内容紹介
古来より,刑罰などを逃れるために精神病を偽装する行為は跡を絶たない.しかしその鑑定は常に精神病とはなにかという問いを精神医学に迫るものでもあった.欧米では詐病学とも称され活発な研究とそれに基づく鑑定が行われているが,本書は日本ではじめてこれを概説し,鑑定の実際を示すものである.
目次
第1編 詐病学の歴史と司法精神医学
I 詐病学の歴史
II 詐病と疾患概念
III 臨床家の詐病に対する態度
IV 詐病の定義
V 詐病の発生頻度
VI 専門家の証言(鑑定)は信用できるか
VII 詐病の評価(鑑定)の仕方
VIII 民事裁判の原告の鑑定
IX 医師の両極性構造—詐病の精神鑑定のための倫理
第2編 詐病の事例または詐病が強く疑われる事例
第1章 「拘禁精神病」の詐病—あるいは反応性空想虚言症という詐病
第2章 「特異な妄想形成」(中田・小木)とみなされた詐病
第3章 犯罪被害者においてPTSDの詐病が除外できない例
第4章 認知的欠陥の詐病