慶應義塾大学三田哲学会叢書 ars incognita
「領土」としてのメディア ディアスポラの母国メディア利用
価格:770円 (消費税:70円)
ISBN978-4-7664-2354-9 C0336
奥付の初版発行年月:2016年07月 / 発売日:2016年07月中旬
▼異国に住まう「ディアスポラ」 ――
彼らの母国が表出する「場所」が、メディアの地平に見えてくる。
孤独・郷愁・優越・希望 ――
異郷にあるなら誰しもが、アイデンティティを揺さぶられずにはいられない。複雑多様な母国への想いは、ごく何気ない、メディアの利用に託されているのだ ――
ディアスポラの日常から眺望する、グローバル化の此岸。
慶應義塾大学三田哲学会叢書
三田哲学会は創立100年を機に、専門的な研究成果を「生きられる知」として伝え、 公共の中に行き渡らせる媒体として本叢書の発刊を企図した。
シリーズ名は、ars incognita アルス インコグニタ。
ラテン語で「未知の技法」を意味する。
単なる知識の獲得ではなく、新たな「生きる技法としての知」を作り出すという精神を表現している。
李 光鎬(イー ゴアンホ)
1963年生。慶應義塾大学文学部教授。
1994年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門はコミュニケーション学と社会心理学。主な著書に『現代社会心理学 ―― 心理・行動・社会』(共著、慶應義塾大学出版会、2004年)、『テレビニュースの世界像』(共著、勁草書房、2007年)、『テレビという記憶』(共著、新曜社、2013年)ほか。
目次
はじめに
第1章 母国メディアの利用動機と影響
第2章 韓国系ディアスポラの韓国メディア利用
1.聞き取り調査の概要
2.バンクーバーにおける韓国メディアの状況
3.韓国メディアの利用状況
4.母国への関心とディアスポラとしての自己承認
5.ノスタルジーの慰撫
6.娯楽と逃避、母国への憧れ
7.母国の時間と記憶
第3章 日系ディアスポラの日本メディア利用
1.バンクーバーにおける日本メディアの状況
2.日本メディアの利用状況
3.日本のニュースが「気になる」――家族と愛国
4.「笑いのツボ」の共有とレトリック共同体
5.訪問のための情報源
6.ソーシャルになることの難しさ
7.語学と現地メディアの利用
8.外国の中の「母国」
第4章 場所、メディア、ディアスポラ
1.場所とメディアの相互規定
2.電子メディアと「場所なき」(placeless)世界
3.場所の二重化、多孔化
4.仮想的場所への愛着
参考文献