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報酬主義をこえて 〈新装版〉

叢書・ウニベルシタス704
報酬主義をこえて 〈新装版〉

四六判 604ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-588-09945-8 C1336
奥付の初版発行年月:2011年10月 / 発売日:2011年10月上旬

内容紹介

前著『競争社会をこえて』でアメリカ心理学会賞を受賞したA.コーンによる行動主義批判。職場や学校、家庭において、報酬による動機づけはいかに不毛であるか、どのような問題が発生するかを具体例にもどづいて明らかにし、内発的動機づけの重要性を説く。付録として行動主義の権威B.F.スキナーとの対話、行動主義者の反論をも収録する。

著者プロフィール

A.コーン(コーン アルフィ)

ブラウン大学、シカゴ大学でトレーニングをうけ、「ザ・アトランティック」、「ザ・ネーション」、「サイコロジー・トゥディ」、「ニューヨーク・タイムズ」などの新聞や雑誌に寄稿し、教育のみならず人間行動の全体をカバーする社会理論について論じる評論家として活躍している。タフト大学やフィリップス・アカデミーの客員講師も勤めた。1987年には、最初の著書『競争社会をこえて──ノー・コンテストの時代』(邦訳・法政大学出版局刊)により、アメリカ心理学会賞を受賞。

田中 英史(タナカ ヒデブミ)

1938年、長野県に生まれる。1967年、東京教育大学大学院博士課程単位取得退学。大妻女子大学名誉教授。専攻:英文学。著書(共著)に、『イギリス文学入門』(創元社)、『読みの活性化に向けて』(弓書房)、『〈英語教育のための文学〉案内事典』(彩流社)、『階級社会の変貌──二〇世紀イギリス文学に見る』(金星堂)、他が、訳書(共訳)に、H.G.ウィドウソン『文体論から文学へ──英語教育の方法』(彩流社)、ロバート・オールドリッチ編『同性愛の歴史』(東洋書林)、イーヴリン・ロード『ヘルファイアー・クラブ──秘密結社と18世紀の英国社会』(東洋書林)、他がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はしがき

 第一部 報酬反対論

第一章 スキナー箱に入れられて──行動主義の遺産
 ハトとネズミとイヌと
 〈強化〉の導入
 行動主義の魅力の裏で

第二章 報酬を与えるのは正しいか
 当然の報いを受ける余地を
 人間をペット扱い
 
第三章 報酬は効果があるか
 報酬は行動を変えるか
 報酬は成績向上につながるか

第四章 ニンジンの問題点──報酬が効果的でない四つの理由
 一 報酬は罰になる
 二 報酬は人間関係を破壊する
 三 報酬は理由を無視する
 四 報酬は冒険に水をさす

第五章 興味を損なう──報酬が効果的でない第五の理由
 ある老人の計略
 効果の範囲
 効果の理由
 「しかし、こうしたらひょっとして……」
 害を最小限に

第六章 賞賛の問題点
 「よくやった!」対 よくやること
 賞賛が病みつきに
 励ましの言葉
 甘やかすことへの恐れ

 第二部 報酬の現実

第七章 業績給──行動主義は職場でなぜ効果がないか
 誘因使用がはびこる
 誘因はうまくいかない
 誘因はなぜうまくいかないか
 金
 報酬の問題点五つ──職場の場合

第八章 学習へのエサ──行動主義は学校でなぜ効果がないか
 学習への動機づけ
 勉強をさせること
 コントロールを強める──特殊教育の場合
 「ぼくの成績は?」

第九章 アメで釣って行儀よく──行動主義はなぜよい人間を作れないか
 服従の代価
 子供への罰
 「結果責任(コンセクエンス)」の結果
 「もしいい子にしていたら……」

 第三部 報酬を超えて

 はじめに

第一〇章 うれしいな、月曜日だ──職場における動機づけのもと
 第一段階──誘因策の廃止
 第二段階──査定の再査定
 第三段階──真の動機づけへの条件作り
 協力
 内容
 選択

第一一章 勉強に熱中させる──学校におけるやる気のもと
 褒美をやめる
 点をつける必要があるか
 オールAの生徒──警戒を要する話
 成績低下から成績廃止へ
 発見としての学習
 三つのCをここでも
 協力──一緒に学ぶ
 内容──学ぶ価値のあるものは?
 選択──教室での自主性

第一二章 アメをもらわなくても、よい子に
 管理を超えて
 問題解決方式──ここでも三つのCを
 思いやりのある子
 学校の役割
 選択の機会
 自由の度合い
 選択への障害
 褒美からの自由

付録A B・F・スキナーとの対話
付録B 内発的動機づけとは?
付録C 行動主義者の反論

 訳者あとがき
 原注
 参考文献
 人名索引
 事項索引


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