ロシアと日本 自己意識の歴史を比較する
価格:4,840円 (消費税:440円)
ISBN978-4-13-020305-0 C3020
奥付の初版発行年月:2016年10月
日本とロシアがどのような国家の歩みを刻み,眼差しを交わしてきたのか.外交の現場での交渉をふまえ,両国の本質を理解しあうこと目的とした研究プロジェクトの成果.現在の日ロ関係の課題に対して,歴史的なアプローチによる解決の糸口を探る.
目次
はじめに(東郷和彦)
序 章 アイデンティティを考える(A.N.パノフ)
I アイデンティティの形成——中世から近代へ
1 歴史の遺産と近代への影響(安野正士)
はじめに
一 中国・ビザンツ文明の遺産と近代への影響
二 近代におけるアイデンティティ形成の特質
結論
2 近世における歴史的発展の特徴(K.O.サルキソフ/パノフ)
はじめに
一 国家統一と対外膨張
二 18世紀のロシアと日本——地方統治と社会階層
三 権力構造における相違——聖俗権力の関係と黒幕・寵臣の役割
四 文明・宗教とアイデンティティの関係
五 19世紀前半における改革の挫折
II 近代化への道と日露戦争
1 近代化とアイデンティティの模索(安野/河原地英武)
はじめに
一 明治維新と大改革
二 明治日本のアイデンティティの模索——和魂洋才から脱亜入欧へ
三 双頭の鷲の揺らぎ——帝政後期のロシアにおけるアイデンティティの模索
四 日露戦争の意味——世界史の交差点
2 改革の時代(パノフ)
一 改革の背景要因
二 改革の開始
三 日露における国家思想
四 日露における啓蒙思想
五 対外政策
III アイデンティティの相克——第二次世界大戦終結まで
1 交差する日本とロシアの軌跡——1905−1945年(池田嘉郎)
はじめに
一 ロシア帝国と日本帝国
二 革命ロシアと日本
三 ソ連対日本帝国
むすび
2 和解と対立(サルキソフ)
一 日露戦争からロシア革命
二 ロシア革命から第二次世界大戦
IV 冷戦時代のアイデンティティ
1 葛藤する日本とソ連(下斗米伸夫)
はじめに
一 戦争、革命、抑留=戦後革命幻想の崩壊(1945−55年)
二 国交回復と高度成長(1956-72年)
三 デタント、多極世界と「比較される」社会主義(1973−85年)
四 ペレストロイカというすれ違い(1985−91年)
おわりに
2 「戦勝国」と「敗戦国」の歩み(D.V.ストレリツォフ)
一 第二次世界大戦の歴史的記憶——「敗戦国」と「戦勝国」の犠牲の度合い
二 政治権力のシステム——タコ症候群
三 社会発展の優先順位——均質化された消費水準の社会
四 「新たな愛国主義」——経済力か、帝国的大国主義か
V アイデンティティの再構築——冷戦後の時代
1 安倍・プーチンの新世紀(東郷/隈部兼作)
はじめに
一 ロシア
二 日本
三 これからの日露のアイデンティティ探求
2 転換か回帰か(S.V.チュグロフ)
はじめに
一 歴史——1000年の転換点に
二 伝統主義の衰退の代替としての起源への回帰
三 国益の優位
四 価値観の階層
五 2013−2015年の動向
終章 歴史の比較分析は未来の道標たりうるか(東郷)
一 日露の自己意識形成の類似性と相違性
二 日露発展の起伏の相関関係
三 未来の道標として
執筆者・翻訳者紹介
Russia and Japan: Comparative Analysis of History of Identities
Kazuhiko Togo and A. N. Panov, Editors