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北海道大学図書刊行会

▼吉野悦雄著『複数民族社会の微視的制度分析』(A4判・12000円)リトアニアの46家庭への長時間聞取による詳細な家系図作成を通して民族共存の条件を探る。
▼岩井浩・福島利夫・藤岡光夫編著『現代の労働・生活と統計』(A5判・4200円)現代日本の労働者が抱える問題点を最新の数値を基に解明した統計による日本労働分析。
▼谷本一之著『アイヌ絵を聴く』(B5判・16000円)江戸幕末史料とその後の調査記録を対照してアイヌ芸能(音楽や舞踏)の時間的変化過程を検証。アイヌ文化の変容と同化の様相を示す。付録CD。
▼戸苅賢二・土屋篁著『北海道の石』(四六判・2800円)普通にみられる基本70種を収録した岩石と鉱物の図鑑。
▼池田久實監修・霜山龍志編『輸血学』(B5判・12000円)臨床医学および社会医学的観点に立ち現代輸血学の最新情報を解説。
▼大崎直太編著『蝶の自然史』(A5判・3000円)可憐さに秘められた進化の謎を解明。
▼工藤岳編著『高山植物の自然史』(A5判・3000円)お花畑に秘められた厳しさと適応の進化。


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聖学院大学出版会

▼渡邉守道著『ニコラウス・クザーヌス』(A5判上製、本体5600円)
 15世紀の思想家ニコラウス・クザーヌスが、書き記した文書は、数学的問題から、認識論、イスラム教に対する理解など驚くほど領域が広く膨大なものである。その中でも、これまで、ヤスパースをはじめとしてクザーヌスの哲学的著作がおもに取り上げられ、哲学者としてのクザーヌス思想の特質が論じられてきた。著者は、しかし、長年、クザーヌスの政治思想に着目し、対外的にはオスマン・トルコの侵攻に直面し、対内的には皇帝と教皇の権力分立の中で分裂の危機に直面していたヨーロッパ・キリスト教会が、M・ルターの宗教改革に先立つ八十年前にいかに内部改革を進めながら、危機に対処していったかをクザーヌスの公会議主義との関わりを中心に論じる。
 アメリカ・クザーヌス学会会長として、世界のクザーヌス研究をリードしてこられた著者ならではの「クザーヌス研究の現況」についての詳細な報告とクザーヌス政治思想の現代における意義が明らかにされている。


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麗澤大学出版会

▼ジョン・グリビン著/立木教夫訳『宇宙進化論』(四六判・上製・400頁、本体3600円)
「宇宙」という言葉は、実に魅力的な響きをもって、私たちの想像力をかきたて、ロマンをさえ感じさせる。一方で、その宇宙の生成・構造・未来を探求する「宇宙論」は、最新の科学的知見とテクノロジーを綜合した科学の最先端を行く学問と言ってよい。
 本書は、宇宙には興味を持っているが、宇宙論の難解さにはついていけないと嘆じている一般読者のために書かれた、現代宇宙論最前線からの報告である。ビッグバン、ブラックホール、多重宇宙論などの最新の研究成果を踏まえ、宇宙の進化メカニズムを解明、「宇宙は多数存在し、かつ生きている」という脅威の結論が導かれる。


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慶應義塾大学出版会

▼西村顯治著『生命探求の姿勢―ヴェサリウスからゲノム解析まで―』(2500円)16世紀から20世紀末までのライフサイエンス史を、人物とテーマで織りなした啓蒙書。自己の目と頭脳、判断力を出発点とした近代科学の創始者たちの気概を、今に蘇らせる。先人たちから受け継ぎ、次の世代に受け渡す科学文明とは何かを探る好著。
▼熊倉敬聡著『脱芸術/脱資本主義論―来るべき〈幸福学〉のために―』(3000円)人々を疲弊させる資本主義のあり方に疑問を呈し、脱資本主義的価値の実現を試みる「脱芸術」への考察等をとおして「がんばらなくてもいい社会」を模索する。
▼ハインリヒ・ヴェルフリン著/海津忠雄訳『美術史の基礎概念―近世美術における様式発展の問題―』(10000円)西洋の16世紀(盛期ルネサンス)と17世紀(バロック)の美術を対象に、フォーマリズムの方法論を打ち立てた名著が完全新訳で登場! 原著刊行時には、芸術家の歴史としての美術史ではなく、様式の発展に注目した「人名なき美術史」として議論を巻き起こした。美術研究者必携。


