奴隷制南部と保護主義 南北戦争前期アメリカ経済史研究
価格:8,580円 (消費税:780円)
ISBN978-4-13-046135-1 C3033
奥付の初版発行年月:2021年09月 / 発売日:2021年09月上旬
「アメリカ体制」と呼ばれた19世紀アメリカの保護主義的経済政策の実態に,州・地域・連邦・大西洋両岸という四つの視角から迫り,国内の単なる地域間分業ではなく,全域での地域間不均衡是正と地域に即した産業・工業の発展が目指されていたことを明らかにする.
平出 尚道(ヒライデ ナオミチ)
青山学院大学経済学部教授,同経済学部長
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 章 南北戦争前のアメリカ経済とアメリカ体制
1 アメリカ型「国家」
2 奴隷制
3 アメリカ体制
(1)産業革命/(2)アメリカ体制
4 各章の課題
第I部 アメリカ体制の一基盤――ケンタッキー州の政治経済構造
第I章 地域類型「南部」としてのケンタッキー州ブルーグラス地方
はじめに
1 ブルーグラス地方への入植
2 レキシントンの経済的発展
(1)メトロポリス=レキシントン
(2)レキシントンの商業
(3)レキシントンの工業
(4)レキシントンの没落
3 大麻生産
4 奴隷・土地所有の状態
5 ブルーグラス地方と低南部
6 ブルーグラス地方と「アメリカ体制」
おわりに
第II章 ブルーグラス工業と第二合衆国銀行
はじめに
1 第二合衆国銀行と支店設置運動
2 第二合衆国銀行と域内工業化
おわりに
第III章 ブルーグラス工業とラテン・アメリカ通商構想
はじめに
1 「西半球体制」と西部
(1)ケンタッキー州とラテン・アメリカ
(2)ニュー・オーリンズとラテン・アメリカ
(3)西部農業とラテン・アメリカ
(4)西部工業とラテン・アメリカ
2 「西半球体制」と地域間分業
おわりに
第IV章 ヘンリー・クレイの植民運動
はじめに
1 『アメリカ植民協会についてのイギリス人の考え』と「南部」奴隷制経済
2 アメリカ植民協会と「南部」
3 ケンタッキー州と植民運動
(1)ケンタッキー植民協会
(2)スレイブ・プア問題
(3)一八四九年憲法改正会議代議員選挙
おわりに
第V章 カシアス・M・クレイの奴隷解放論
はじめに
1 カシアス・M・クレイの奴隷制論
(1)教育水準の低位
(2)非奴隷所有白人層の貧困化
(3)人口増加の低迷
(4)農工業の停滞
2 カシアス・M・クレイの奴隷解放案
(1)立法的解放路線
(2)漸進的解放路線
(3)非共存解放路線
おわりに――カシアス・M・クレイと「アメリカ体制」
第II部 自由貿易と保護主義の狭間で――奴隷制南部の経済構造
第VI章 プランテーション商品作物生産間の利害対立
――一八二四年関税法案をめぐって
はじめに
1 連邦議会下院における審議過程
一八二四年二月一三日(金)
一八二四年二月一六日(月)
一八二四年二月一七日(火)
一八二四年二月一八日(水)
一八二四年二月二三日(月)
一八二四年二月二四日(火)
一八二四年二月二五日(水)
一八二四年二月二六日(木)
2 一八二四年関税法案審議と大麻製梱
3 一八二四年関税法案審議と砂糖
4 大麻製梱関税と「アメリカ体制」演説
おわりに
第VII章 ルイジアナ州でのアメリカ体制受容
――砂糖生産の拡大と保護主義への旋回
はじめに
1 保護主義への旋回
2 ナショナル・リパブリカン党(系)/ホイッグ党の興隆
3 「アメリカ体制」の受容
4 交通改善・合衆国銀行の意味
おわりに
第III部 ホイッグ党の経済政策とアメリカ合衆国
第VIII章 ホイッグ党プランター層の保護主義論
はじめに
1 「南部」棉花州における保護主義
2 ホイッグ党と工業化論
(1)保護関税と「南部」工業化論
(2)配分政策と「南部」工業化論
おわりに
第IX章 中央「州権」主義としてのアメリカ体制
――ホイッグ党の経済政策思想
はじめに
1 一八四四年大統領選におけるホイッグ党と「州権主義」
2 一八四四年大統領選における民主党の「アメリカ体制」論
(1)フェデラリスツ批判と「アメリカ体制」
(2)「配分政策」批判と「アメリカ体制」
おわりに
第IV部 イギリス自由貿易論とアメリカ保護主義論
第X章 スコットランド・ハイランドの麻工業
はじめに
1 一八世紀,一九世紀初頭のインヴァネス麻工業
2 一九世紀前半のインヴァネス商業
3 一九世紀中葉までのインヴァネス麻工業
おわりに
第XI章 イギリス議会のアメリカ保護主義論とアメリカでの対応
はじめに
1 イギリス議会における議論
(1)一八二八年七月討議
(2)イギリス議会における自由貿易論
2 アメリカにおける理解
おわりに
第XII章 アメリカ保護主義運動における西部農民層の位置
――イギリス穀物法をめぐって
はじめに
1 アメリカ保護主義とイギリスの言論
2 イギリス穀物法とアメリカの言論
おわりに
終 章 奴隷制南部とアメリカ体制