ニュースはどのように理解されるか メディアフレームと政治的意味の構築
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-1558-2 C3036
奥付の初版発行年月:2008年10月 / 発売日:2008年10月上旬
メディア報道とニュースの受け手の理解との乖離はどこからくるのか。
▼南アフリカの人種問題、戦略防衛構想、エイズ、ブラックマンデー、麻薬乱用の5つのニュースに焦点を合わせた実証研究により、ジャーナリストによるニュースの「意味づけ」と、視聴者・読者の「解読」の緊張関係を明らかにしたニュース研究の必読書の翻訳。(原著:Common Knowledge: News and the Construction of Political Meaning, 1992, The University of Chicago Press)
▼私たちの「世界理解」はマスメディアに大きく依存している。また、ジャーナリストたちは、この世界を意味づける「特権」を持っている。だとしたら、私たちはジャーナリストたちの「言いなり」なのだろうか。もちろん、答えはノー。なぜなら、視聴者や読者は、ニュース報道の内容を自らの興味関心に従って解釈し直しているはずだからである。
▼フレーム(物事を解釈する枠組み)が「メディアと読者・視聴者の間で大きくズレている」ことを明らかにし、そのズレを生み出すものを探ることにより、従来のメディア研究に修正をせまる重要な一冊であり、新聞・テレビ・雑誌の特性についてもそれまでの常識を覆す結論をつきつけた、話題の書。
【著者】
W・ラッセル・ニューマン(W. Russell Neuman)
ミシガン大学教授。コーネル大学を卒業後、カリフォルニア大学バークレー校で修士号と博士号を取得。その後、MITメディアラボ、タフツ大学フレッシャースクール、ペンシルバニア大学アネンバーグ・コミュニケーションスクールなどを経て、2001年より現職。
単著にThe Paradox of Mass Politics(1986年、韓国語版1995年)、The Future of the Mass Audience(1991年、韓国語版1995年、スペイン語版2000年、日本語版2002年)。共著にThe Gordian Knot(1997)、Affective Intelligence and Political judgment(2000)、The Affect Effect(2007)など。
マリオン・R・ジャスト(Marion. R Just)
ウェルズリー大学教授。バーナード大学を卒業後、ジョン・ホプキンス大学で修士号、コロンビア大学で博士号を取得。
共著にCrosstalk(1996)、Framing Terrorism(2003)、Rethinking the Votes(2003)、We Interrupt This Newscast(2007)など。
アン・N・クリグラー(Ann. N Crigler)
南カリフォルニア大学教授。ウェルズリー大学を卒業後、MITで博士号を取得。
編著にThe Psychology of Political Communication(1996)、ジャストらとの共著にThe Affect Effect、など。
【監訳者】
川端美樹(かわばた みき) 目白大学社会学部准教授
山田一成(やまだ かずなり) 法政大学社会学部教授
【訳者】
小城英子(こしろ えいこ) 聖心女子大学文学部専任講師
有馬明恵(ありま あきえ) 東京女子大学現代文化学部准教授
是永 論(これなが ろん) 立教大学社会学部教授
福田 充(ふくだ みつる) 日本大学法学部准教授
山下玲子(やました れいこ) 武蔵大学社会学部教授
目次
日本語版への序文
はじめに
1章 共有された知識
共通知識の構築
パブリックディスコースと共通知識
政治コミュニケーションにおける研究課題
政治コミュニケーションの構築主義モデルに向けて
2章 研究計画
マルチメソッドによる研究計画
4つの主たる方法——内的・外的妥当性
イシュー、個人、メディアのサンプリング
内容分析
個人への深層面接
質問紙調査
メディアとモダリティの実験
ジャーナリストへのインタビュー
概要
3章 5つのイシューと3つのニュースメディア
レーガン政権の後半期
人々のアジェンダとメディアのアジェンダ
ニュースにおける5つのイシュー
テレビ、報道雑誌、新聞
それぞれのメディアにはそれぞれ長所がある
4章 ニュースを理解する
政治的ディスコースのフレーミング
メディアフレームとオーディエンスのフレームを比較する
意味の交渉
5章 メディアの問題
メディアが差異をもたらすのか?
メディア実験
モダリティ実験
注意バリアの破壊
補完的なメディア
政治コミュニケーション——一方通行?
6章 ニュースの学習
メディアによる学習の個人差
交互作用効果——メディア、イシュー、そして市民
政治情報管理のダウンズモデル
7章 意味を構築する
能動的なオーディエンス
能動的なメディア
巻末資料——研究方法について
内容分析
深層面接
実験
引用文献
訳者あとがき
索引