断絶と新生 中近世ヨーロッパとイスラームの信仰・思想・統治
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-7664-2322-8 C3022
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年03月中旬
▼断絶を超え、未来を築いた人びと
異文化との接触や宗教改革、体制の激変など、
中近世キリスト教世界とイスラーム世界を襲った幾度もの断絶を
人びとはいかに受け止め、乗り越えようとしたのか。
遺された史料から、彼らを取り巻く世界や時代の刻印を読み解く。
神崎 忠昭(カンザキ タダアキ)
1957年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、西洋教会史。主著に、『ヨーロッパの中世』(慶應義塾大学出版会、2015年)などがある。
上記内容は本書刊行時のものです。(※執筆順)
野元 晋(のもと しん)
1961年生まれ。マギル大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、慶應義塾大学言語文化研究所教授。専攻は、イスラーム思想史。主要論文に「イブン・ルシュド」(内山勝利・小林道夫・中川純男他編)『哲学の歴史 第3巻 神との対話[中世]』(中川純男責任編集、中央公論新社、2008年)、「イスマーイール派の預言者論 ―― 初期の新プラトン主義的学派を中心として」(竹下政孝・山内志朗編)『イスラーム哲学とキリスト教中世』Ⅲ『神秘哲学』(岩波書店、2012年)がある。
岩波敦子(いわなみ あつこ)
1962年生まれ。ベルリン自由大学にて博士号 Dr.phil. 取得。現在、慶應義塾大学理工学部教授。専攻は、ヨーロッパ中世史。主著に memoria et oblivio. Die Entwicklung des Begriffs memoria in Bischofs- und Herrschrurkunden des Hochmittelalters(Berlin, 2004)、『誓いの精神史 ―― 中世ヨーロッパの〈ことば〉と〈こころ〉』(講談社選書メチェ、2007年)、『精神史における言語の創造力と多様性』(納富信留・岩波敦子編著、慶應義塾大学出版会、2008年)などがある。
山内志朗(やまうち しろう)
1957年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、中世哲学。主著に、『普遍論争』(平凡社ライブラリー、2008年)、『存在の一義性を求めて ―― ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(岩波書店、2011年)などがある。
神崎忠昭(かんざき ただあき)
1957年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、西洋教会史。主著に、『ヨーロッパの中世』(慶應義塾大学出版会、2015年)などがある。
松田隆美(まつだ たかみ)
1958年生まれ。ヨーク大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、慶應義塾大学文学部教授。専攻は、中世英文学。主著に、『ヴィジュアル・リーディング ―― 西洋中世におけるテクストとパラテクスト』(ありな書房、2010年)、『ロンドン物語 ―― メトロポリスを巡るイギリス文学の700年』(共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)などがある。
藤井真生(ふじい まさお)
1973年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、静岡大学人文社会科学部准教授。専攻は、中世チェコ史。著書に『中世チェコ国家の誕生 ―― 君主・貴族・共同体』(昭和堂、2014年)、主要論文に「イタリア司教の目に映った15世紀のチェコ ―― エネアのボヘミア・レポートとその背景」(長谷部史彦編)『地中海世界の旅人 ―― 移動と記述の中近世史』慶應義塾大学出版会、2014年)などがある。
池上俊一(いけがみ しゅんいち)
1956年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は、西洋中世史。主著に、『公共善の彼方に ―― 後期中世シエナの社会』(名古屋大学出版会、2014年、フォスコ・マライーニ賞受賞)、『魔女と聖女 ―― ヨーロッパ中・近世の女たち』(講談社現代新書、1992年 / ちくま学芸文庫(改訂版)、2015年)などがある。
原田晶子(はらだ あきこ)
エアランゲン大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。専攻は、中近世ドイツ史。主要著書・論文に、Die Symbiose von Kirche und Stadt im Spätmittelalter: Das bürgerliche Gemeinschaftsbewusstsein und Stiftungen an die Pfarrkirchen in der Reichsstadt Nürnberg, Dr. Kovač (Hamburg), 2014、「中世末期ドイツの都市における聖母マリア賛歌「サルヴェ・レジーナ」寄進の社会的意義 ―― 帝国都市ニュルンベルクを例に」(『比較都市史研究』)31(2)、2012年)などがある。
関 哲行(せき てつゆき)
1950年生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、流通経済大学社会学部教授。専攻は、中近世スペイン史。主著に『スペインのユダヤ人』(山川出版社、2003年)、『スペイン巡礼史 ―― 「地の果ての聖地」を辿る』(講談社現代新書、2006年)、『旅する人びと』(岩波書店、2009年)などがある。
佐藤健太郎(さとう けんたろう)
1969年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科准教授。専攻は、マグリブ・アンダルス史。主著に、 T. Miura & K. Sato ed., The Vellum Contract Documents in Morocco in the Sixteenth to Nineteenth Centuries(共編著、Tokyo: Toyo Bunko, 2015)、関哲行・高石博高・中塚次郎編『世界歴史体系 スペイン史1 古代~近世』(共著、山川出版社、2008年)、私市正年・佐藤健太郎編『モロッコを知るための65章』(共編著、明石書店、2007年)などがある。
目次
序 神崎忠昭
Ⅰ 知の挑戦
預言者の聖なる「旅」に終末のヴィジョンを見る
―― イスマーイール派思想家ラーズィー(322/934歿)によるムハン
マドの「夜の旅」と「昇天」の物語解釈から 野元 晋
中世地中海世界における科学知の継承と占星術的天文学 岩波敦子
中世存在論における断絶と改革
―― 超越概念をめぐって 山内志朗
Ⅱ ことばをめぐって
時代の分かれ道で
―― ニコラ・ド・クラマンジュの聖書主義 神崎忠昭
イメージの効用をめぐる不安
―― 15世紀イングランドの宗教文学をめぐって 松田隆美
Ⅲ 統治について
カレル4世の『国王戴冠式式次第』にみる伝統と国王理念の変容
藤井真生
中世都市トゥールーズの執政制 池上俊一
宗教改革導入にともなう死者追悼儀礼廃止に対する請願
―― カトリック共同体からプロテスタント共同体への移行の狭間で
原田晶子
Ⅳ 信仰のはざまで
第2次アルプハーラス反乱再考
―― レコンキスタ運動はいつ終焉したのか 関 哲行
17世紀チュニジアのモリスコ 佐藤健太郎
次代に向かって―― あとがきに代えて 神崎忠昭