皮膚 文学史・身体イメージ・境界のディスクール
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-588-35229-4 C1022
奥付の初版発行年月:2014年05月 / 発売日:2014年05月上旬
皮膚(身体)が文化的構築物であるという観点は、フーコー以来の共通理解となっている。本書はそれを立脚点に、言語、歴史、ジェンダー論、言説分析、精神分析などさまざまな分野と方法論を縦横無尽に動員し、聖書、慣用句、文学作品、芸術論、科学の理論といった言語資料、解剖学図版・模型、絵画や現代アートなどの図像的なものを駆使して、17世紀から現代にいたる皮膚観のパノラマを展開する。
クラウディア・ベンティーン(ベンティーン,C.)
(Claudia Benthien)
1965年生まれ。ドイツおよびアメリカで心理学、ドイツ文学、アメリカ研究、美術史、文化研究等を学び、1998年にベルリンのフンボルト大学で博士号を取得。その博士論文で「ヨアヒム・ティブリウス賞最優秀賞」を受賞。その後、2004年に大学教授資格を取得し、2005年よりハンブルク大学のドイツ文学(重点領域ジェンダー論、文化理論)の教授に就任、またアメリカで客員教授をつとめ、イギリス、フランスに研究滞在するなど、活動の場は国際的である。17世紀から21世紀のドイツ文学を中心に、アメリカ文学、西欧文学、現代演劇と現代アート、美術などを関心領域におさめ、学際的視座から精力的に研究を進めている。
著書は多数あるが、単著に、Barockes Schweigen. Rhetorik und Performativitat des Sprachlosen im 17. Jahrhundert(München: Fink, 2006), Tribunal der Blicke. Kulturtheorien von Scham und Schuld und die Tragödie um 1800(Köln, Weimar und Wien: Böhlau, 2011), 共編著としては、Tabu. Interkulturalität und Gender. Hrsg. von Claudia Benthien und Ortrud Gutjahr(München: Fink, 2008), Paradies. Topografien der Sehnsucht. Hrsg. von Claudia Benthien und Manuela Gerlof(Köln, Weimar und Wien: Böhlau,, 2010), Freud und die Antike. Hrsg. von Claudia Benthien, Hartmut Böhme und Inge Stephan(Göttingen: Wallstein, 2011)などがある。
田邊 玲子(タナベ レイコ)
1955年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語ドイツ文学専攻)中途退学、ミュンヒェン大学、フランクフルト大学に留学。名古屋大学総合言語センター助教授を経て、現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は、ドイツ文学、ジェンダー論。
著書にSchöne Körper. Zur Erotik des Blicks in der deutschen Literatur Mitte des 18. Jahrhunderts. (Königstein/Taunus: Ulrike Helmer Verlag, 2003), 論文に「一八世紀ドイツにおける美・欲望・ジェンダーをめぐる言説」(姫岡とし子・川越修編『ドイツ近現代ジェンダー史入門』青木書店、2009年所収)、翻訳にレッシング作『エミーリア・ガロッティ/ミス・サラ・サンプソン』(岩波文庫、2006年)などがある。
目次
日本語版への序文
1 表面の深部――序論
2 境界のメタファー――言葉のなかの皮膚
3 侵入――医学と文化の実践における身体の境界と知の産物
4 脱皮――皮剥ぎ、拷問、メタモルフォーゼ
5 魂の鏡――カンヴァスとしての表皮
6 謎となすこと――皮膚の他者性
7 鎧の皮膚と母斑(ムッター・マール)――ある性差のイメージ体系
8 異種の皮膚――皮膚の色の科学史および文学史
9 ブラックネス――アフリカ系アメリカ人の言説における皮膚の色の問題性
10 手と皮膚――皮膚感覚の人間学と図像学
11 接触――エロティックな、エモーショナルな、〈心的な〉、皮膚感覚の類似性について
12 遠隔触覚(テレタクティリティ)――ニュー・メディアにおける皮膚
13 おわりに
註記
訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引