子どものこころと体シリーズ
学校の先生にも知ってほしい:アレルギーの子どもの学校生活
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-7664-2237-5 C0077
奥付の初版発行年月:2015年10月 / 発売日:2015年10月下旬
▼小児アレルギーの最新知識と、学校生活での留意点を網羅!
今、アレルギーをよく知ることは教員にとって必須となっています。
喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーへの学校対応について、第一線の専門医が具体的に説明します。
文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応指針」も解説。
学校におけるアレルギー疾患への対策は、その重要性が最近、一段と高まっています。
それを受けて、アレルギーについての基礎的理解、心身医学的側面、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー児の食事・給食等の項目等、この一冊で現在の小児アレルギーの最新の知識と、学校生活における留意点がすべて理解できるように編集しました。
私たちの意図が読者の皆様方に十分に伝わり、アレルギーをもつ子どもたちが充実した学校生活を過ごし、子どもたちに明るい未来を作っていってもらいたいと願っています。(西間三馨「はじめに」より)
西間 三馨(ニシマ サンケイ)
国立病院機構福岡病院名誉院長。医学博士。福岡大学医学部客員教授。
福岡女学院看護大学名誉教授。専門はアレルギー、小児医学、疫学。
1944年北九州市生まれ。九州大学医学部卒業。福岡病院院長(院長歴21年)、福岡女学院看護大学学長を経て現職。日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会の理事長、文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議」座長ほか多数の要職を歴任。
喘息死亡者数を激減させるなど、日本の小児アレルギー医療・教育の充実に貢献。人事院総裁賞(2008年)、世界アレルギー機構「卓越臨床医表彰」(2013年)ほか受賞多数。
近著『家族と専門医が一緒に作った小児ぜんそくハンドブック〈2012年改訂版〉』(協和企画、2012年)のほか、専門医のためのアレルギー関係ガイドラインなど著書多数。
(※〔 〕内は、担当章。)
【編著者】
西間三馨(にしま さんけい)〔1章-1〕
国立病院機構福岡病院名誉院長。医学博士。福岡大学医学部客員教授。
福岡女学院看護大学名誉教授。専門はアレルギー、小児医学、疫学。
【執筆者】
土橋紀久子(どばし・きくこ)〔1章-2〕
山梨県立大学非常勤講師。山梨県立高等看護学院卒業後、山梨県内の小中学校で養護教諭として38年間勤務ののち現職。
文部科学省「学校におけるアレルギー疾患に対する取組推進検討委員会」委員(平成19年度)として「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」作成に協力。
赤坂 徹(あかさか・とおる)〔1章-3〕
社会福祉法人岩手愛児会もりおかこども病院非常勤医師。医学博士。専門は小児科全般、アレルギー学、心身医学。弘前大学医学部卒業。聖路加国際病院、米国ワシントン特別区総合病院、スタンフォード小児病院に留学。埼玉医科大学小児科助教授、国立療養所盛岡病院臨床研究部長、国立療養所八戸病院院長、岩手愛児会子育て医療支援センター長、赤坂こどもクリニック院長を経て現職。
著書に『心身症診断・治療ガイドライン2006』(共著、協和企画、2006年)、『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン〈2012〉』(共著、協和企画、2011年)など。
石川良子(いしかわ・りょうこ)〔1章-4〕
昭和大学医学部小児科学講座助教。国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部研究員。医学博士。専門は小児科学、アレルギー学。
著書に『小児のアレルギーQ & A』(共著、総合医学社、2012年)など。
