ハイデガー読本
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-588-15070-8 C1010
奥付の初版発行年月:2014年11月 / 発売日:2014年11月下旬
存在という出来事への根源的思索を通じて、西欧形而上学の歴史を解体し、諸学に決定的衝撃を与えた「二十世紀最大の哲学者」ハイデガー。その前期・中期・後期へと展開する思索の歩みを、「転回」の精緻な読解も含め、日本の研究者の総力を挙げて論じ、これまでの研究史を更新する試み。既刊『全集』の各巻ごとの内容概観、「黒ノート」をめぐるP.トラヴニー特別寄稿も収録する、充実・必携の入門書。
秋富 克哉(アキトミ カツヤ)
1962年生。京都工芸繊維大学教授。著書:『芸術と技術 ハイデッガーの問い』(創文社),共編著:『ハイデッガー『存在と時間』の現在』(南窓社)。
安部 浩(アベ ヒロシ)
1971年生。京都大学准教授。著書:『「現」/そのロゴスとエートス』(晃洋書房),共著:Environmental Ethics in Asian Philosophy(SUNY Press).
古荘 真敬(フルショウ マサタカ)
1968年生。東京大学准教授。著書:『ハイデガーの言語哲学』(岩波書店),論文:「呼びかけられる私,呼びかける私」(『自己(哲学への誘い 第Ⅴ巻)』東信堂)。
森 一郎(モリ イチロウ)
1962年生。東北大学教授。著書:『死と誕生──ハイデガー・九鬼周造・アーレント』『死を超えるもの──3・11以後の哲学の可能性』(以上,東京大学出版会)。
上記内容は本書刊行時のものです。■ 著者(掲載順)
村井 則夫(ムライ ノリオ)
1962年生。明星大学教授。著書:『ニーチェ──仮象の文献学』(知泉書館),『ニーチェ──ツァラトゥストラの謎』(中公新書)。
池田 喬(イケダ タカシ)
1977年生。明治大学専任講師。著書:『ハイデガー 存在と行為──『存在と時間』の解釈と展開』,共訳書:ハイデッガー『現象学の根本問題』(以上,創文社)。
森 秀樹(モリ ヒデキ)
1963年生。兵庫教育大学教授。論文:「「共存」の存在論」(『哲学』第43号),「新カント派の挫折の意味」(『アルケー』第9号)。
齋藤 元紀(サイトウ モトキ)
1968年生。高千穂大学教授。著書:『存在の解釈学──ハイデガー『存在と時間』の構造・転回・反復』,共訳書:ロックモア『カントの航跡のなかで』(以上,法政大学出版局)。
松本 直樹(マツモト ナオキ)
1966年生。同志社女子大学非常勤講師。論文:「死はいつかの出来事であるか」(『宗教哲学研究』第24号),共訳書:グレーシュ『『存在と時間』講義』(法政大学出版局)。
伊藤 徹(イトウ トオル)
1957年生。京都工芸繊維大学教授。著書:『作ることの哲学』(世界思想社),監訳書:ペゲラー『ハイデガーと解釈学的哲学』(法政大学出版局)。
仲原 孝(ナカハラ タカシ)
1959年生。大阪市立大学教授。著書:『ハイデガーの根本洞察』(昭和堂),共訳書:ハイデッガー『カントの純粋理性批判の現象学的解釈』(創文社)。
関口 浩(セキグチ ヒロシ)
1958年生。早稲田大学非常勤講師。共著:『ハイデガー『哲学への寄与』解読』,訳書:ハイデッガー『技術への問い』(以上,平凡社)。
瀧 将之(タキ マサユキ)
1977年生。東京女子大学非常勤講師。共著:『ハイデガーの技術論』(理想社),論文:「無から存在へ」(『現象学年報』第27号)。
轟 孝夫(トドロキ タカオ)
1968年生。防衛大学校教授。著書:『存在と共同』(法政大学出版局),論文: „Staat und Technik bei Heidegger und in der Kyôto-Schule“(Heidegger-Jahrbuch 7).
小林 信之(コバヤシ ノブユキ)
1957年生。早稲田大学教授。著書:Heidegger und die Kunst : im Zusammenhang mit dem Ästhetikverständnis in der japanischen Kultur(Edition Chōra).
