日ロ関係史 パラレル・ヒストリーの挑戦
価格:10,120円 (消費税:920円)
ISBN978-4-13-026265-1 C3020
奥付の初版発行年月:2015年10月
日米関係より長い歴史をもつ日ロ関係.日露戦争から,日ソ戦争,シベリア抑留問題,北方領土問題まで,双方の見解の違いを含め,紛争・不信・敵対と和解・信頼・友好の250年を両国の歴史家が描き出す.日ロ同時出版.
目次
読者の皆様へ1(五百旗頭眞)
読者の皆様へ2(A・V・トルクノフ)
I 一九世紀末までの両国関係
第1章 一八−一九世紀の遺産——日本型華夷秩序から西洋型国際秩序へ(生田美智子)
一 西洋型国際秩序との遭遇と葛藤
二 西洋型国際秩序との激突とその解消
三 西洋型国際秩序との併存からそれへの移行へ
四 西洋型国際秩序への加入をめざして
第2章 一八−一九世紀の露日関係(グリシャチョフ)
一 日本の鎖国とロシアの南下
二 ラクスマンとレザノフの使節
三 プチャーチン使節と下田条約
四 幕末・明治初期の国境諸条約
II 世紀転換期の相互イメージ
第3章 日ロにおけるナショナリズムと初期相互イメージの共起的生成——同時代人二葉亭四迷とチェーホフの言説をてがかりに(木村 崇)
一 日ロ関係転換点としての千島・樺太交換条約(一八七五年)
二 二葉亭四迷とチェーホフにとってのサハリン
三 日ロ関係悪化スパイラルがもたらした日清戦争
第4章 世紀転換期ロシアにおける日本のイメージ(ミハイロバ)
一 日本イメージと外交政策
二 芸術運動のヤポニズム
三 黄禍論と聖なる戦争
III 日露戦争
第5章 日露戦争の時代——衝突から講和まで(蓑原俊洋)
一 日露衝突への道程——交渉による懸案妥結の模索と挫折
二 戦争終結への道筋——講和会議をめぐる日露の攻防
三 ポーツマス講和会議とその成果
第6章 世紀転換期のロシアと日本——戦争と講和への道(ルコヤノフ)
一 中国・朝鮮をめぐる対立の亢進
二 対日外交政策の分散
三 ポーツマス講和条約
IV 日露協商期
第7章 ポーツマス講和条約後の日露関係——友好と猜疑のあいだで(黒沢文貴)
一 帝国主義下の日露関係
二 日露協調の深まり
第8章 「例外的に友好な」露日関係(一九〇五−一六年)(ペストゥシコ&シュラートフ)
一 露日戦争後の国際関係
二 露日協商と勢力圏合意
三 対米関係と協商悪化
四 大戦開始で露日同盟へ
V 革命と干渉
第9章 大戦と革命と干渉——在ロシア日本人ディアスポラの視点から(原 暉之)
一 在ロシア日本人ディアスポラの興亡
二 ロシア革命批判の急先鋒だった島田元太郎
三 中堅企業家層の形成と日本人居留民会
四 貿易と製造業から軍事用達に活動を広げた堀江直造
第10章 ロシア東部における干渉への日本の参加(一九一七−二二年)(ダツィシェン&グリシャチョフ)
一 米欧日の軍事干渉の開始
二 日本の白衛派支援とコルチャーク政府
三 コルチャーク政府の瓦解と極東共和国の成立
四 尼港事件とその反響
五 撤兵交渉の進展
六 沿海州での白系政府の消滅と撤兵の完了
VI 1920年代
第11章 政財界の反ソ・親ソ勢力(富田 武)
一 シベリア出兵から日ソ国交へ
二 漁業をめぐる日ソの対立と協調
三 北樺太における日本利権企業
四 満洲における日ソの対立
五 日露協会の活動
六 日本共産党の活動
第12章 ソ連外交と対中・日関係(グリニューク&シュラートフ&ローシキナ)
一 ソ日国交樹立への道程
二 満洲権益と張作霖政権
三 文化交流と後藤訪ソ
VII 1930年代
第13章 日本の対ソ政策——日ソ不侵略条約問題を中心として(戸部良一)
一 満州事変期の不侵略条約案
二 不侵略条約案から防共へ
三 日ソ中立条約
第14章 スターリンの日本像と対日政策(ローシキナ&チェレフコ&シュラートフ)
一 満州事変直後のソ日関係
二 スターリンの日本観
三 学術交流と中東鉄道交渉
四 国境紛争——張鼓峰とノモンハン
VIII 第二次世界大戦
第15章A 日ソ関係の展開——対米開戦から日ソ戦争まで(波多野澄雄)
一 日米開戦と日ソ関係
二 揺らぐ日ソ関係
三 最後の日ソ交渉と参戦
四 日ソ戦争
第15章B ソ連の満洲進攻と日本人引揚(加藤聖文)
一 満洲における日ソ戦と関東軍
二 ソ連軍の満州占領と日本人管理問題
三 米国の対中国政策と日本人引揚の開始
四 南樺太・北朝鮮からの日本人送還
第16章 ヤルタ会談前後のソ米関係と日本(クラフツェヴィチ)
一 ソ日中立条約と廃棄通告
