日本古代史 法と政治と人と
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-2328-0 C3021
奥付の初版発行年月:2016年04月 / 発売日:2016年04月下旬
▼日本古代史を学びなおしたい人のための本格的入門書
充実した学習の手引、分野別参考文献、年表付き。
巨大帝国が興亡する激動の東アジア世界に誕生した倭国。隋唐帝国の圧力を受ける周辺諸国の中で、独立を守りぬき古代国家日本へと成長してゆく苦闘の歩みを、法と政治のダイナミズムの中で人々が織りなす活きた歴史として描き出す。
慶應義塾大学の教科書でもあり、教養書を越えた読みごたえのある一冊。
巻末には本格的に日本古代史を学びたい人のための「学習の手引き」、より深い学習に役立つ「工具書ならびに分野別参考文献一覧」、東アジアの動静まで含めた「年表」を付す。
長谷山 彰(ハセヤマ アキラ)
慶應義塾大学文学部教授。慶應義塾常任理事。
略 歴:1952年生まれ。1975年慶應義塾大学法学部卒業、1979年同文学部卒業、1981年同大学院文学研究科修士課程修了、1984年同大学院博士課程単位取得退学。駿河台大学法学部教授を経て1997年より慶應義塾大学文学部教授。2009年より慶應義塾常任理事。法学博士。
専 攻:日本法制史。
主要著作:『律令外古代法の研究』(慶應通信、1990年)、『新 裁判の歴史』(共著、成文堂、1997年)、『日本古代の法と裁判』(創文社,2004年)、『政治と宗教の古代史』(共著、慶應義塾大学出版会、2004年)、『日本法制史』(共著、青林書院、2010年)『法制と社会の古代史』(共著、慶應義塾大学出版会、2015年)など。
目次
はじめに
第一章 倭国王卑弥呼の誕生
1 邪馬台国から倭国へ
倭国王卑弥呼の誕生 / 倭人社会の発展 / 邪馬台国の所在地論争 /
邪馬台国の終焉
2 邪馬台国時代の社会
社会身分 / 家族制度
コラム1 倭国王帥升は倭国王か
第二章 倭の五王と東アジアの国際関係
1 倭王武の野望
倭王武の上表文 / 倭の五王と中国王朝の官爵
2 治天下大王への道
雄略天皇の即位 / 部民制の成立 / 治天下大王の誕生
コラム2 雄略天皇と采女
第三章 隋唐帝国の成立と推古女帝の時代
1 推古朝の政治
女帝の即位 / 三頭政治 / 冠位十二階の制定 / 憲法十七条の制定
2 推古朝の外交
隋の統一 / 日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す / 任那
の調
コラム3 聖徳太子と厩戸皇子
第四章 倭国の法と刑罰
1 神法の系譜
神判の伝統 / 盟神探湯の伝統 / 天津罪と国津罪
2 倭国の刑罰における継受法と固有法
中国史書にみえる倭国の刑罰
コラム4 火刑の伝統
第五章 大化改新と律令国家への道
1 舒明天皇即位の事情
山背大兄と田村皇子 / 蘇我氏の分裂
2 激動する東アジア世界
大唐帝国の成立 / 遣唐使の派遣 / あいつぐ政変
3 乙巳の変と大化改新
上宮王家の滅亡 / 乙巳の変 / 大化改新と政治改革 / 難波遷都 /
天下立評 / 孝徳帝の孤独
4 天智朝の国制改革
白村江の戦い / 戦後の外交 / 近江大津宮遷都と天智朝の政治
コラム5 渡来人の系譜
第六章 天武・持統朝の政治
1 天武朝の政治と制度
帝王中大兄の死 / 壬申の乱 / 現人神の誕生 / 天皇号の成立 /
官人制の整備と公民制の創出 / 天武朝の落日と国家事業 / 八色の
姓
2 持統天皇の即位と浄御原律令の制定
大津皇子の死 / 持統天皇の即位 / 藤原京の建設 / 浄御原令の施行
コラム6 浄御原律の編纂
第七章 律令国家の成立
1 文武天皇の即位
女帝の執念 / 文物の儀ここにおいて備われり
2 大宝律令の施行と国家機構の整備
大宝建元 / 大宝令と官僚制 / 遣唐使粟田真人の活躍
3 中国律令と日本律令
中国における律令法の発達 / 大宝令と養老令
コラム7 持統帝の火葬
第八章 律令制の諸相
1 天皇と官僚制
天皇と太政官 / 貴族と官僚制 / 蔭位の制 /
2 律令国家の支配制度
編戸制と籍帳制 / 班田収授制 / 律令税制
3 律と刑罰
律の思想的背景 / 犯罪 / 犯罪の構成要件 / 八虐 / 六議 /
刑罰 / 刑罰の適用 / 刑の減免
4 律令制下の裁判制度
律令裁判制度の特色 / 律令裁判手続
コラム8 日本と唐の直訴制度
第九章 平城京遷都と仏教の時代
1 元明天皇の時代
不改常典 / 藤原不比等の台頭 / 平城京の建設 / 和同開珎と蓄銭叙
位令
2 元明・元正朝の政治
首皇子の立太子と元正天皇の即位 / 国史の編纂 / 養老律令の編
纂 / 藤原不比等の死と皇親勢力の台頭
3 聖武天皇の即位と政争劇の幕開け
首皇子の即位 / 長屋王の変 / 光明立后 / 藤原四子体制から橘諸兄
政権へ / 藤原広嗣の乱 / 彷徨える王権
4 鎮護国家の仏教
国分寺創建と大仏造立 / 墾田永年私財法の発令 / 藤原仲麻呂の台
頭 / 仲麻呂の政治 / 遣唐使の派遣
5 称徳・道鏡政権の誕生
皇権の分裂 / 恵美押勝の乱 / 称徳天皇の重祚 / 宇佐八幡託宣事件
コラム9 国府・国分寺・道路
第十章 平安時代の政治
1 天武王朝の終焉
光仁天皇の即位 / 桓武天皇の即位 / 長岡京遷都
2 桓武朝の政治
平安京遷都 / 律令国家と蝦夷征討 / 徳政相論 / 平城上皇の変
3 嵯峨・淳和朝の政治
皇室の家父長 / 文章は経国の大業 / 法典の編纂 / 明法家の活
動 / 検非違使の活動
コラム10 日本国現在書目録と山海経
第十一章 摂関政治の時代
1 摂関政治の幕開け
承和の変 / 応天門の変 / 阿衡の紛議と関白 / 菅原道真と罪名勘
文 / 宇多・醍醐朝の政治 / 東アジアの国際関係の変化
2 摂関政治の確立
摂政と関白 / 安和の変 / 古代社会の変動 / 藤原道長の栄華 / 摂
関期の政務方式 / 儀式書の編纂 / 摂関期の司法活動
3 末法の世から院政の時代へ
刀伊の入寇 / 道長・頼通と浄土信仰 / 律令体制の終焉 / 後三条天
皇の即位
コラム11 菅原道真と藤原実資
おわりに
参考文献
分野別参考文献
学習の手引き
古代史研究の基礎~工具書・文献調査編~(稿)
年表
事項索引
人名索引