松本健治(まつもと・けんじ)〔1章-4〕
国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部部長。専門は免疫アレルギー学。高知医科大学医学部卒業。国立小児病院、ジョンズホプキンス大学を経て現職。
著書に『アレルギー疾患研究の最前線』(共著、医歯薬出版、2005年)など。
濱崎雄平(はまさき・ゆうへい)〔2章-1〕
佐賀整肢学園からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。医学博士。専門は小児の呼吸・肺循環、小児アレルギー病学。九州大学医学部卒業。オクラホマ大学研究職助教授、佐賀医科大学小児科助教授、佐賀大学医学部小児科教授を経て現職。
主著に『小児科学(第3版)』(共著、医学書院、2008年)、『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン〈2012〉』(共著、協和企画、2011年)など。
小田嶋 博(おだじま・ひろし)〔2章-2〕
国立病院機構福岡病院副院長。医学博士。専門は小児アレルギー、呼吸器病学。信州大学医学部卒業。日本呼吸器学会指導医、日本アレルギー学会指導医。
著作に「〈年齢層ごとの課題と喘息の種々の側面〉思春期喘息」(『Progress in Medicine』34(6)、2014年)、「PM2.5とアレルギー疾患」(『診断と治療』103(5)、2015年)、「フィールドワークから考える小児喘息の治療」(『小児科』56(6)、2015年)など。
大久保公裕(おおくぼ・きみひろ)〔2章-3〕
日本医科大学耳鼻咽喉科教授。医学博士。専門はアレルギー性鼻炎、花粉症。日本医科大学大学院耳鼻咽喉科修了。米国立衛生研究所(NIH)に留学後、日本医科大学医学部講師、准教授を経て現職。
著書に『プライマリケアのための花粉症診療』(編著、医薬ジャーナル社、2010年)、『やさしいアレルギー性鼻炎の自己管理〈改訂版〉』(医薬ジャーナル社、2013年)、『花粉症は治せる! 舌下免疫療法がわかる本』(日本経済新聞社、2014年)など。
馬場直子(ばば・なおこ)〔2章-4〕
神奈川県立こども医療センター皮膚科部長。横浜市立大学皮膚科臨床教授。医学博士。専門は小児皮膚科学。滋賀医科大学医学部卒業。横浜市立大学皮膚科講師を経て現職。
著書に『外来でみる子どもの皮膚疾患』(診断と治療社、2006年)、『あたらしい学校保健皮膚科マニュアル』(編著、診断と治療社、2010年)、『こどもの皮膚診療アップデート』(シービーアール、2013年)など。
柴田瑠美子(しばた・るみこ)〔2章-5〕
独立行政法人国立病院機構福岡病院小児科非常勤医師。医学博士。中村学園大学栄養科学部客員教授。専門は小児アレルギー。九州大学医学部卒業。九州大学医学部講師、国立病院機構福岡病院小児科医長などを経て現職。
著書に『ホップ・ステップ! 食物アレルギー教室』(共編著、南江堂、2008年)、『やさしい食物アレルギーの自己管理 改訂版』(共著、医薬ジャーナル社、2009年)、『食物アレルギー診療ガイドライン2012』(共著、協和企画、2011年)、『食物アレルギーの栄養指導』(共著、医歯薬出版、2012年)など。
高松伸枝(たかまつ・のぶえ)〔2章-6〕
別府大学食物栄養科学部教授。管理栄養士。専門は栄養学。国立公衆衛生院、大分大学大学院教育学研究科修了。愛媛女子短期大学等を経て現職。
著書に『食物アレルギー A to Z』(共編著、第一出版、2010年)、『食物アレルギーの栄養指導』(共編著、医歯薬出版、2012年)など。
園部まり子(そのべ・まりこ)〔終章〕
NPO法人アレルギーを考える母の会代表。法政大学文学部卒業。1999年、ともに悩んだ母親が集まって横浜で会を発足。神奈川県社会福祉協議会セルフヘルプ支援事業運営委員。文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応マニュアル作成委員会」委員(平成26年度)、同省「学校事故対応に関する調査研究有識者会議」委員(平成26、27年度)ほか要職を務める。
著書に『食物アレルギーの手びき〈改訂第2版〉』(共著、南江堂、2003年)、「アレルギー疾患患者からみた必要なコミュニケーション」(共著、『小児科』2012年1月号)など。
