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歩く・見る・聞く――知のネットワーク41
武蔵野大学能楽資料センター
芦田 頼子
武蔵野大学能楽資料センターは、現在学内に7つある附属研究所・センターの中でも最も早く、1972年に開設された。当時、武蔵野女子大学日本文学科主任教授であり、歌人としての活動とともに、能楽の研究・評論、新作能の作詞など能・狂言に関わる活動も展開していた土岐善麿と、法政大学能楽研究所の古川久を顧問とし、武蔵野女子大学日本文学科の安藤常次郎、増田正造、小林責という教授陣を運営委員として発足した。
能楽資料センターの開設は、新聞各紙で報じられるとともに、『能楽タイムズ』、『観世』、『宝生』、『狂言』、『演劇界』などの専門紙誌でも紹介された。在京の先行機関である法政大学能楽研究所が古文書をはじめとする文書資料の収集に大きな成果を上げているのに対し、能楽資料センターでは開設当初から、同研究所と連携を保ちながら「近現代の資料を中心とする」、「テープ・写真等の収集に力点をおく」という方向性を自らの特徴として打ち出していた。
開設2年後の1974年から一般公開を開始、能・狂言の演者、研究者、一般愛好者が資料を閲覧・利用できる体制を整えた。この時のセンター所属の研究員、土岐、安藤、古川、増田、小林と並んで、現センター長である羽田昶も非常勤講師として在籍していた。同じく非常勤講師に小田幸子、藤岡道子、林和利らの能楽研究者が名を連ねていた時期がある。現在は羽田昶、研究室員の別府真理子のほかに、教授のリチャード・エマート、非常勤講師の池田英悟、児玉竜一、西哲生、三浦裕子らの研究者を擁している。
その後、能楽資料センターの活動は、収集・研究・普及の三本の柱がそれぞれ年を追って充実していった。
資料収集活動としては、能・狂言の台本、譜本、研究書、定期刊行物などの資料のほか、公演の録音・録画などの視聴覚資料、プログラムやパンフレット等を扱っている。
研究活動としては、「能楽資料センター紀要」を刊行し、所属研究員の研究の成果を公開。設立当時は不定期刊行の小冊子であったが、第八号以来、論文、研究ノート、翻刻資料、活動記録等を収録した百数十頁の紀要を毎年刊行している。
普及啓発活動としてはセンター主催の公開講座と狂言鑑賞会が挙げられる。1997年に、センター研究員が講師を務める月例研究会を発足。2年後にはその発展した形として「能楽資料センター公開講座」を開催。現在も地域住民をはじめ一般を対象に、年間の統一テーマを設定して年に4回行っている。熱心なファンも多く、毎回三百人前後の受講者が集まっている。研究者のみでなく実技者も講師を務め、今までに梅若六郎・野村萬斎・中村富十郎などの能楽師・俳優を招いた。昨年度からは武蔵野大学学生と一般とを対象とする「狂言鑑賞会」を行い、座席数の2倍の応募があり満席となった。
センター開設当初は文学部(日本文学科・英米文学科)と短期大学部のみであった武蔵野女子大学が、1998年には現代社会学部および大学院を、1999年には人間関係学部を新設。さらに2003年には武蔵野大学と名称を変更、2004年に薬学部新設と男女共学化開始、2006年に看護学部新設と、数年間に拡大・拡充の途をたどった。それに伴い2006年には五日市街道を隔てた新しいキャンパス「武蔵野校舎」が整備され、能楽資料センターはその一階に移転、より利用しやすい環境が整った。
現在、資料の一般公開は月〜木曜日で、事前に連絡すればだれでもセンター内で閲覧でき、書籍の貸出もしている。書籍約四千点、視聴覚資料五千点のほか、雑誌などを所蔵している。
本年度の公開講座の統一テーマは、「能楽師に聞く―年来稽古条々―」。各流派の能楽師を招き、話を聞く。聴講は無料。講師、会場、日時など詳細は武蔵野大学ホームページで公開している。
(武蔵野大学出版会)
所在地 〒180-0014 東京都武蔵野市関前3-40-10
武蔵野大学武蔵野校舎1階
JR三鷹駅、吉祥寺駅、武蔵境駅よりバス約10分(武蔵野大学前下車)、
西武新宿線田無駅より徒歩15分
閲覧日 月〜木曜日、12:30〜16:00
(入試期間中や大学の長期休暇中など閲覧停止日あり)
図書貸出 期限1週間、冊数5冊まで(一部貸出できない図書あり)
電話/FAX 0422-52-6618
URL http://www.musashino-u.ac.jp/about/researchinstitute/nohplay.html
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