叢書・ウニベルシタス831
世界の読解可能性〈新装版〉
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-588-14079-2 C1310
奥付の初版発行年月:2023年11月 / 発売日:2023年11月下旬
世界を神の偉大な「書物」にたとえ、その読解可能性を模索する歴史を、古典古代から現代の分子生物学に至るまで、著者独自の「メタファー学」の観点から分析する刺激的な試み。人間の自己理解、世界理解にとってのメタファーの機能とその役割を解き明かす。
ハンス・ブルーメンベルク(ブルーメンベルク ハンス)
ハンス・ブルーメンベルク
(Hans Blumenberg)
1920-1996年。ユダヤ人の母のもと、ドイツのリューベックに生まれる。パダボルンとフランクフルトで哲学と神学を学ぶ。1950年キール大学で教授資格を取得。60年ギーセン大学正教授、この頃エーリヒ・ロータッカーの推薦でマインツのアカデミー会員となり、独自の〈メタファー学〉の構想を発表。63年〈詩学と解釈学〉の設立メンバー、65年ボッフム大学に移り、70年から85年に退官するまでミュンスター大学教授を務めた。クーノ・フィッシャー賞やドイツ言語文芸アカデミーのジークムント・フロイト賞を受賞。日本語訳に、『近代の正統性』(全3巻)『コペルニクス的宇宙の生成』(全3巻)『神話の変奏』『われわれが生きている現実』『メタファー学のパラダイム』(以上、法政大学出版局)などがある。
山本 尤(ヤマモト ユウ)
山本 尤 1930-2015年。京都府立医科大学名誉教授。専攻:ドイツ現代文学、思想史。著書に『ナチズムと大学』(中公新書)、『近代とドイツ精神』(未知谷)、翻訳書にザフランスキー『ショーペンハウアー』『ハイデガー』『悪』『ニーチェ』『人間はどこまでグローバル化に耐えられるか』、ショーレム編『ベンヤミン─ショーレム往復書簡』、アルトハウス『ヘーゲル伝』、ボルツ『仮象小史』『カオスとシミュレーション』、グロス『カール・シュミットとユダヤ人』、キーゼル編『ユンガー=シュミット往復書簡』(以上単独訳、法政大学出版局)、シャルガフ『過去からの警告』『未来批判』『証人』『懐疑的省察ABC』『自然・人間・科学』、ザフランスキー『人間にはいくつの真理が必要か』、ボルツ『批判理論の系譜学』、アリー『最終解決』、ブルーメンベルク『世界の読解可能性』(以上共訳、法政大学出版局)などがある。
伊藤 秀一(イトウ シュウイチ)
伊藤 秀一 1955年生まれ。中央大学経済学部教授。専攻:ドイツ文学。翻訳書にメニングハウス『無限の二重化』『ダーウィン以後の美学』(以上、法政大学出版局)、『敷居学』『美の約束』(以上、現代思潮新社)などがある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
本書について
1 経験可能な全体のためのメタファー
2 書物世界と世界書物
3 書物としての天上、天上の書物
4 字母の比喩
5 啓示の書物と自然という書物、後者の台頭と遅滞
6 世界という書物の読者としての文盲の俗人
7 神の二つの書物は一致する
8 読解可能性の不均衡
9 人間世界の暗号化と解読
10 世界の年代記、あるいは世界の公式
11 ロビンソン世界対ニュートン世界
12 十九世紀への接近における諸傾向
13 ハンブルクの自然という書物とケーニヒスベルクでのその反映
14 額のしるし、天上のしるし
15 「どのようにして自然という書物が私にとって読解可能になるのか…」
16 「世界はロマン化されなければならない」
17 絶対的書物の理念
18 自然という書物のような自然についての書物
19 空虚な世界書物
20 夢解釈の準備
21 夢を読解可能にする
22 遺伝子コードとその読者
訳者あとがき
原注
人名索引