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産能大学出版部

▼『経営構想の策定と実現』鈴木成裕著(2600円)
 変化常態、グローバル化の中で、企業の競争優位は「構想力」如何にかかっている。本書は経営構想の立て方・磨き方、それを実現するための具体的な進め方・留意点を示したものである。また構想実現を妨げる幾多の障害を解決していくプロセスも明示。豊富な事例を持つ当代一流の著者が究明する。
▼『経営者のIT知識』猪目宰正著(1800円)
 今後、企業間の情報システムは取引間相互のシステムと連携して動く。IT構築は企業にとって焦眉の急の問題であり、経営者はどんなポイントをもってIT構築・投資の意思決定をすべきか。
 そこで経営者が留意しなければならないのは、IT導入で直ちに生産性向上・利益貢献ができるという錯覚。巨額の投資をしても成功例は稀。それは経営者がIT業者、技術者、評論家の言に引きずられて投資を行った結果である。本書はそのような愚を避け、情報システム成功への留意点を述べたものである。


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専修大学出版局

▼藤本一美『戦後政治の争点1945-1970』(3300円)
 本書は、戦後政治の主な論点について、1945年から1970年までの26年間を1年毎に取り上げて、その年のイッシューを摘出して「保守と革新」の対立軸から分析を行っている。
 筆者はもともと、米国現代政治を研究対象としてきたが、2000年の時点に立って、日本人として筆者自身が歩んできた戦後政治との関わりを踏まえて、政治や社会の主要事件が、既存の資料を駆使しビビットに扱われている。これまで、戦後政治の分野については、信夫清三郎の『戦後政治史』がスタンダードな研究書として知られていたが、本書の出版によって、新たな視点から戦後政治を再考できるであろう。


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玉川大学出版部

▼金剛永謹『金剛家の面』(35000円)金剛流では代々の宗家が面に対して造詣が深く、在来のものに加えて歴史的な蒐集を続けてきた。その金剛家秘蔵の面のうち、「是閑」「河内」など室町時代の面を中心に桃山・江戸初期までの優品九八面を表裏ともに原寸カラーで収録。写真210点。金剛流二十六世宗家継承記念。
▼天野郁夫編『学長 大学改革への挑戦』(2500円) いま、日本の学長に求められているものは? 松前達郎(東海大学)、井村裕夫(京都大学)、清成忠男(法政大学)、上野一郎(産能大学)など16人の学長へのインタビュー集。多様な見解や意見から浮かび上がる大学改革の方向と学長像。


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中央大学出版部

▼山内惟介編著『国際契約法』(3100円)広範な領域を対象とする国際取引法の分野の講義対象も基本的な分野に限定されざるを得ないなか、国際取引に関する実体法的規律の基礎ないし中心部分を成す国際契約法を選び基礎的思考力の着実な体得と、その初歩的応用の機会を提供することを目的としたテキスト。
▼ウィーン民衆劇研究会編訳『ライムント喜劇全集』(上)(下)(各4000円)オーストリア演劇史を代表する喜劇作家であり生粋の舞台人でもあったライムントの荒唐無稽な東洋と眉唾物の西洋、美徳と悪徳の闘争の物語などの作品を通して、十九世紀前半のウィーン社会が何に感動して何を求めていたかを解明。
▼中央大学大学院総合政策研究科日本論委員会『日本論―総合政策学への道』(3300円)知情意のバランスのとれた人間像が求められ、総合的な文化を身につけることが日本人全体に提起されている現在、混迷の原因を分析し世界に占める日本の位置を知り、我々はどうすべきか、政策と文化の融合をどのように理解していったらよいか追究したテキスト。


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東海大学出版会

▼テオニ・パパス著/秋山仁監訳『数学は生きている―身近に潜む数学の不思議』(2700円)
 「あっ、こんなところにも数学があったのか!」と、我々の身のまわりには思いがけないところで数学が使われていることがある。パズルやゲーム、美術や音楽、その他の自然界のあらゆる事象も数の世界と深い関係がある。
 本書は、日常生活や自然界で出会う数の世界や、数学に関係深い話題を182の項目で紹介している。
 いくら「数学なんて興味がない」、「嫌いだ」と言ったところで、決して数学からは逃げられないのだ。むしろ、少し見方を変え、嫌いな数学を好きになった方がいいだろう。