目次
はじめに(西間三馨)
第1章 小児アレルギーの現状と学校生活
1 小児アレルギーの最近の動向と環境整備(西間三馨)
アレルギー疾患の有症率 / 学校におけるアレルギー疾患児への対
応/ 学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン / 取り
組みガイドラインの普及状況と課題 /学校給食における食物アレル
ギー対応について最終報告(平成二十六年) / 学校生活管理指導
表におけるアレルギーの疾患ごとのポイントと留意点 / 小児アレル
ギー対策のその他の動向/まとめ
2 学校におけるアレルギー対応の取り組み方(土橋紀久子)
アレルギー疾患のある児童生徒の把握と確認 / 管理指導表に基づ
校内での取り組みの検討・具体的な準備 / 「取り組みプラン」の
作成 / 保護者との話し合い / 校内での教職員の共通理解を /
取り組みの実施と定期的な話し合い
3 心身医学からみたアレルギー児への配慮(赤坂 徹)
小児期に発症したアレルギー疾患の特徴 / アレルギー疾患が発達的
課題に与える影響 / アレルギー疾患において心因を考え診断を進め
る手がかり / アレルギー疾患における心身医学的治療 / 症例検討
:七歳小学二年男子の場合
4 免疫と病気の関係を知る(石川良子・松本健治)
免疫とは / 自然免疫と獲得免疫 / 原発性免疫不全症候群 / 〝免疫
力〟と病気の発症 / なぜ、風邪をひきやすい子とひきにくい子がい
るのか / なぜアレルギー疾患や自己免疫疾患が増えているのか /
〝免疫力〟は上げられるのか / 腸内細菌
第2章 疾患ごとの配慮事項と、学校・家庭での留意点
1 喘息の子どもの学校生活(濱崎雄平)
喘息の子どもの学校生活の状況 / 小児気管支喘息とはどのような病
気か / 学校生活における問題点とその対応 / 学校と医療機関の連
携 / 保護者との連携 / 子どものQOL向上のために(教育支援プロ
グラム)
2 運動誘発喘息と子どもの学校生活(小田嶋 博)
運動誘発喘息の頻度 / 運動誘発喘息の病態・仕組み / 運動誘発喘
息の運動療法の実際 / アスリートと喘息 / 運動療法の効果
3 アレルギー性鼻炎の子どもの学校生活(大久保公裕)
子どものアレルギー性鼻炎、花粉症 / 学校生活上の問題点 / 子ど
ものアレルギー性鼻炎の治療の特殊性 / 学校検診におけるアレルギ
ー性鼻炎 / 子どものアレルギー性鼻炎の増加とその将来
4 アトピー性皮膚炎の子どもの学校生活(馬場直子)
アトピー性皮膚炎とは / 学校生活における問題点とのその対応 /
学校と医療機関の連携 / 保護者との連携 / 子どものQOL向上の
ために
5 食物アレルギーをもつ子どもの食事(柴田瑠美子)
おもな食物アレルギーのアレルゲン食品と食事 / 食物アレルギー
の子どもの食事 / アレルゲン食物除去の基本 / 食物除去の実際 /
園・学校給食における食物アレルギー児の食事 / 除去食期間と除去
食解除と、家族の精神面への支援
6 食物アレルギーへの給食対応(高松伸枝)
学校における食物アレルギー罹患状況と給食対応の背景 / 食物アレ
ルギー対応給食の実際 / 対応給食の献立作成・調理について /
文部科学省の「学校給食における食物アレルギー対応指針」
終 章 子どもが安全・安心な環境を願って
―― 「アレルギーを考える母の会」の取り組みから(園部まり子)
アレルギーを考える母の会は、お母さんたちのボランティアで運
営 / 患者を支える〝仕組み〟づくりに取り組む / 寄せられる相
談がすべての出発点 / 「ガイドライン」に追いつかない学校現場 /
専門医を講師に研修会を開催 / 調布市の事故、「検証結果」に違
和感 / 担任となる教諭の研修を重視する必要性 / 教職員の研修
には「到達目標」が必要 / 「自分の命を自分で守れる子に」(保
護者から) / 文部科学省が「学校給食における食物アレルギー対
応指針」を示す / すべての前提は適切な診断と患者教育
おわりに(西間三馨)
巻末資料「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」、アレルギー
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