神尾 和寿(カミオ カズトシ)
1958年生。流通科学大学教授。論文:「詩と宗教」(『宗教の根源性と現代 第1巻』晃洋書房),共訳書:ハイデッガー『ニーチェの形而上学』(創文社)。
山本 與志隆(ヤマモト ヨシタカ)
1963年生。愛媛大学教授。論文:「ハイデガーにおける解釈学的現象学から詩的な思惟への移行」(『哲学』第44号)。
山本 英輔(ヤマモト エイスケ)
1966年生。金沢大学教授。著書:『ハイデガー『哲学への寄与』研究』(法政大学出版局),共編著:『科学と技術への問い──ハイデッガー研究会第三論集』(理想社)。
相楽 勉(サガラ ツトム)
1958年生。東洋大学教授。共著:『ハイデガー『哲学への寄与』解読』(平凡社),論文:「「行為の哲学」の可能性」(Heidegger-Forum, vol. 3)。
松本 啓二朗(マツモト ケイジロウ)
1968年生。大阪教育大学准教授。共編著:『哲学するのになぜ哲学史を学ぶのか』(京都大学学術出版会),共著:『科学と技術への問い』(理想社)。
陶久 明日香(スエヒサ アスカ)
1973年生。学習院大学ほか非常勤講師。著書:Die Grundstimmung Japans(Peter Lang),論文:「ハイデッガーにおける気分論の形成」(『現象学年報』第29号)。
小野 真(オノ マコト) 1965年生。相愛大学准教授。著書:『ハイデッガー研究──死と言葉の思索』(京都大学学術出版会),論文:「西谷啓治のアリストテレス解釈」(『理想』689号)。
菊地 惠善(キクチ エイヨシ)
1953年生。九州大学教授。著書:『始めから考える』(九州大学出版会),共訳書:ハイデッガー『西洋的思考におけるニーチェの形而上学的な根本の立場』(創文社)。
後藤 嘉也(ゴトウ ヨシヤ)
1953年生。北海道教育大学教授。著書:『ハイデガーにおける循環と転回』(東北大学出版会),『哲学書概説シリーズ ハイデガー『存在と時間』』(晃洋書房)。
稲田 知己(イナダ トモミ)
1958年生。国立高専機構津山高専教授。著書:『存在の問いと有限性──ハイデッガー哲学のトポロギー的究明』(晃洋書房)。
井上 克人(イノウエ カツヒト)
1949年生。関西大学教授。著書:『露現と覆蔵』『西田幾多郎と明治の精神』(以上,関西大学出版部),監訳書:ヘルト『地中海哲学紀行』(晃洋書房)。
橋本 武志(ハシモト タケシ)
1965年生。仁愛大学准教授。共著:『ハイデガー『存在と時間』を学ぶ人のために』(世界思想社),論文:「イデオロギー批判の技術哲学」(『近世哲学研究』第11号)。
梶谷 真司(カジタニ シンジ)
1966年生。東京大学准教授。著書:『シュミッツ現象学の根本問題』(京都大学学術出版会),共編訳書:ベーメ『雰囲気の美学』(晃洋書房)。
嶺 秀樹(ミネ ヒデキ)
1950年生。関西学院大学教授。著書:『存在と無のはざまで』『ハイデッガーと日本の哲学』『西田哲学と田辺哲学の対決』(以上,ミネルヴァ書房)。
ペーター・トラヴニー(Peter Trawny)
1964年生。ヴッパータール大学教授。著書:Heidegger und der Mythos der jüdischen Weltverschwörung(Vittorio Klostermann),Medium und Revolution(Matthes und Seitz).
