森林資源の環境経済史 近代日本の産業化と木材
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-7664-2242-9 C3033
奥付の初版発行年月:2015年12月 / 発売日:2015年12月下旬
▼木材から近代日本の産業化を問い直す!
日本の産業化に不可欠な資材・原料であった森林資源。
膨大な一次史料にもとづいて鉄道・電信・炭鉱・製紙業における木材利用と森林破壊との関係を分析し、新たな日本の産業化像を描き出す。
環境経済史の新たな扉を開く野心的労作!
山口 明日香(ヤマグチ アスカ)
名古屋市立大学大学院経済学研究科講師
2003年慶應義塾大学商学部卒業、2011年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。慶應義塾大学COE研究員を経て2014年より現職。専攻は日本経済史
主な業績に『日本石炭産業の衰退』(分担執筆、杉山伸也・牛島利明編、慶應義塾大学出版会、2012年)、「戦前期日本の製紙業における原料調達」(『三田学会雑誌』105巻2号、2012年)、「戦前期日本の鉄道業における木材利用」(『社会経済史学』76巻4号、2011年)、「戦前期日本の炭鉱業における坑木調達」(『社会経済史学』73巻5号、2008年)などがある。
目次
序 章 課題と分析アプローチ
1 環境史研究の現在
2 日本の産業化と木材
3 課題と構成
第1章 木材市場のマクロ的検討
1 需要市場の構造
(1) 燃材
(2) 用材
(a) 建築用材と家具・建具・日用雑貨用材
(b) 交通事業用材と通信事業用材
(c) 鉱業用材と電力事業用材
(d) 機械器具用材
(e) パルプ用材
(f) 包装用材と合板・単板用材
(g) 軍需用材
2 供給市場の構造
(1) 木材供給地域の拡大と木材輸出の増加
(2) 国産材の増産と供給不足
(3) 輸移入材の増加
(4) 輸移入材の減少と国産材の増加
第2章 鉄道業の発展と枕木
1 枕木消費量の推移
2 枕木市場の拡大
(1) 枕木市場の形成
(2) 鉄道固有化による枕木市場の変化
(3) 枕木商の活動
3 第一次世界大戦期における枕木価格の高騰
4 適材不足と使用樹種の多様化
5 枕木不足の深刻化
第3章 電信事業の発展と電柱
1 電柱消費量の推移
2 電柱市場の拡大と防腐電信柱の利用
3 第一次世界大戦期における電柱価格の高騰
4 防腐電柱と代替財の利用
5 電柱用材不足の深刻化
第4章 九州炭鉱業の発展と坑木
1 坑木消費量の推移
2 坑木市場の拡大
(1) 筑豊炭鉱業の発展と坑木市場の拡大
(2) 坑木取引の変化
(3) 坑木商の活動
3 第一次世界大戦期における坑木価格の高騰
4 坑木節約の進展
(1) 坑木需要の減少
(2) 合理化による坑木消費量の減少
5 坑木不足の深刻化
第5章 北海道炭鉱業の発展と坑木
1 坑木供給の多様化
2 第一次世界大戦期における坑木価格の高騰
(1) 坑木需要の増加
(2) 社有林の拡大
3 坑木の節約と社有林の拡大
(1) 坑木の節約
(2) 社有林の拡大
4 坑木不足の深刻化
第6章 製紙業の発展とパルプ用材
1 パルプ用材消費量の推移
2 年期契約区域の形成
(1) 内地の年期契約区域
(2) 北海道の年期契約区域
(3) 樺太の年期契約区域
3 パルプ用材需要の急増と年期契約区域の拡大
4 年期契約区域の不安定化
(1) 樺太材利用の拡大
(2) 年期契約区域の縮小と樺太林政改革
5 パルプ用材市場の拡大とパルプ用材不足の深刻化
第7章 戦時統制期の木材利用
1 資材統制 ―― 木材と鉄鋼材
(1) 統制の開始
(2) 統制の強化
2 産業における木材利用
(1) 鉄道業
(2) 電信・電話事業と電力業
(3) 炭鉱業
(4) 製紙業
終 章 日本の産業化と森林資源
あとがき
初出一覧
参考文献
索 引