学術書の編集者
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-7664-2352-5 C1000
奥付の初版発行年月:2016年07月 / 発売日:2016年07月下旬
▼読むこと そして 挑発 = 媒介
名古屋大学出版会の編集長として、数々の記念碑的な企画を世に送り出し、
日本の学術書出版を牽引する著者が、編集・本造りの実際について縦横に語る、
現役編集者必携、志望者必読のしなやかな鋼の如き編集論。
橘 宗吾(タチバナ ソウゴ)
名古屋大学出版会 専務理事・編集部長。大学出版部協会理事(中部地区担当)・編集部会副部会長。1963年兵庫県加古川市生まれ。1989年京都大学文学部フランス語・フランス文学科卒業。以後、一貫して名古屋大学出版会で学術書の編集に携わり、1997年より編集部の責任者も務める。人文学・社会科学を中心に幅広い分野の書籍を手がけ、担当した書籍は、さまざまな学会賞のほか、日本学士院賞、大佛次郎賞、毎日出版文化賞、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞、アジア・太平洋賞、大平正芳記念賞、角川源義賞、和辻哲郎文化賞、渋沢・クローデル賞、マルコ・ポーロ賞、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞、レッシング翻訳賞、日本翻訳文化賞、同出版文化賞などを受賞。受賞数は100を超える。そのかん名古屋大学出版会も、1998年の梓会出版文化賞特別賞のほか、2007年に「学術分野での先駆的出版活動」が認められて中日文化賞を受賞した。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
序 章 学術書とは何か
1 悲観せず、楽観せず ―― 出版をめぐる状況から
2 情報か、知識か ―― 学術書をめぐる現状から
第1章 編集とは何か ―― 挑発 = 媒介と専門知の協同化
はじめに
1 編集の役割(1) ―― たて・とり・つくり
2 編集の役割(2) ―― 読むこと、そして挑発 = 媒介
3 専門知の媒介 = 協同化の必要性
4 専門知と徳科学論
5 専門知の協同化の類型
6 共通の知的基盤と「新しい教養」
7 知識のメディエーションと「知識人の機能」
8 大学出版・学術書出版の役割
おわりに
第2章 企画とは何か ―― 一つのケーススタディから
はじめに1 ―― 話すのが苦手で著者に会うのが怖い編集者として
はじめに2 ―― ほんとうのはじめに
1 本の紹介 ―― 『漢文脈の近代』 という研究書
2 出版企画について ―― 一般的な但し書き
3 長い長い因縁話(1) ―― 「アジアからの衝撃」
4 長い長い因縁話(2) ―― 文学への転位
5 長い長い因縁話(3) ―― 著者を求めて
6 長い長い因縁話(4) ―― 論文「小説の冒険」
7 ようやく著者に会う
8 目次案 ―― 論文集をつくる
9 原稿の編集過程 ―― 時間との戦い
10 そのほか三つほど ―― 装丁・タイトル・文章
おわりに ―― 出版企画の点と線
第3章 審査とは何か ―― 企画・原稿の 「審査」 をどう考えるか
はじめに
1 学術書の信頼性と 「審査」
2 ピアレヴューの限界と学術書編集者の役割
3 日本の学術書における 「審査」 をどのように考えるか
4 さらに具体的な問題をいくつか
おわりに
第4章 助成とは何か ―― 出版助成の効用と心得
はじめに
1 出版助成の社会的効用
―― 好循環による公共的価値の実現のために
2 「採算」 にとっての出版助成の効用
3 「採算」 以外の点での出版助成の効用
4 新たな出版企画に積極的・能動的に挑戦するための手段として
5 出版助成のデメリット
6 インターネット上での研究成果の公開との関係
第5章 地方とは何か ―― 学術書の「地産地消」?
はじめに
1 本の 「地産地消」?
2 普遍的な知の 「地方」 性
3 「めんどくさい」 知とその普及
おわりに
付 録 インタビュー「学問のおもしろさを読者へ」
1 企画が生まれるまで
2 橘流 「編集活動」 とは
3 大学出版部の編集活動について
註
あとがき
初出一覧
参考文献