〈社会的なもの〉の歴史 社会学の興亡 1848-2000
価格:8,250円 (消費税:750円)
ISBN978-4-13-050197-2 C3036
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年09月中旬
社会学理論の歴史を,1848年二月革命にはじまる〈社会的なもの〉の苦難の歴史とコインの表裏としてとらえ,二度の総力戦,冷戦,そしてグローバリゼーションなどリスクに満ちた20世紀を駆け抜けた学として,社会学のアイデンティティを生き生きと描き出す.
厚東 洋輔(コウトウ ヨウスケ)
大阪大学名誉教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
I 社会問題と社会学 一八四〇―一八九〇年
1章 問題としての〈社会的なもの〉
1 思考の習慣としての社会
2 起点としての一八四八年革命
3 〈ポスト-フランス革命〉事象としての〈社会的なもの〉
4 科学による社会問題の解決
5 〈社会的なもの〉の学としての社会学
2章 階級のありかとしての社会
1 社会問題の構成
2 エンゲルスと〈社会的なもの〉
3 〈社会の階級モデル〉
4 シュタインにおける国家と社会
5 社会政策学と経済学の間
II 在野からアカデミーへ 一八九〇―一九二〇年
3章 ジンメルと「個人と社会」問題
1 社会主義の制度化と社会学の制度化と
2 集団の拡大と個性の発達
3 形式社会学の問題
4 完全な社会
5 ジンメルにおける〈社会的なもの〉
4章 デュルケムと「道徳の実証科学」
1 社会問題から道徳問題へ
2 分業と連帯
3 社会的事実と拘束性
4 自殺と統計的データ
5 宗教と道徳
5章 シカゴ大学の創設とC.H.クーリー
1 アメリカ社会学の制度化
2 シカゴ学派の構築
3 クーリーと〈オーガニックなもの〉
4 オーガニック社会論
5 タウンシップの想像力
中間展望 二つの世紀末
III 社会学の試練 一九二〇―一九四〇年
6章 一九二〇年代社会学の光と陰
1 挟撃する社会学批判
2 シカゴ学派の隆盛
3 マンハイムと社会学的知の擁護
7章 ヴェーバーと合理主義の社会学
はじめに――〈社会学者=マックス・ヴェーバーの発見〉
1 社会主義と世代的反逆
2 価値自由と理解社会学
3 資本主義の精神と職業人
4 合理主義と合理化
5 社会的から合理的へ
6 非合理的なものの合理的把握
IV 〈大西洋憲章の社会学〉――社会と社会学の再建 一九四〇―一九七〇年
「大西洋憲章」と社会学
8章 〈社会的なもの〉と「大衆」の問題
1 社会研究所と試金石してのナチズム
2 社会的性格と「人間」の問題
3 大衆の国家とマスコミュニケーション
4 他人志向性と〈社会的なもの〉
5 日本占領とルース・ベネディクト
9章 ベヴァリジ・プランと市民権の社会的要素
1 socialとsociologicalの間――イギリスのケース
2 ベヴァリジと〈社会的なもの〉の意味変容
3 ベヴァリジ・プランとソーシャル・サービス
4 イギリスにおけるアカデミック社会学の生誕
5 T.H.マーシャルと市民権の社会的要素
6 「社会サービス」のゆくえ
10章 パーソンズと社会システムの理論
1 大恐慌と参戦と
2 「社会問題」から「秩序問題」へ
3 社会関係学部の開設とAGIL図式の形成
4 社会のシステム理論をめざして
5 マクロ社会学とミクロ社会学の棲み分け
V 社会から文化へ 一九七〇―二〇〇〇年
11章 ダニエル・ベルと科学的知の社会学
1 二つの世紀末(続き)
2 大西洋憲章から「イデオロギーの終焉」へ
3 科学的知の制覇と自壊
12章 社会学の〈記号論的転換〉
1 「フレンチセオリー」とアメリカ社会学の首座転落
2 リオタールとポストモダン
3 ボードリヤールと消費社会
4 フーコーと言説の秩序
13章 文化と〈社会の階級モデル〉
1 カルチュラル・ターンとカルチュラル・スタディーズ
2 サブカルチュアと階級文化
3 文化資本と〈社会の階級モデル〉のバージョンアップ
VI 二一世紀の社会学にむけて 二〇〇〇年―
14章 新しい〈社会的なもの〉の胎動
あとがき