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東京大学出版会

▼栗原彬・小森陽一・佐藤学・吉見俊哉編『シリーズ越境する知』(全6巻)
 日本の新しい知の布置が到来したことを確信させる現代思想のシリーズが刊行開始となった。いま話題の執筆者がそろい、読み手の知的枠組みが組みかえられてしまうのがこのシリーズの仕掛けだ。
(1)「身体:よみがえる」(7月刊)、(2)「語り:つむぎだす」(8月刊)、(3)「言説:切り裂く」(9月刊・以上各巻2600円)、続刊として(4)「装置:壊し築く」、(5)「文化の市場:交通する」、(6)「知の植民地:越境する」(各巻予価2600円)の全6巻。また、「0巻」として、編者が自分自身を問うた▼『内破する知  身体・言葉・権力を編みなおす』(2200円)がすでに刊行されている。


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東京電機大学出版局

『ISO15408 情報セキュリティ入門』内山政人著、本体3,500円(税別)
 インターネットが急速に普及しつつある現在、情報の世界における安全の確保が急務であることに異論はないだろう。しかしながらそのための方法論や法制度、セキュリティ意識の面において、日本での取組は十分とは言えない。
 欧米では、情報セキュリティの客観的な評価とその標準化に関する優れた成果が各国の取組の中であげられており、その一つの集大成が本書で取り上げる情報セキュリティ評価基準「ISO15408」である。
 本書では「ISO15408」で提示されている体系的な情報セキュリティ対策とその考え方の概観を解説した。IT技術者およびシステム担当者必読の書である。


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東京農業大学出版会

〈シリーズ実学の森〉『都市、緑と農―「農」が担う地球の将来』東京農大学長 進士五十八著(B6判、128頁、本体価格700円)
 環境の概念をとらえる基本知識を学ぶ、市民参加のまちづくりなど、これからのまちづくりを考えるための必携書。
 新世紀は「都市」の中に「農村」の良さを取り込む時代であるという。「都市」と「農村」の共生がそこにある。「都市」は生産も生活も環境も人間もバラバラに効率本位につくられてきた。
「農村」は生産も生活も環境も総合されている。農地や緑のもつ重要性について語るとともに、「農」の一文字がもつたくさんの意味について説く。地球の将来は「農」の多面的機能が担うのだという熱弁の書である。
『横井時敬と東京農大』『沙漠よ緑に甦れ』に次いで、シリーズ実学の森第三集である。


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法政大学出版局

▼第7回「日仏翻訳文学賞」受賞!
 日本文学のすぐれたフランス語訳ならびにフランス文学のすぐれた日本語訳を顕彰することを目的として1994年に創設された「日仏翻訳文学賞」は第7回を迎え、本年度の日本側受賞図書として小局刊、ポール・ヴェーヌ著『詩におけるルネ・シャール』(西永良成訳)が選ばれました。小局刊行書としては、第2回の『ピエール・ベール著作集』(野沢協訳)に続いて2度目の受賞となります。
 6月21日、東京会館シルバールームに選考委員である大岡信・大江健三郎・石井晴一・清水徹の各氏および関係者を招いて贈呈式ならびに祝賀パーティが行われ、訳者の西永良成氏に賞状と賞金が手渡されました。
『詩におけるルネ・シャール』(四六判・830頁・9,400円)


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放送大学教育振興会

▼放送大学が設置する大学院は、現在設置認可申請中であり、認可されれば組織としては、平成13年4月に設置され、14年4月から学生を受け入れることとなる予定である。
 この大学院は、放送授業・印刷教材・通信指導・研究指導を柱とする通信制の大学院であり、広く社会のすべての人々に開かれた生涯学習機関として、学習者が職場や生活の場を離れることなく、二十一世紀を生きる高度専門職業人に不可欠な、総合的教養学に裏づけられた高度な専門的学識及び知的技能を修得できるよう、現代の知の最先端を踏まえつつ、急激な国際化と情報化の地平に適合した柔軟かつ実効的な教育を行うこととしている。
▼7月14日、千葉市・ホテルグリーンタワー幕張において、放送大学主任講師(大学院開設科目及び平成十四年度学部開設科目)会議が開かれた。専任教員・客員教員、ディレクター、編集者等が、全体会議、大学院プログラム別部会、学部科目専攻別部会に出席した。14年度印刷教材編集作業の正式スタートである。


