〈ひと〉から問うジェンダーの世界史第3巻
「世界」をどう問うか? 地域・紛争・科学
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-87259-779-0 C0020
奥付の初版発行年月:2024年03月 / 発売日:2024年04月上旬
今ここから見えている「世界」は、他の人たちが別の場所から見ている「世界」と同じだろうか。「世界」を問い、「世界を問う私」を問う―この双方向性のなかに身を置くとき、私たちは「世界」が決して自明のものでないことを再認識させられる。だとしたら、「世界」の歴史、「世界史」とは何だろうとか。西洋中心、成人男性中心に描かれてきた従来の「世界
史」を、比較と関係性を考えるジェンダー史の視点から見直す。
井野瀬 久美惠(イノセ クミエ)
甲南大学文学部教授
『大英帝国という経験(興亡の世界史16)』(講談社、2007年;講談社学術文庫、2017年)
『「近代」とは何か―「昨日の世界・ヨーロッパ」からの問い』(かもがわ出版、2023年)
栗屋 利江(アワヤ トシエ)
東京外国語大学名誉教授
『イギリス支配とインド社会(世界史リブレット38)』(山川出版社、1998年)
『インド ジェンダー研究ハンドブック』(共編、東京外国語大学出版会、2018年)
長 志珠絵(オサ シズエ)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授
『新体系日本史9 ジェンダー史』(共著、山川出版社、2014年)
『〈母〉を問う―母の比較文化史』(共編著、神戸大学出版会、2021年)
目次
総論―現代的諸課題の根幹を探る
第1 章 創られる「世界」と「地域」
1 )概論 創られる「世界」と「地域」
2 )「地域」の認識と語られる「世界史」
3 )地域を繋ぐヒトとモノ
◆コラム① モンゴル帝国の宮廷の女性
◆コラム② アジアの自己認識―インドの事例から
第2 章 世界の創造と再創造―植民地主義とグローバル化
1 )概論 世界の創造と再創造―植民地主義とグローバル化
2 )植民地化による地域・社会の再編成
◆コラム③ フランス植民地にみる性・婚姻関係
◆コラム④ 大英帝国における結婚とセクシュアリティ
3 )冷戦とポストコロニアル状況
◆コラム⑤ ナショナリズム運動とジェンダー言説―インドを事例に
4 )グローバル資本主義と女性労働
◆コラム⑥ オセアニアの植民地化と宣教活動
◆コラム⑦ インドにおける家事労働者
◆コラム⑧ 過労死・過労自殺
第3 章 戦争と暴力に抵抗する
1 )概論 戦争と暴力に抵抗する
2 )内戦とテロリズム・ヘイト
◆コラム⑨ 印パ分離独立と暴力
3 )異議申し立てのさまざまな形(1)
4 )異議申し立てのさまざまな形(2)
◆コラム⑩ アメリカの女性イマーム礼拝運動
5 )ジェンダー主流化に向けて
◆コラム⑪ 女性国際戦犯法廷
◆コラム⑫ 企業役員の性別クオータ制―フランスの事例
第4 章 環境・災害・疫病
1 )概論 環境・災害・疫病
2 )環境破壊
◆コラム⑬ 災害とジェンダー―ハイチ地震に見る脆弱性
◆コラム⑭ 廃棄物の越境移動
3 )核とジェンダー
4 )疫病
◆コラム⑮ スペイン風邪
◆コラム⑯ 近現代日本のハンセン病
第5 章 科学とジェンダー
1 )概論 科学とジェンダー
2 )ジェンダー秩序と研究・教育
◆コラム⑰ 「博士」の誕生
◆コラム⑱ 家庭科教育におけるジェンダー・バイアス
3 )ジェンダー・ステレオタイプとテクノロジー
◆コラム⑲ 「妊娠しやすさ」グラフの嘘
◆コラム⑳ 家事労働とテクノロジー