イメージのヴァナキュラー 写真論講義 実例編
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-13-010145-5 C3010
奥付の初版発行年月:2020年04月 / 発売日:2020年04月中旬
写真はイメージとしてのみ浮遊しているのではない.そこには多様な物質性やメディア性,撮影・受容する身体の痕跡が刻み込まれている.そうした重層的な位相を解きほぐしつつ,写真集,スライド,アマチュア,セルフィなどを分析する.イメージ=写真の新たなパースペクティヴを切り開くヴァナキュラー写真論.前著『イメージを逆撫でする――写真論講義 理論編』につづく著者待望の写真論.
前川 修(マエカワ オサム)
神戸大学大学院人文学研究科教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 章 物としての写真,メディアとしての写真
1 写真のにおい
2 写真の影のアーカイヴ
3 写真という薄膜と身体
4 写真のヴァナキュラー
第1部 写真集を「読む」
第1章 トルボット『自然の鉛筆』論1――写真集「未満」の写真集?
1 起源の写真集
2 展開と接触
3 写真の言説空間とは
第2章 トルボット『自然の鉛筆』論2――写真(集)という格子
1 窓としての写真/表面としての写真(第一巻)
2 開いた扉から格子窓へ
3 植物写真とレース写真
4 格子という原理
5 記憶の危機と写真による想起
第2部 写真を投影する
第3章 スライド写真論1――複製の知覚
1 複製と透明性
2 複製の不透明さ
3 形の複製――「芸術写真」とステレオスコープ
4 鑑賞者と観察者
第4章 スライド写真論2――美術史の目と機械の眼
1 スライドとは何か?
2 芸術・写真というオリジナル・コピー
3 複製の美術史
4 スライド効果
第3部 写真を「飾る」/身につける
第5章 ヴァナキュラー写真論1――理論の相貌
1 写真の縁/縁としての写真
2 PhotographyからPhotographiesへ――不在の痕跡と抹消の痕跡
3 ヴァナキュラーという脱境界性
4 ヴァナキュラー写真とは
第6章 ヴァナキュラー写真論2――物・身体・時間
1 写真の物質性――インデックスの過剰
2 身体という物
3 ヴァナキュラー写真の時間性
4 すりぬけるイメージとしてのヴァナキュラー写真
第4部 写真を撮る/めくる/撮られる
第7章 アマチュア写真論
1 ネガとしてのアマチュア
2 写真史のなかのアマチュア写真――技術史/美術史、プロ/アマ
3 一九世紀の男子写真と女子写真――もうひとつのアマチュア像
4 宙に浮いたアマチュア写真
5 アマチュアというガイド
第8章 カルト・ド・ヴィジット論
1 CDVとは何か?
2 CDVの逆説――市民という主体/被写体
3 セレブリティという主体、写真家という主体
4 アルバムというアーカイヴ
5 CDVの中間性
終 章 セルフィ論――顔,腕,情動のエコノミー
1 セルフィの拡大/セルフィ論の停滞
2 「幻のもうひとり」の問い
3 セルフィ以前
4 セルフィ論争――セルフィッシュとセルフ(ィ)・コントロール
5 セルフィとは何か?――顔の脱中心化/遍在化
6 腕というインデックス
7 再帰性とミラーセルフィ
8 セルフィを見る/に触れる身体
9 フィルターという仮面
10 「幻のもうひとり」のその後
Remediating Vernacular Photographies
Osamu MAEKAWA