■付録「ハイデガー全集の全貌」作成(五十音順)
赤塚 弘之(アカツカ ヒロユキ) 東北大学大学院博士課程。
阿部 将伸(アベ マサノブ) 佛教大学ほか非常勤講師。
伊藤 良司(イトウ リョウジ) 慶應義塾志木高等学校教諭。
魚谷 雅広(ウオタニ マサヒロ) 淑徳大学・高崎経済大学ほか非常勤講師。
君嶋 泰明(キミジマ ヤスアキ) 京都産業大学非常勤講師。
木村 史人(キムラ フミト) 福州大学外国語学院特任助教授。
景山 洋平(カゲヤマ ヨウヘイ) 日本学術振興会特別研究員PD。
串田 純一(クシタ ジュンイチ) 早稲田大学ほか非常勤講師。
信太 光郎(シダ ミツオ) 東北学院大学准教授。
田鍋 良臣(タナベ ヨシオミ) 京都大学非常勤講師。
津田 良生(ツダ ヨシオ) 上智大学大学院博士課程。
譽田 大介(ホンダ ダイスケ) 神奈川県立衛生看護専門学校講師。
丸山 英幸(マルヤマ ヒデユキ) 大阪工業大学非常勤講師。
三谷 竜彦(ミタニ タツヒコ) 岐阜大学・南山大学ほか非常勤講師。
若見 理江(ワカミ リエ) 京都造形芸術大学非常勤講師。
鷲原 知宏(ワシハラ トモヒロ) 関西大学非常勤講師。
渡辺 和典(ワタナベ カズノリ) 学習院大学ほか非常勤講師。
目次
序 【森一郎】
凡例
第Ⅰ部 前期ハイデガーの思索──最初期から『存在と時間』まで
序奏──神学という由来 ハイデガーの生い立ち 【古荘真敬】
1 「カントへ還れ」から「事象そのものへ」──問いの出発点 【村井則夫】
2 事実性の解釈学──初期フライブルク期という「道」 【池田喬】
3 アリストテレスの現象学的解釈──そこに胚胎していたもの 【森秀樹】
4 カントの現象学的解釈──超越論的時間地平の発見 【齋藤元紀】
5 基礎存在論の成立と理念──『存在と時間』Ⅰ 【安部浩】
6 世界・他者・自己──『存在と時間』Ⅱ 【松本直樹】
7 内存在・気遣い・真理──『存在と時間』Ⅲ 【古荘真敬】
8 死と良心──『存在と時間』Ⅳ 【森一郎】
9 時間性・日常性・歴史性──『存在と時間』Ⅴ 【伊藤徹】
10 「時間と存在」のゆくえ──『存在と時間』Ⅵ 【仲原孝】
間奏1──神は存在論にたずさわるか 『カントと形而上学の問題』をめぐって 【安部浩】
第Ⅱ部 中期ハイデガーの思索── 一九三〇年代から第二次世界大戦まで
11 メタ存在論、不安と退屈、自由──「形而上学」の展開 【瀧将之】
12 学長ハイデガーの大学改革構想──『ドイツ大学の自己主張』 【轟孝夫】
13 もっとも無気味なものへの問い──『形而上学入門』と「芸術作品の根源」 【小林信之】
14 思索的な詩作を詩作的に思索すること──ヘルダーリン解釈 【神尾和寿】
15 ニーチェとユンガー ──ニヒリズムと形而上学の超克をめぐって 【山本與志隆】
16 現代の窮迫から第一の原初へ──『哲学への寄与論稿』Ⅰ 【秋富克哉】
17 跳躍と根拠づけ──『哲学への寄与論稿』Ⅱ 【山本英輔】
18 将来する者たちと最後の神──『哲学への寄与論稿』Ⅲ 【関口浩】
19 真理概念の変容──「真理の本質について」「プラトンの真理論」「世界像の時代」 【相楽勉】
20 別の原初への道──『原初について』『野の道での会話』 【松本啓二朗】
間奏2──迷いのなかを進む六本の道 『杣道』をめぐって 【秋富克哉】
第Ⅲ部 後期ハイデガーの思索──第二次世界大戦後から最晩年まで
21 西洋哲学の原初──「アナクシマンドロスの箴言」を中心に 【陶久明日香】
22 近代ヨーロッパの終焉──「ニーチェの言葉〈神は死んだ〉」「詩人は何のために」 【小野真】
23 思索という行為──『「ヒューマニズム」について』『何が思索を命ずるか』 【菊地惠善】
24 現代技術の本質──『ブレーメン講演』『技術と転回』『放下』 【後藤嘉也】
25 世界に住むということ──「物」「建てる、住む、考える」「詩人的に人間は住む」 【稲田知己】
26 差異と没根拠──「同一性の命題」と『根拠の命題』 【井上克人】
27 世界を開示する言葉──『言葉への途上』 【橋本武志】
28 精神医学との対話──『ツォリコーン・ゼミナール』 【梶谷真司】
29 存在の出来事としての性起──「時間と存在」 【嶺秀樹】
特別寄稿 ハイデガーと「世界ユダヤ人組織」──「黒ノート」をめぐって
【ペーター・トラヴニー/陶久明日香・安部浩訳】
付録 ハイデガー全集の全貌 【監修:齋藤元紀/陶久明日香/松本直樹】
事項索引(標準訳語一覧) 【作成協力:上田圭委子】
人名・著作名索引 【作成協力:金成祐人】