超成熟社会発展のサイエンス 超成熟社会をリードするグローバル博士人材の育成
価格:1,760円 (消費税:160円)
ISBN978-4-7664-2265-8 C3037
奥付の初版発行年月:2015年12月 / 発売日:2015年12月中旬
▼大変革の時代を担う人材育成が急務です。
産業界、国際機関、国・地方の政策決定の場で活躍できる「新しい型の博士」とは。
私たちの社会は大きな構造変化の時代を迎えています。それは、高度経済成長時代が終焉したあとの、少子高齢化、地球温暖化、地域紛争の深刻化、グローバルな市場競争の激化といった、社会の持続可能性そのものを問うような変化です。それは超成熟社会の問題と言うこともできます。
超成熟社会に突入した先進国がない中で、この文明のレノベーションと産業の更なる高度化に向け、日本は単独で歩み始めなければなりません。
この時代の要請に応えるため、慶應義塾は、超成熟社会の難問に果敢に挑戦し、産業界、国際機関、国・地方の政策決定の場で活躍できる、俯瞰力・独創的な企画力・高いマネージメント力をもった「新しい型の博士」の育成に、2012年度から取組んでいます。
第1部
清家 篤(せいけ あつし)
慶應義塾長。慶應義塾大学商学部教授。博士(商学)、専攻は労働経済学。1992年慶應義塾大学商学部教授、2007年同商学部長を経て2009年慶應義塾長就任。現在、社会保障制度改革推進会議議長、日本私立大学連盟会長、日本労務学会会長、World Economic Forum Global Agenda Council on Ageingメンバーなどを兼務。
濱田純一(はまだ じゅんいち)
東京大学総長。東京大学教授を経て現在同大学名誉教授。法学博士。1992年東京大学教授、同大学社会情報研究所所長、同大学大学院学際情報学府長(初代)などを経て、2009年から2015年3月まで第29代東京大学総長。東京大学で学士、修士、博士の学位を得る。専門は情報化社会の表現の自由、報道や放送メディアの自由論。
アリソン ビール(Alison Beale)
オックスフォード大学日本事務所代表(2012年)。オックスフォード大学卒業。シェフィールド大学大学院修士(日本研究)。JETプログラムで初来日し、大分県で英語指導を行う。15年間にわたって日本で国際交流や文化交流に従事し、中国、トリニダード・トバゴ、日本でブリティッシュ・カウンシルの管理職を歴任。2009年から2012年まで日本のブリティッシュ・カウンシルで副代表を務め、主に日本の高等教育機関との連携構築・強化に従事。
アルノー ポワトー(Arnaud POITOU)
エコール サントラル ナント校長。エコール サントラル(EC)ナント教授。エコール ポリテクニーク(パリ)卒業後、パリ国立高等鉱業学校修了。工学博士。1995年ENS Cachan機械工学科教授、2002年ECナント教授をへて2012年ECナント校長就任。エコール ポリテクニークの客員教授。専門は複合材料プロセス。航空機や自動車産業との産学連携に貢献。
チョウ チョア タン(Chorh Chuan TAN)
シンガポール国立大学(NUS)学長。NUS医学部教授。1997年同大学医学部長、2004年同大学学長代理をへて2008年NUS学長就任。現在、シンガポール国立大学ヘルスシステム会長、シンガポール科学技術研究庁の副議長、シンガポール通貨金融庁所長、世界経済フォーラムのグローバル大学リーダーフォーラム議長などを務める。ロイヤルカレッジ内科学会(ロンドン・エジンバラ)、米国内科学会、王立地理学会の各フェロー。
ゾラン ペトロビッチ(Zoran PETROVIĆ)
セルビア科学芸術アカデミー会員・同応用物理部門幹事。ベオグラード物理研究所教授。理学博士。1978年ベオグラード大学電気工学科卒業、1980年同大学応用物理専攻修士、1985年オーストラリア国立大学博士課程修了。ベオグラード大学教授を兼担。慶應義塾大学訪問教授やセルビア科学技術会議の副会長などを務める。原子分子物理や低温プラズマ運動論への貢献でMarko Jaric Awardを受賞。APS(米国)フェロー。専門は低温プラズマの素過程など。
真壁利明(まかべ としあき)
慶應義塾常任理事。同大学理工学部名誉教授。工学博士。1991年同大学理工学部教授、2007年理工学部長をへて2009年常任理事就任。ポハン工科大学、ルール大学ボッフム、西安交通大学の各客員教授。著書「PLASMA ELECTRONICS」(2nd- Edn; CRC 2014)他多数。低温プラズマと表面プロセスの研究で、「流体科学賞」(東北大)、「プラズマエレクトロニクス賞」(応物学会)、「プラズマ賞」(米国AVS)を受賞。IOP(英国)、AVS(米国)、JSAP(日本)、JFES(日本)の各フェロー。
神成文彦(かんなり ふみひこ)
慶應義塾大学理工学研究科学習指導主任。同大学電子工学科教授。工学博士。2013年リーディング大学院プログラム(オールラウンド型)、“超成熟社会発展のサイエンス”コーディネータ。1980年慶應義塾大学工学部卒業、同大学工学研究科電気工学専攻修士、博士課程電気工学専攻修了。1984年SERC Rutherford Appleton Laboratory ポスドク研究員、1986年Spectra Technology 社上級研究員を経て、1988年慶應義塾大学理工学部に奉職。2000年Cambridge 大学Downing校Keio Fellow。専門はレーザー工学・光量子エレクトロニクス。
