〈遊ぶ〉ロシア 帝政末期の余暇と商業文化
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-588-37121-9 C1022
奥付の初版発行年月:2014年10月 / 発売日:2014年10月下旬
戦争と革命ではなく「余暇」で読み解くロシア。アスリートが映画スターに、給仕はレストランの支配人からエンターテイナーの世界を仕切る帝王へ。健康ブームがスポーツ熱を煽り、淑女たちはリングサイドでレスラーの裸身に嬌声を挙げる。劇場、スポーツ、観光旅行、ナイトライフ、映画など、様々に〈遊ぶ〉ロシアをカルチュラル・スタディーズの成果を縦横無尽に活用し、描写する。写真図版多数。
ルイーズ・マクレイノルズ(マクレイノルズ,L.)
(Louise McReynolds)
1952 年生まれ。ダラスのメソジスト大学でジャーナリズムを学び、卒業後はロシア史に転じて、1984 年にシカゴ大学から学位を得た。その後はハワイ大学、そして2006 年からはノース・カロライナ大学で教鞭を取って、現在に至っている。近代ロシアのジャーナリズム史、文化史を専攻。著書に『ロシア旧体制下のニュース報道』、本書『遊ぶ』ロシア──帝政末期の余暇と商業文化』、および『よくあるロシアの殺し──帝政末期における本当の罪と罰』がある。他にジェームズ・フォン・ジェルダーンと共編したアンソロジー『ツァーリ・ロシアのエンターテイメント』、ジョアン・ノイバーガーとの共編になる論文集『人生の模倣──ロシア・メロドラマの2世紀』がある。
高橋 一彦(タカハシ カズヒコ)
神戸市外国語大学外国語学部准教授。近代法史。『帝政ロシア司法制度史研究──司法改革とその時代』(名古屋大学出版会、2001年)。
田中 良英(タナカ ヨシヒデ)
宮城教育大学准教授。ロシア近世史。『エカチェリーナ2 世とその時代』(東洋書店、2009 年)。
巽 由樹子(タツミ ユキコ)
東京外国語大学大学院総合国際学研究院専任講師。近代ロシア出版史。「近代ロシア社会とツァーリ表象──絵入り雑誌王室記事の分析を中心に」『史学雑誌』118巻9号、2009 年。
青島 陽子(アオシマ ヨウコ)
神戸大学大学院国際文化学研究科講師。近現代ロシア史。「大改革とグラスノスチ」中嶋毅(編)『新史料で読むロシア史』(山川出版社、2013 年)。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
謝辞
イントロダクション
第1章 ロシアにおける官製演劇の起源
劇こそまさにうってつけ
名優と崇拝者たち
リアリズム演劇──ジャンルと社会変容とのせめぎあい
オストロフスキーとミドルクラスの舞台化
劇作家というビジネス
第2章 官製演劇の商業化
新しい演劇の役者たち
国民としての観客
商業演劇──モスクワのコルシュ劇場とペテルブルクのスヴォーリン劇場
忘れられた劇作家とテーマ
社会派メロドラマにおける近代性
世代の対立
革命後の舞台、一九〇五―一九一七年
政治世界の舞台化
緞帳のうしろの革命
結論
第3章 モダンライフとしてのスポーツ
帝室馬場の民主化
ハンティング
スポーツとしての狩猟
運動の教授と体育教育
ヨットと自転車──移動とスポーツ
サッカー──チームと工場
ロシアの女性アスリート
ロシアのオリンピック選手──スポーツ・ナショナリズムの国際化
第4章 女優とレスラー──アイデンティティの生成
女優
レスラー
世紀転換期におけるジェンダー問題
ジェンダーの屈曲、そして境界線の監視
第5章 内外を旅するロシア人
ロシアの旅人
団体旅行とツーリズムの発達
温泉──国民国家としての帝国
ツーリストの視線
西欧のツーリストが見たロシア人
第一次大戦中の観光産業
結論
第6章 世紀末ロシアの夜に繰り出す
レストランの文化
幻想の夜を飛び回ること
小劇場
結論
第7章 ワルツの嵐──夜の世界の演目
私はショーに出られるかしら
今宵、コメディを
結論
第8章 帝政ロシアの夢工房
最新文化産業の発展
物語(ナラティヴ)を構築する
セリフのない著作
観客
ムーヴィー・パレス
映画界の成功者たち
映画を取り締まる
スターたちの肖像
結論
エピローグ
訳者解説
文献解題
註
索引