日本経済の長い近代化 統治と市場、そして組織1600~1970
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-8158-0725-2 C3033
奥付の初版発行年月:2013年02月
最先端の経済学の成果にもとづき、日本経済の400年にわたる超長期の近代化過程を新たなヴィジョンで描き出す。米など近世期の財市場、江戸から明治にかけての金融市場、そして明治以降の労働市場へ、時間差をもって継起的に進化した市場経済化のプロセスを鮮やかに示す必読の著作。
目次
序 章 取引の統治と諸市場の逐次的な拡大
はじめに
1 基本的な概念
2 国民経済の成立と外なる差異の裁定
3 企業組織の深化と内なる差異の創出
おわりに —— 本書の構成
第Ⅰ部 取引の統治と市場の形成
第1章 財市場と証券市場の共進化
—— 近世期地方米市場と土地市場の動態
はじめに
1 玉尾家の農業経営
2 湖東農村における玉尾家の位置
3 玉尾家による投機取引
おわりに
第2章 財政国家の成立
—— 財政基盤の確立と公債市場の成立
はじめに
1 財政基盤の確立
2 明治維新
3 帝国憲法と国際金本位制
おわりに
第3章 株式市場の誕生と金融政策の成立
—— 日本銀行と資本市場
はじめに
1 株式担保金融と日本銀行
2 日本銀行株式担保品付手形再割引の効果
3 リスク配分の歪みとその帰結
おわりに
第Ⅱ部 市場と企業
第4章 市場と生産の相互作用
—— 横浜生糸市場と蚕糸業の再編
はじめに
1 国際市場と近代製糸業の勃興
2 横浜市場における効率的な生糸価格形成
3 効率的な市場の利益としての速やかな産業化
おわりに
第5章 企業統治の成立
—— 合理的な資本市場と紡績業の発展
はじめに
1 大阪紡績会社における所有と企業金融の構造
2 1890年代から1900年代初頭における企業統治
3 1900年代から1910年代における企業統治
おわりに
第6章 企業組織内の資源配分
—— 紡績企業における中間管理職
はじめに
1 中間管理職の役割
2 鐘淵紡績会社における中間管理職 (工場長) の役割
3 経営の成果
おわりに
第Ⅲ部 内部労働市場の成立
第7章 労働市場と労働組織
—— 筑豊炭鉱業における直接雇用の成立
はじめに
1 炭鉱の技術と組織
2 労働組織の端緒的変化
3 麻生藤棚第二坑における選別と人的資本投資
おわりに
第8章 内部労働市場の形成
—— 筑豊炭鉱業における熟練形成
はじめに
1 技術進歩と生産性の推移
2 筑豊石炭産業における労働組織の変化
3 内部労働市場の形成
おわりに
第9章 内部労働市場の深化と外部労働市場の変化
—— 製鉄業における教育と経験と賃金
はじめに
1 内部労働市場に想定される機能
2 分析対象事業所における内部労働市場の実在
3 内部労働市場における賃金の成長
おわりに
終 章 共同体と市場、市場と企業
はじめに
1 共同体と市場 —— 外なる差異の裁定
2 市場と企業 —— 内なる差異の創出
3 持続可能な資本主義経済へ
おわりに