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明星大学出版部

▼塚田紘一著『子どもの発達と環境―児童心理学序説―』近世に至るまで、子どもは「大人の小さい者」と考えられていた。しかしながら、ルソー(Rousseau, J-J.)の子どもを中心にすえた児童観によって児童は研究対象になる。ルソーは「エミール」の中で「子どもは大人と違ったもの」であり、不完全な大人としてではなく、子どもとして理解されなければならない存在である」と提言した。大人はかつて子どもだったために子どもの心をあたかも知り尽くしていると誤解していた。その誤解を解き、児童の心理が科学的に研究され始めたのは、わずか百余年前に過ぎない。それから児童心理学は日進月歩に発達する。本書では児童の心理の最新情報を解説。
(目次―抜粋―)第一章 発達の基本的理解、第二章 児童研究の方法、第三章 発達初期の展開、第四章 身体と運動機能の発達、第五章 認知発達、第六章 知能と創造性、第七章 情緒・動機、第八章遊び、第九章 社会性、第十章 自己意識、自己概念、第十一章 親の児童観と教師=生徒間の信頼関係。


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早稲田大学出版部

▼『比較政治学―構造・動機・結果』(G・サルトーリ、岡沢憲芙監訳/工藤裕子訳、3000円)議院内閣制、大統領制等の政治制度や選挙制度の国際比較を通して政治システム論の新手法を提示する。
▼『スウェーデン現代政治史―対立とコンセンサスの20世紀』(S・ハデニウス、岡沢憲芙監訳/木下淑恵・秋朝礼恵訳、2800円)議会政治の登場からEU加盟まで、福祉国家への歩みを政治的エポックを中心に丹念にたどる。
▼〈内田満政治学論集全3巻〉が完結した。最終回配本(3)『現代のデモクラシー』(4700円)は、日本とアメリカを対比して急激な都市化、高齢化がデモクラシーに及ぼす影響を探り、政策論に踏み込んで政治学を構想する。 *内容見本送呈


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名古屋大学出版会

▼和田光弘著『紫煙と帝国―アメリカ南部タバコ植民地の社会と経済―』(5800円)イギリス第一帝国に組み込まれた北米タバコ植民地の社会・経済の変容と、その歴史的構造を多角的に描き出す。
▼浜島信之著『多変量解析による臨床研究[第三版]』(4800円)治療効果などの判定に用いられる多変量解析の中心的手法を「landmark法」「メタアナリシス」等、最新の知見を加え解説。
▼L・コリー著 川北稔監訳『イギリス国民の誕生』(5800円)一体感はいかにして生まれたのか? プロテスタント文化、対仏抗争、海外帝国と「イギリス人」意識の関係を解明。
▼齋藤英彦・吉田純編『遺伝子医療―基礎から応用へ―』(6500円)遺伝子治療を中心に遺伝子の基礎から、遺伝子診断、生殖医療などの臨床応用の最先端までを系統的に解説。
▼E・L・ジョーンズ著 安元稔・脇村孝平訳『ヨーロッパの奇跡―環境・経済・地政の比較史―』(3800円)ヨーロッパの成長要因を、環境・政治システムの相互連関を軸に超長期的視野で解明。


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京都大学学術出版会

▼『ローマ喜劇集1』(西洋古典叢書第II期4)木村健治他訳・4500円/ギリシア新喜劇を下敷きに、ローマ人の生活・習慣をも娯楽的要素として盛り込んだ大衆的喜劇作品集。後世に影響を与えた代表作『アンピトルオ』『捕虜』など、文学史上世界初の職業作家プラウトゥスの現存する21作品を、テレンティウスの作品と合わせ新訳(全5冊)で刊行する。
▼『霊長類生態学』杉山幸丸編著・3500円/食う―食われる、エネルギー収支、どうやって子孫を残すか……。サルたちの暮らしぶりを多彩な環境との相互作用のなかで考え、その生理・行動・社会に生態学的視点から鋭く切り込んだ最新の成果を結集する。霊長類学の新たなスタンダードを築く画期的な一冊。
▼『中小企業における法と法意識』村中孝史、Th・トーマンドル編著・4200円/「法に触れる」という言葉に象徴されるように、極力、法と関わらないで生きることを良しとしてきた日本人の法意識と法の実効性を、中小企業の現場を舞台に明らかにする。〈国際化〉時代の法のあり方を示す、日欧共同研究の成果。


