なぜ心を読みすぎるのか みきわめと対人関係の心理学
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-13-013310-4 C1011
奥付の初版発行年月:2017年07月 / 発売日:2017年07月下旬
行動の原因を,状況よりも心(性格や動機)に求めがちで,自然と相手の良し悪しをみきわめようとしてしまう私たち.他者を知り,関わろうとするとき,心の中では何が起きているのか——対人認知というフィルターを通して,人間の心の社会性,他者とのつながりのあり方に迫る.
目次
第1章 対人認知を考える視点——他者をみきわめる目
1 心を読むことと評価的なまなざし
2 他者の心を知ろうとすることについて
3 なぜ評価が大切なのか
4 行動の原因となる心の認知
5 理解をめざすしろうと科学者(心理学者)
6 他者をみきわめるための対人認知
第2章 性格特性からみる評価の役割
1 評価で印象が決まる
2 性格特性を表す言葉のまとまり
3 対人記憶と評価
4 評価は変わりにくい
5 評価的な次元の普遍性——性格特性の二次元との関係
6 なぜ人柄と能力が重要なのか
7 性格特性という道具と「よい—悪い」のみきわめ
第3章 行動の原因としての心
1 しろうと心理学者の推論
2 対応推論理論
3 人か状況か
4 対応バイアス——心を過剰に読む私たち
5 対応バイアスを生む認知メカニズム
6 対応バイアスの背景にあるもの
7 対応バイアスはバイアスなのか
8 みきわめようとする目と動機への疑惑
9 「人か状況か」ではなく——対応推論の新たな展開
10 日常的概念による行動の説明
11 多重推論モデル
12 心の推論へ
第4章 心の推論方略
1 ステレオタイプと理論説
2 フォーク・サイコロジーと理論説
3 理論説におけるバイアスの問題
4 シミュレーション説
5 シミュレーション説におけるバイアスの問題
6 どちらのメカニズムが採用されるのか
7 他者の心が「正しく推論しがたいこと」をめぐって
8 心を読むことのもう一つの意味——似た経験の効果から
第5章 人間としてみる
1 非人間化と加害・侵害
2 人間らしさとは
3 モノ化
4 動物化
5 モノ化の機能的側面と権力
6 排斥がもたらすもの
7 人間らしさの二次元と道徳的立場
8 人間としての心の知覚と道徳
第6章 道徳性の根拠としての心
1 マインド・サーベイ
2 道徳シナリオと「キャスト」
3 モラル・タイプキャスティング
4 二者関係的な道徳の拡張
5 モラル・タイプキャスティングの効用
6 道徳的な配慮を決めるもの
7 行為性と経験性の相互依存性
8 心の認知と道徳的判断
第7章 互いにみきわめあう私たち
1 心を読むこと,他者をみきわめること
2 心を読む側へのインパクト
3 他者との関係を支える対人認知