二 米のソ連対日参戦工作とヤルタ協定
三 ローズヴェルトの対ソ譲歩
四 トルーマンの協定義務違反
IX 終戦と抑留
第17章 シベリア抑留の実態と帰国後の運動(富田 武)
一 抑留の重要論点
二 帰還後の抑留者たち
第18章 1945年の満洲電撃戦と日本人捕虜(キリチェンコ)
一 中立条約下の参戦準備
二 ソ連の満洲電撃戦
三 日本軍捕虜の生活と労働
四 戦犯裁判と政治教育
X 講和から国交回復へ
第19章 領土をめぐる日米ソ関係(一九五一−七〇年)(河野康子・下斗米伸夫)
一 五五年体制と日ソ国交回復(一九五三−五六年)
二 米ソ冷戦・高度成長・日ソ関係(一九五七−七〇年)
第20章 講和からソ日国交回復へ(チュグロフ)
一 サンフランシスコ平和会議とソ連の立場
二 ソ日国交回復
三 日本の国連加盟とロシア外交
XI 冷戦とデタント
第21章 日ソ関係と「政経不可分」原則(一九六〇−八五年)(小澤治子)
一 一九六〇年代の日ソ関係
二 グロムイコ外相の訪日(一九七二年一月)
三 日中国交回復とソ連
四 田中首相訪ソと日ソ経済関係
五 日中平和友好条約締結とソ連
六 ソ連のアフガニスタン軍事介入と対ソ経済制裁
第22章 冷戦下ソ日関係のジグザグ(一九六〇−八五年)(クジミンコフ&パヴリャテンコ)
一 一九六〇年のソ日関係
二 友好関係確立の道を求めて(一九六〇年代)
三 一九七〇年から八五年のソ日政治関係
四 一九七〇年代の経済協力
五 一九七〇年代の漁業をめぐるソ日関係
六 一九七〇年代のソ日関係の発展
XII ペレストロイカ
第23章 ゴルバチョフ登場と「拡大均衡」論(一九八五−九一年)(下斗米伸夫)
一 ペレストロイカの開始と対日関係の停滞
二 ゴルバチョフ訪日とソ連崩壊
第24章 「新思考」路線とソ日関係(一九八五−九一年)(サルキソフ)
一 ゴルバチョフ登場と訪日要請
二 拡大均衡論と安倍提案
三 ソ連外交当局のゴルバチョフ訪日準備
四 領土問題と経済外交
XIII エリツィン時代
第25章 東京宣言からイルクーツク声明へ(東郷和彦)
一 ロシア連邦との最初の交渉(一九九一年一二月−九三年)
二 交渉のしばしの停滞期(一九九四−九六年)
三 橋本・エリツィンの時代(一九九七−九九年)
四 森・プーチンの時代(二〇〇〇年−二〇〇一年四月)
第26章 ロシア政府の対日外交政策(パノフ)
一 ロシア連邦の誕生
二 最初のロ日関係
三 東京宣言の発出とその役割
四 領土交渉を中心とするロ日関係の活性化
五 幅広い分野の活性化
XIV 21世紀
第27章 日ロ関係の過去十余年(河原地英武)
一 再出発と迷走(二〇〇一年−〇八年)
二 関係悪化と一方的行動の応酬(二〇〇九−一一年)
三 歴史認識の争点化
四 創造的かつ建設的アプローチの模索
第28章 ロ日関係発展の可能性(カザコフ&キスタノフ&ストレリツォフ)
一 政治関係
二 国際情勢や安全保障面での協力
三 科学・文化・教育面での協力
四 貿易経済関係
XV 領土問題
第29章 北方領土問題とサンフランシスコ体制(原 貴美恵)
一 ソ連の対日参戦——ヤルタ構想と千島
二 「未解決問題」へ——サンフランシスコ体制の中の「千島」
三 日ソ交渉(一九五五−五六年)と日ソ共同宣言以後
第30章 ロ日間の領土問題——下田条約から今日まで(ストレリツォフ)
一 領土紛争の史的側面——一七世紀から一九世紀半ばまで
二 一九世紀半ばから第二次世界大戦開始までの領土画定問題
三 国際関係でのヤルタ・ポツダム体制に照らした領土画定問題
四 一九五六年のソ日共同宣言における国境問題
五 一九六〇−九〇年の二国間関係における領土問題
六 一九九〇年代の領土問題
七 二〇〇〇年以降の二国間関係における領土確定問題
八 現在のロ日関係における領土問題
XVI 相互表象
第31章 日ロ関係史におけるイメージと表象(小菅信子)
一 日露戦争に至る日本のロシア観
二 「日露戦争一〇〇年」のイメージと表象
三 〈日露戦争=人種戦争〉への懐疑
四 日露戦争をめぐるさまざまな表象
第32章 現代ロ日関係史における相互イメージの進化——二国間関係の独立要因として(チュグロフ&ストレリツォフ)
一 ロシアにおける日本のイメージ
二 日本におけるロシアのイメージ
三 歴史記憶の要因
四 指導者の要因等
あとがき(ストレリツォフ,下斗米伸夫)
跋 『日ロ関係史』刊行によせて(鳩山邦夫)
跋 『ロ日関係史』刊行によせて(ナルイシキン)
日ロ関係史年表(戸部良一)
編者・執筆者一覧