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大阪経済法科大学出版部

 7月に起きた乳業メーカーの食中毒事件は、発生が大阪工場ということもあり、関西では注視されている。マスコミでは企業危機管理云々の論調が目立つ。しかし、事件発生後の会社の対応がどうであったかより、食品会社としての企業倫理の問題ではないのだろうか。
▼『経営倫理論』金 元銖(キム・ウォンス)著(A5版・3700円)
 著者は韓国の経営学の重鎮であり、昨年度より本学で教鞭を執られている。春からの企画であり、このような事件の発生は予想もしていなかったのであるが、本書は経営倫理のあり方に多くの視座を与えてくれる。企業の技術的合理性に偏った論理的意志決定を主とすることに対し、倫理的意志決定の重要性を力説する。「人間と倫理」から「経営倫理」と展開され、企業の組織的意志決定も最終的には個々人の倫理意識に依拠し、それを組織としてどう具現化するかを論述する。
 第1編 経営倫理論の学問的性格
 第2編 人間と倫理
 第3編 経営倫理
 第4編 経営倫理教育論


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大阪大学出版会

 紀元前4世紀の、オックスフォードの教本でわずか47頁の書物が、いまなお世界に刺激を与えつづけている。
▼當津武彦大阪大学名誉教授のライフワーク『アリストテレス『詩学』の研究』がここに上・下巻完結。上巻=『詩学』の問題と展開、下巻=『詩学』の背景と後代を副題とする。A5・各巻1万円。
 Aristotle:Poeticsは、古代ギリシア劇論・詩論としての歴史的・地域的制約を超越している世界的な古典の名著である。著者は、この『詩学』をめぐってルネサンス以来なされてきた二千を越える世界の研究成果を参照し、アリストテレスの全哲学体系のなかに位置づけ、文芸学の普遍的な原理として再評価する。
▼橋本介三・小林伸生・中川幾郎『日本産業の構造変革』A5・2800円。
 日本産業の構造変革は焦眉の課題にかかわらず、本格的な経済分析はいまだにない。著者らはオーストリア学派の理論を使って、産業集積地域や中小企業政策、そのほか都市政策と都市計画などを分析し、新たな視点から二十一世紀の産業や地域のあり方を提言する。


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関西大学出版部

▼網干善教編『世界の考古学』(2400円)本書は、関西大学博物館開館1周年記念として開催された公開講座の講演記録。世界各地の著名な十遺跡の発掘調査担当者が豊富な図版や写真を駆使し、最新の調査成果を解説する。考古学的な成果だけでなく、各担当者が経験した異文化体験談としても興味深い。
▼宇佐見太市著『ディケンズと「クリスマス・ブックス」』(2600円)チャールズ・ディケンズのクリスマスもの五篇(『クリスマス・キャロル』『鐘の音』『炉端のこおろぎ』『人生の戦い』『憑かれた男』)をテキストに即して読んだ作品論集。『クリスマス・キャロル』に関する翻訳本の検証によりディケンズがいかに日本で愛読されてきた作家であるかも解明。
▼久保田賢一著『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』(1900円)本書は、構成主義というポスト近代のパラダイムを軸に、マルチメディア時代に適合した学習環境を構築していく理論的基礎を提供する。インターネットやテレビ会議などを取り入れた高等教育における教育実践も紹介している。


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九州大学出版会

▼M・クレッカー、U・トゥヴォルシュカ編/石橋孝明訳『諸宗教の倫理学―その教理と実生活―第4巻 所有と貧困の倫理』(四六判・224頁・2500円)このシリーズは基本的な生活のただなかで、宗教が人間の倫理的な行為をどのように形成していくかを、世界の主要な宗教についてテーマ別に概観したものである。第4巻は富と貧困に対する諸宗教の態度と取り組みを探る。(既刊)(1)『性の倫理』、(3)『健康の倫理』、(5)『環境の倫理』。続巻(2)『労働の倫理』で全5巻完結。
▼時永祥三『複雑系による経済モデル分析』〈経済工学シリーズ・第2期〉(A5判・250頁・3000円)経済工学は経済学と数学および情報の三位一体の研究の総称といってよいだろう。「第二世代」の研究スタッフ陣による第2期経済工学シリーズの第4巻。
▼小栗一太・赤峰昭文・古江増隆編『油症研究―三十年の歩み―』(B5判・356頁・9200円)PCB及び関連塩素化合物によって起こった未曾有の集団食中毒事件の原因解明の全貌をまとめ、環境汚染と生体影響に関する優れた資料。