第2部
大西公平(プログラムコ―ディネーター、慶應義塾大学理工学部教授)
長谷山彰(慶應義塾 常任理事 プログラム責任者)
鈴木 寛(慶應義塾大学教授・元文部科学副大臣)
ロジャー グッドマン(オックスフォード大学教授、社会科学部長、ニッサン・プロフェッサー)
川村 隆(株式会社日立製作所 取締役会長)
藤崎一郎(慶應義塾大学特別招聘教授、元アメリカ合衆国駐箚特命全権大使)
相磯秀夫(慶應義塾大学名誉教授、初代環境情報学部学部長)
佐藤博恒(新日鐵住金株式会社 常務執行役員人事労政部長、博士課程教育リーディングプログラム(オールラウンド型)ボード会議メンバー)
福田紀彦(川崎市長)
永野 博(政策研究大学院大学教授、OECDグローバルサイエンスフォーラム議長)
波多野睦子(東京工業大学教授、東京工業大学リーディングプログラムコーディネーター(慶應義塾大学理工学部卒業))
村上由美子(OECD(経済協力開発機構)東京センター所長)
クルト デケテレール(ヨーロッパ研究大学リーグ(LERU)事務局長、ルーヴェン大学(ベルギー)法学部教授)
永里善彦(旭リサーチセンター相談役、日本経済団体連合会 産業技術委員会 産学官連携推進部会長)
樋口美雄(慶應義塾大学商学部長・商学研究科委員長・教授)
三浦 淳(川崎市副市長)
青山藤詞郎(プログラム委員、慶應義塾大学理工学部長・理工学研究科委員長・教授)
國尾武光(日本電気株式会社 執行役員)
窪田 良(アキュセラ インク 創業者、会長兼CEO)
葛目 薫(丸紅株式会社 監査役、PLGS ボート会議メンバー)
目次
はじめに 清家 篤(慶應義塾長)
第1部 国際学長フォーラム
世界の5大学学長が討論
― 大変革の時代を担う人材の育成―
はじめに 真壁利明(慶應義塾 常任理事)
第1章 数字で見る5大学の現状と最近の動き
1.1 東京大学
1.2 オックスフォード大学
1.3 エコール サントラル ナント校
1.4 シンガポール国立大学
1.5 慶應義塾大学
第2章 大学の教育と研究の将来展望
― 多くのトレードオフ問題を議論する ―
終わりに
第2部 慶應義塾、5年一貫リーディング大学院プログラム
第1章 リーディング大学院プログラムに寄せて
1. プログラム開設にあたって
1.1 超成熟社会発展のサイエンスプログラムの開始にあたって
清家 篤
1.2 超成熟社会発展のサイエンスプログラムの基本方針
大西公平
1.3 「未知との遭遇」がはじまった? 長谷山 彰
2. プログラムへの期待
2.1 新たな「学問のすゝめ」の橋頭保に 鈴木 寛
2.2 慶應の新プログラムに対するOxfordからの期待
Roger Goodman
2.3 慶應義塾のチャレンジ,「グローバルリーダー育成」に期待し
て 川村 隆
2.4 日米双方のメリットを活かす 藤崎一郎
2.5 適応力・起業家精神・そして多彩な分野におけるチャレンジを
支援する慶應義塾大学リーディングプログラムの教育目標
Arnaud Poitou
2.6 慶應義塾大学リーディングプログラムへの期待 相磯秀夫
2.7 リーディング大学院プログラムにおけるリーダー育成へ産業界
から期待する 佐藤博恒
2.8 慶應義塾リーディング大学院プログラムによせて
福田紀彦
2.9 夢を描き行動にうつせる人材を育むリーディング大学院に
永野 博
2.10 東京オリンピック・パラリンピック2020で「超成熟社会」の
活力を世界に披露 波多野 睦子
3. 高度博士人材への期待
3.1 第三の開国と大学院高度博士人材育成 真壁利明
3.2 トップ国際人材の獲得競争は続く 村上由美子
3.3 想像力に富んだ博士の養成 Kurt Deketelaere
3.4 イノベーションにより新市場を創生し、産業構造を転換して日
本経済を成長軌道にのせよう 永里善彦
3.5 超成熟社会発展に求められる文理融合リーダー
樋口美雄
3.6 川崎市が期待するリーダー像 三浦 淳
3.7 豊かな国際力の育成 青山藤詞郎
3.8 生産性高い議論の場から育つ博士人材に期待して
國尾武光
3.9 あきらめないこと 窪田 良
3.10 リーディング学生への期待 葛目 薫
3.11 先天的か後天的か:リーダーの資質 神成文彦
第2章 リーディング大学院プログラム ― その仕組みと取組状況 ―
はじめに 神成文彦
1. プログラムの目的
2. プログラムの特長
3. 教育システム(MMDシステムによる本格的な文理融合の実現)
4. プログラム設置科目
5. 産業界・行政体との密な連携による人材育成(グループプロジェ
クト演習)
6. 三位一体設計による人間力形成(主専攻 / 副専攻 / グループプロ
ジェクト演習)
7. モチベーションを高める多様な活動(海外派遣、夏・冬キャン
プ、e.t.c.)
8. 他キャンパスを繋ぐe- ラーニングクラウドシステム
9. メンバー構成
編集後記
真壁利明(慶應義塾大学リーディング大学院プログラム ボード会議議長)