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富の分配の諸原理1

近代社会思想コレクション06
富の分配の諸原理1

四六判 448ページ 上製
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-87698-569-2 C1310
奥付の初版発行年月:2011年10月 / 発売日:2011年10月下旬

内容紹介

リカード派社会主義者の一人と称せられるウィリアム・トンプソンは、マルクスら後の社会主義者に大きな影響をあたえたが、その主著が本書の『富の分配の諸原理』である。ベンサムの功利主義、オーエンの協働社会主義とならんで三大思潮の一角をなし、社会主義思想を正確に理解するうえで必携の書物を日本語訳で提供する。

著者プロフィール

鎌田 武治(カマタ タケジ)

横浜国立大学名誉教授
1930年 東京都生まれ/1953年 横浜国立大学経済学部卒業/1958年 京都大学大学院経済学研究科博士課程修了/1969年 京都大学経済学博士/横浜国立大学教授、大阪産業大学教授を歴任
[主な著訳書]
『現代資本主義の経済政策』(法政大学出版局)/『古典経済学と初期社会主義』(未来社)/『市場経済と協働社会思想』(未来社)/ボルン著『ビスマルク後の国家と社会政策』(法政大学出版局)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

前書き

第1章 富のすべての正しい分配の基礎となるべき、われわれの組織とわれわれをとりまく自然的、社会的環境とから演繹される、自然の原理、規則または法則に関する研究

第1節 労働は富の親である
第2節 富の分配の目的は、それを生産する人々のために、幸福の最大可能な量を獲得することであるか、あるべきである
第3節 しかし、健常な全成人男女は、富による平等な幸福が可能である
第4節 それゆえに、より多数者の幸福はより少数者の幸福よりも優先されるべきである
第5節 富は労働によって生産されるので、動機の点で、富の生産において、この労働をもっとも効率的にするために、十分な刺激が与えられなければならない
第6節 生産に対する最強の刺激と最大限の生産に必要な刺激は労働の自由な方向における安全と労働生産物の完全な利用である(労働の自由な方向については第12節一〇七ページをみよ)
第7節 また、これらの生産物の自発的な全交換は幸福を増進する
第8節 他面、これらの生産物の強奪は幸福を減少させる
第9節 一人によってエンジョイされるための、多数からの最少の略奪でさえも、幸福を減少させる
第10節 それゆえ、労働生産物のいかなる部分も、いかなる生産者から、かれによって十分と思われる等価なしに、収奪されるべきでない
第11節 富は最大生産と合致する最大の平等をもたらすように、分配されるべきである
第12節 これを実現するためには、人為的束縛や奨励はまったく必要ない
第13節 安全にとって必要である限り、不平等は有益である
第14節 安全にとって必要でない不平等は有害である
第15節 一般的推論——分配の自然法則「自由な労働、労働生産物の完全利用と自発的交換」の説明

第2章 富の強制的不平等により現実に生じた諸弊害について

第1節 富の強制的不平等の道徳的弊害について
    富から生じる楽しみの総計を減少する
    富裕層の幸福を増加しない
    富裕層に明確な悪徳とその結果、悲惨を産む
    共同社会の富裕層以外の間に、これらと、その他の悪徳を普及する
第2節 富の強制的不平等の経済的弊害について
    その年間消費は同額の補償されない損失である
    もっとも有用でない種類の勤労を稼働させる
第3節 富の強制的不平等の政治的弊害について——政治権力の独占と悪用を不可避にする

第3章 分配の自然法則「自由な労働、労働生産物の完全利用と自発的交換」の副次的利益について——平等な安全によって制限された平等について

第1節 分配の自然法則の政治的利益
    それは代議制統治制度以外の全統治制度と矛盾する
    国民を厭戦気分にする——国民を防衛に強化する
    犯行への最強の動機を廃絶する
    公的行政費を最低基準にする
    全宗教団体の支持を自発的にする
第2節 分配の自然法則の経済的利益
    生産と資本は膨大に増加する
第3節 分配の自然法則の道徳的利益——富と貧困の特有の悪徳はほとんど消滅するであろう


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