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東北大学出版会

▼久道茂『公衆衛生の責任』(四六判、250頁、1600円)著者が学会等で行った講演を整理し、読者に分かりやすく著した啓蒙の書。これまでの日本の公衆衛生は、疾病予防、健康増進、母子保健、環境保健等々、人々の生活の向上や保健・医療活動の中で大きな役割を果たした。しかし、現在の我が国は、高齢少子化問題、新しい感染症の発生、老人医療と福祉、環境問題など多くの課題を抱えている。東北大学医学系研究科長であり厚生省公衆衛生審議会長である著者が、自らの研究・教育を省みながら、公衆衛生の在り方と責任を探った必読の書。
▼北村晴朗『全人的心理学―仏教理論に学ぶ―』(A5判、464頁、3000円)人間の個々の行動を全体的に解明する全体的心理学には、人間の煩悩や善の心の働きによる迷いやその迷いを超脱する修行といった問題は含まれない。これらを総合的に扱うのが全人的心理学である。本書は、その萌芽にあたる部分を語ると共に、全人的心理学の一典型といえる唯識心理学の主要問題を追求する。一般心理学や仏教心理学の問題点も分析する。


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流通経済大学出版会

▼現在、小会が製作を担当している流通経済大学の紀要は年間10冊である。その中に『物流問題研究』がある。本誌は、大学唯一の附置研究機関である「物流科学研究所」が発行者である。「物流科学研究所」は昭和48年に創設された。当初は産業経済研究所と称し、所報として『流通問題研究』を、昭和55年に創刊した。これが『物流問題研究』の前身である。
 本誌発行の趣旨について、第一号の「創刊の辞」では次のように述べている。
「最近の日本経済において、企業・経済界は減量経営を徹底させるとともに、同時にこれからの時代に即応した省エネルギー化を含む技術革新を行わねばならず、減量と革新という時には矛盾する要因を含んだ困難な課題を背負うことになる。……ここに創刊される『流通問題研究』が、これらの重要な課題を果たすために大きな貢献をすることを希ってやまない。」
 現在のIT革命は、この矛盾する課題を同時に解決出来る可能性を秘めている。改めて技術革新の凄さに瞠目させられる。


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三重大学出版会

 ジミー・ウォーカー著、松岡典子訳『戦争捕虜二九一号の回想ータイメン鉄道から南紀イルカへ』(A5判・256頁・1200円)第二次世界大戦中、英国より出征してきた兵士たちは、シンガポール到着後わずか十日で捕虜となりタイメン鉄道建設の重労働に就かされる。その後さらに300名の英国兵士が、日本は三重県の山中「イルカ」村に送られ、銅山採掘に従事させられる。1年4か月の労働の後終戦を迎え、彼らはイルカに十六名の墓碑を残し、無事英国へ帰還した。それから47年。共に銅山採掘をした南紀のかつての中学生たちに日本へ招かれた元英兵たちは……。
 ウォーカー氏は一介の兵士であり、彼の回想記は、彼の身の回りの出来事を書き綴ったものに過ぎない。だが物不足の兵営で文案を練り、記録を綴り、ニュースを発行する彼を見て、英国民なら「ハレルヤ」というだろう。過酷な体験を良識化できる人に幸い有れ、というわけだ。その回想記を読むと、戦争が反面、非常に個人的な体験をもたらすものであることを痛感する。


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関西学院大学出版会

▼大井浩二『センチメンタル・アメリカ―共和国のヴィジョンと歴史の現実―』(四六判・320頁・予価2900円)
文学研究において、センチメンタリズムが対象として取り上げられることはほとんどない。しかしながら、アメリカ小説の文脈のなかでセンチメンタリズムに目を向けたとき、地理的フロンティアの喪失にともなう美徳の共和国という理念の崩壊を前にして、それに抗おうとする国民的メンタリティーの系譜が浮き彫りになる。ポピュラー・カルチャーを視野に入れながら、国家とその共同幻想の行方を追う、ユニークな文化論。
▼チェイス・オニズカ・ヨーコ『Dances of Zoe: A Study of the Politics of Dionysus in Modern Theater』(A5判・222頁・3700円)古代ギリシアの葡萄酒と祝祭の神であるディオニソスは、いかにして「ゾーエ」(永遠の生命)を宿し、近代演劇の中に蘇ったのか。ロゴスの専制の前に、時空を超えて現れるトリックスターを通して、古代から近現代にいたる西洋の文化史を概観する。英文(巻末に日本語論文を収録)。


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