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ペーパークラフトの四季−冬
紙で作る干支
畑野 光男
平成10年「寅年」……年賀状として干支のペーパークラフトをある企業から依頼された事が始まりでした。
干支というと、子供のころから慣れ親しんだ十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を年賀状の挿絵として毎年描いて来ましたが、ペーパークラフトで干支の動物達を制作するのは初めての挑戦です。
今までの作品の中には、ねずみ・牛・馬・ゴリラ・鳥・犬など「動くペーパークラフト」シリーズがありますが、それとは全く異なる手法で制作することになりました。
まず、単純な形状で組み立てが簡単、そして誰もが道具なしで手軽に組み立てられること、封書(定形郵便物)サイズに収め、年賀状
として郵送出来ることなどです。そして完成した作品は、お正月にふさわしいほのぼのとした親しみのあるクラフトであることが、必要な条件になります。これらが、制作意欲を掻き立てられ、苦心と楽しさが混在する、年に一度の楽しみとなっています。
制作過程では、まず整理されたシンプルな線で表現するデフォルメを、どこまで追求するかが悩む所です。その意味では、卯年の作品が限界だと思います。これは組み立てが容易であるだけでなく、型抜き作業などの物理的条件の為でもあります。又、それを補う表面処理も出来るだけシンプルな円と直線で仕上げるように心掛けています。
私の作品では、動くことも大切にしています。例えば、しっぽを引くと頭を振る、口で吹くとスイングする、頭を押すと羽ばたくなど、いろいろです。
辰年、巳年では、クライアントの意向もあって立体とは違った、ポップアップクラフトで制作することになり、ちょっと不満がありましたが、カードを開くと竜が飛び出し、蛇は口を開き舌を出すなどの作品としました。次回には、いつもの方法で制作したいと思っています。
午年から木馬、羊、猿、鳥そして今年の戌年まで制作して来ましたが、これからも猪、鼠、牛と続きます。このシリーズでは、いろいろと勉強させてもらい、新しい発見も多々ありました。
まだまだ追求すべきペーパークラフトの種類は沢山あります。ハイテク時代の中、素朴な紙を使った作品で、また別の角度から皆さんに楽しんでもらえる癒しのペーパークラフトにも挑戦して行きたいと思っております。
(グラフィックデザイナー)
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