縄紋土器の系統学 型式編年研究の方法論的検討と実践
価格:7,700円 (消費税:700円)
ISBN978-4-7664-2325-9 C3020
奥付の初版発行年月:2016年04月 / 発売日:2016年04月中旬
▼本書は、縄紋土器型式編年研究の方法論を、生物学の一分科である系統学をふまえて確立するとともに、標本資料の公開・分析をとおしてこれまで不明瞭だった最花(さいばな)A式を明示する。土器の表面的なかたちだけではなく製作工程を含めた技法を分析対象に組み込むことで型式編年を刷新。研究史の空白を埋め、考古学研究に重要な方法論的基盤を提示する意欲的な著作である。
安達 香織(アダチ カオリ)
1983年 横浜生。2006年 慶應義塾大学文学部人文社会学科卒。2014年 慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(史学)。現在 大学共同利用機関法人人間文化研究機構総合地球環境学研究所プロジェクト研究員。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序
第1章 土器型式編年研究に関する方法論的考察
1 問題の所在
2 研究の到達点と本書の視座
(1) 研究の到達点
(2) 本書の視座
3 縄紋土器の系統分類
(1) 系統分類
(2) 文様帯系統論
4 型式研究の意義
5 本書の方法論
(1) 系統的分析
(2) 製作工程を含めた技法の分析
第2章 東北地方北部縄紋時代中期後半の土器型式編年研究史
1 型式網における東北地方北部中期後半
(1) 山内清男の東北地方北部中期後半型式研究
(2) 角田文衛による榎林式の設定と江坂輝弥による「最花式」の設
定
2 最花貝塚遺跡の調査と「最花式」土器
(1) 最花貝塚遺跡の発掘調査と「最花式」
(2) 1964年調査の最花貝塚遺跡A地点出土土器の意義
3 東北地方北部中期後半の土器型式編年研究の諸問題
(1) 編年表における榎林式と「最花式」との変動
(2) 榎林式と「最花式」との基準資料の確認と大まかな関係の把握
(3) 「中の平Ⅲ式」の設定と「最花式」
(4) 現在の「最花式」
4 結語
第3章 青森県最花貝塚遺跡出土土器標本の整備と報告
1 最花貝塚遺跡出土土器標本提示の意義
(1) 最花貝塚遺跡の地理・歴史的環境
(2) 1964年の発掘調査の概要
2 標本の保管状況と整理作業の方法
3 A地点出土土器
4 結語
第4章 縄紋土器の技法と型式 ―― 分類指標としての製作工程 ――
1 最花貝塚遺跡A地点出土土器の製作工程を含めた技法・形態・装飾
の分析
(1) 最花貝塚遺跡A地点出土土器
(2) 小結
2 中の平遺跡出土第Ⅲ群土器の製作工程を含めた技法・形態・装飾
の分析
3 最花貝塚遺跡A地点出土土器と中の平遺跡出土第Ⅲ群土器との比較
4 仮称最花A式と仮称中の平Ⅲ式
5 結語
第5章 縄紋土器の文様の構造と系統
1 最花貝塚遺跡A地点出土土器の文様の構造的分析
2 榎林式と他型式との文様構造の比較
3 最花A式と他型式との文様構造の比較
(1) 仮称最花A式と榎林式、大木9b式との関係
(2) 榎林式と仮称最花A式とのあいだ
4 縄紋時代中期後半の東北地方北部と中南部との型式間の関係
(1) 最花A式
(2) 最花A式と仮称中の平Ⅲ式
5 結語
第6章 東北地方北部中期後半の土器型式編年とその広範な比較・総合への見通し
1 東北地方北部・中南部・関東地方の中期中葉~後葉型式間の関係
2 広範な比較・総合への見通し
3 広域における土器型式編年研究の重要性
結
引用・参考文献
あとがき
索引