子どもの学習を問い直す 社会文化的アプローチによる知的障害特別支援学校の授業研究
価格:6,820円 (消費税:620円)
ISBN978-4-13-056236-2 C3037
奥付の初版発行年月:2022年02月 / 発売日:2022年02月上旬
なぜ知的障害のある子どものインクルージョンが進まないのか。その要因を個人主義に見いだし、特別支援学校におけるフィールドワークと教室談話分析を通して、知識社会における教育と学校の在り方を探求する。知的障害教育の歴史と現状、思想や制度、学際的な理論や社会問題を大胆に結び合わす書。
楠見 友輔(クスミ ユウスケ)
日本学術振興会特別研究員、立教大学文学部特別研究員
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第1部 知的障害のある子どもを含むインクルーシブ教育の可能性
第1章 知的障害のある子どものアカデミックな教育課程へのインクルージョン:アメリカの知的障害教育の動向から
アメリカにおける障害のある子どもの教育
知的障害のある子どものインクルージョンの実態
新自由主義と結びついたインクルーシブ教育の特徴と問題
第2章 知的障害教育の専門性を強調する立場:日本の知的障害教育制度と歴史から
日本の知的障害教育の制度的枠組み
日本の知的障害教育の背景
専門性を強調する日本の知的障害教育の意義と問題
第3章 知的障害教育の根本的問題
日米の知的障害教育の差異と共通性
個人主義の特徴
知的障害教育への問題提起
第4章 個人主義から社会文化的アプローチへ
学習と障害を社会的概念として捉える
社会文化的アプローチの教授学習論
社会文化的アプローチから子どもの学習を捉える意義
社会文化的アプローチによる学習論への転換
第2部 授業における知的障害のある子どもの学習を問い直す
第5章 本書における授業研究の方法
分析方法
協力校とデータ
研究の全体像と各章の目的
第6章 知的障害のある子どもの学習の可能性
知的障害のある生徒Cの文章理解の学習過程を分析するための方法
生徒Cの読み方の変化と教師の教授の特徴
知的障害のある子どもの創造的な学習
第7章 子どもの自然な差異は学習にどのように影響するか
複雑な特徴を持つ生徒Bのお金の支払い学習の過程を分析するための方法
生徒Bの複雑な特徴と学習の関係
子どもの特徴は回り道の学習を生じさせる
第8章 授業の構造は子どもの学習にどのように影響するか
生活の授業の構造が子どもの参加に及ぼす影響を分析するための方法
6タイプの授業の構造とその影響
構造と子どもの参加の関係
第9章 授業における子どもと環境と構造の動的変化
子どもの授業参加の仕方の変化を分析するための方法
2名の司会者が教室談話を主導するようになる過程
集団的活動の動的変化として生じる子どもの授業参加
第3部 子どもの学習を中心とする学校と社会へ
第10章 新しい時代の知的障害教育へ
知識社会と知的障害教育
授業を問い直す
学校教育改革への示唆