東アジアのカント哲学 日韓中台における影響作用史
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-588-15072-2 C1010
奥付の初版発行年月:2015年03月 / 発売日:2015年03月中旬
東アジアの近代知識人たちは、西洋思想史の不滅の古典であるカント哲学をどのように受容し、解釈し、批判してきたか。植民地統治と戦争・革命の歴史のなかで、日本・韓国・中国・台湾の思想界がカントを翻訳紹介していった歴史的文脈とその政治的意味、さらには相互的な影響関係を、各国の第一線の研究者たちが跡づける国際共同研究の成果。李明輝、李秋零、白琮鉉、韓慈卿氏らが寄稿。
牧野 英二(マキノ エイジ)
1948年生。法政大学文学部哲学科教授(文学博士)。主要著作:『カント純粋理性批判の研究』(法政大学出版局)、『遠近法主義の哲学』(弘文堂)、『カントを読む』(岩波書店)、『崇高の哲学』(法政大学出版局)、『増補・和辻哲郎の書き込みを見よ! 和辻倫理学の今日的意義』(同)、『「持続可能性の哲学」への道』(同)、『カント事典』(共編著、弘文堂)。主要訳書:カッシーラー『カントの生涯と学説』(みすず書房)、マウス『啓蒙の民主制理論』(法政大学出版局)、『判断力批判』(岩波書店、上下)、ディルタイ『精神科学序説I』(法政大学出版局)、ロックモア『カントの航跡のなかで』(監訳:同)。『カント全集』(岩波書店)編集委員。『ディルタイ全集』(法政大学出版局)編集代表。
上記内容は本書刊行時のものです。[執筆者]
李明輝(リ メイキ)
1953年生。台湾・中央研究院中国文哲研究所研究員・国立台湾大学発展研究所合聘教授・国立中央大学哲学研究所合聘教授(哲学博士)。主要著作:『儒家とカント』(聯経出版社)、『儒学と現代意識』(文津出版社)、『カントの倫理学と孟子の道徳的思考の再建』(台湾中央研究院中国文哲研究所)、『孟子の再考察』(聯経出版社)、『儒家の視野における政治思想』(国立台湾大学出版社)、『四端と七情』(華東師範大学出版社)。主要訳著:バウムガルトナー『カント『純粋理性批判』入門』(聯経出版社)、カント『視霊者の夢』(同)、『人倫の形而上学の基礎づけ』(同)、『カントの歴史哲学論文集』(同)、『プロレゴーメナ』(同)、『人倫の形而上学』(同)。
李秋零(リ シュウレイ)
1957年生。中国・中国人民大学哲学院教授(哲学博士)。主要著作:『神・宇宙・人』(中国人民大学出版社)、『ドイツ哲学者の視野における歴史』(中国人民大学出版社)、『神の光を浴びる文化の再生』(共著、華夏出版社)他。主要訳著:『カント書簡百通』(上海人民出版社)、『カント著作全集』(中国人民大学出版社)、『キリスト教哲学──その起源からニコラウス・クザーヌスへ』(香港道風書社)。中国語版『カント著作全集』(中国人民大学出版社)編集委員。
白琮鉉(ぺク・ジョンヒョン)
1950年生。韓国・国立ソウル大学哲学科教授(哲学博士)。主要著作:『実践理性批判論考』(星泉文化財団)、『ドイツ哲学と20世紀韓国の哲学』(哲学と現実社)、『存在と真理──カント〈純粋理性批判〉の根本問題』(同)、『現代韓国社会の哲学的問題』(同)、『時代との対話──カントとヘーゲルの哲学』(アカネット)、『カント 理性哲学9書5題』(同)。主要訳書:『実践理性批判』(アカネット)、『純粋理性批判1/2』(同)、『判断力批判』(同)、『理性の限界内の宗教』(同)、『人倫の形而上学』(同)、『永遠平和のために』(同)。韓国語版『カント全集』(アカネット)編集委員。
韓慈卿(ハン ザギョン)
韓国・梨花女子大学人文学院哲学科教授(哲学博士)。主要著作:『カントと超越論哲学──人間とは何か』(曙光社)、『仏教の無我論』(梨花女子大学校出版部)、『カント哲学への招待』(曙光社)、『仏教哲学と現代倫理の遭遇』(禮文書院)、『ヘーゲル精神現象学の理解』(曙光社)、『大乗起信論講解』(仏光出版社)。
[訳者]
廖欽彬(リョウ キンヒン)
1975年生。中国・広州中山大学哲学系准教授(文学博士)。主要著作:「宗教的実践と「偶然」──後期田辺哲学を中心に」(『比較思想研究』第37号)、「京都学派の宗教哲学の一考察──西田哲学と田辺哲学の「逆対応」をめぐって」(藤田正勝編『『善の研究』の百年─世界から世界へ』(京都大学学術出版会)、「東アジアの偶然論の諸相──九鬼周造から、田辺元、そして張文環へ」(林永強・張政遠編『東アジアの視野における日本哲学──伝統、現代、転化』(台湾大学出版局)。
張政遠(チョウ セイエン)
1976年生。現職:香港中文大学文学部専任講師(文学博士)。主要著作:『日本哲学の国際性』(共著、世界思想社)、『日本哲学の多様性』(共編著、世界思想社)、「西田幾多郎の哲学──トランスカルチュラル哲学運動とその可能性」『日本哲学史研究紀要』(2013)、『東アジアの視野における日本哲学──伝統、現代、転化』(編著、台湾大学出版局)。
李美淑(イ ミスク)
韓国・国立ソウル大学人文学研究院HK研究教授(文学博士)。主要著作:『王朝文学と東アジアの宮廷文学』(共著、竹林舎)、『源氏物語研究──女物語の方法と主題』(新典社)、『女性百年──教育・結婚・職業』(共著、東北大学出版会)、『源氏物語と白氏文集』(共著、新典社)、『東アジアの文学・言語・文化と女性』(武蔵野書院)。主要訳書:『カゲロウ日記』(ハンギル社、『蜻蛉日記』の韓国語訳)、『ゲンジモノガタリ1』(ソウル大学校出版文化院、『源氏物語』の韓国語訳の第一巻)。
目次
緒言(牧野英二)
序論
第一部 日本における翻訳・受容史(牧野英二)
第一章 幕末から第二次世界大戦敗戦まで
第二章 第二次世界大戦敗戦後から21世紀まで
第二部 中国・香港・台湾における翻訳・受容史
第一章 中国におけるカント研究──1949年まで(李明輝/廖欽彬訳)
第二章 中国大陸のカント研究──1949年以降(李秋零/張政遠訳)
第三章 戦後台湾のカント研究(李明輝/廖欽彬訳)
第三部 韓国における翻訳・受容史
第一章 韓国におけるカント哲学研究の由縁と展開(白琮鉉/李美淑訳)
第二章 韓国におけるカントと東洋哲学の比較研究(韓慈卿/李美淑訳)
結論 カント哲学の影響作用史の現状と課題(牧野英二)
あとがき
編者および執筆者・訳者紹介