A5判・260頁・4000円)
 本書が問題にしているのは上海の街に満ちる活力である。上海の活力は経済的エゴイズムと開放性とを基礎に持っており、ある時期には西欧の市民社会に比せられる上海的公共性のあらわれでもあった。その源は上海の形成過程から始まっていた。
 しかし、この上海的公共性は社会主義的共同性理念に基づく毛沢東の新中国統一によって活力を奪われ、エゴイズムや家族中心主義が助長された。
 現在、中国政府が進めている改革開放政策の成否の鍵は、中国を社会主義的共同性から上海的公共性へと方向転換させられるかどうかである。
 この観点から、今後の中国の動向を予測する際、江沢民総書記を始め朱鎔基首相、黄菊、呉邦国、丁関根などの中央指導者が上海人あるいは上海で社会的、政治的な基盤を築いてきた人たちであり、上海的公共性の継承者であることを忘れてはならない。

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三重大学出版会
▼『地方からの農政改革―三重県の挑戦―』(石田正昭編、2400円)いま、我が国の行政システム全般で非効率やアカウンタビリティの低さが問題となっており、様々な議論が行われている。ただし、そのような議論の多くは行政外部からのものであり、実現可能なシステム変革の提案が行われることは少ない。
 三重県は国からの強い反発を受けながらも実質的な行政システム改革に努力している。本書は三重県の大学研究者と、当事者である県庁職員の合作による、農政システム改革についての分析と提言である。建前でない本音の、現場からの農政改革に関する議論は他の行政改革にも参考になろう。
▼『高等物理学教程(量子力学篇)』(阿閉義一、4月刊行予定)本書は『高等物理学教程(力学・電磁気学編)』、『同(代数・幾何編)』に続く著者3冊目の物理学教科書である。オーソドックスな正準量子化の方法を紹介し、量子論の代数構造とその表現論、および実際の量子系を取り扱う際に必要とされる種々の近似法の問題等を取り扱う。

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