eラーニング活用ガイド
価格:2,090円 (消費税:190円)
ISBN978-4-501-54300-6 C2004
奥付の初版発行年月:2007年04月 / 発売日:2007年04月上旬
既刊「eラーニング導入ガイド」の続編.
eラーニングはさらに身近に,使いやすく手離すことのできない存在になります
『eラーニング白書(2006/07年度版)』によると,社員5000人以上の企業の86%が,2000〜4999人の企業の53%が,eラーニングを使っていると発表されました。学校教育の分野でもここ数年,eラーニングや遠隔教育の導入,実践の裾野が広がってきています。この1〜2年で,eラーニングは一部の組織が挑戦する教育の改革という段階から,eラーニングが自然に受け入れられ,どこの会社にもある一般的な情報基盤になりつつあることを感じています。
企業では重要性の増しているコンプライアンス,個人情報保護,セキュリティなど,社会人として身に付けていないと企業の信頼性に大きなダメージを与える教育を,短時間に確実に修了しなければならないという社会情勢が続いています。
学校教育でも,多様化する学生の学力への対応や多様な学習ニーズに応えていくこととともに,学校の特長作りが急がれる状況にあります。
このような状況は,テーマは変わっても形を変えて継続して発生すると考えられます。企業も学校も,共通した問題にeラーニングを幅広く活用することで事態の改善を図ろうとすることが一般的になってきています。
企業でのコンプライアンス,個人情報保護教育,業務知識教育などはすべての企業に共通したテーマであり,学校教育でのリメディアル教育,対面授業の欠席対応,遠隔教育への活用なども学校教育での共通したテーマであります。
このように企業も学校も,すべての組織に共通するような時代の変化に対応するためにeラーニングを活かすというのが,極めて自然な発送として受け入れられる情勢となりました。
eラーニングはICT(Information and Communication Technology)を活かした情報基盤であり,組織にとって必要欠くべからざる存在になってきているといえる時期がもう目前に来ていると思います。
加えて携帯電話の進化,モバイルテクノロジーの進化がeラーニングのおもしろさ,有効性と親しみやすさを加速しています。
その意味では,eラーニングに関する常識は世間の共通認識となりつつある時期が近づいています。
最近は,eラーニングがICTを活用した情報基盤であるという認識も台頭しはじめ,eラーニングは構造化された知識をまとめたコンテンツ(教材)を提供する仕組みだけではなく,構造化されていない日頃身近にある暗黙知のような非構造化情報(コンテクスト)をもっと活用するべきであるという考え方も検討されつつあります。
つまり学びの環境の中に,学習仲間とのコミュニケーションや電子化された情報から必要な情報を検索するなど,学習する人にとってより学習しやすい環境を作り出し,知識を得るための教育に加えて,コンテクストを得て実践力を育成しようという考え方です。
この考え方は,今までのeラーニングの常識を越えて広く実用的な機能を提供し,これまでよりさらに学習者の学習行動を自由に,柔軟に力強く支援していこうとするもので,これからの発展が期待できる教育環境です。
私たちも新しいコンセプト,テクノロジー,ネットワークを活かしたこのeラーニングが新たなeラーニング推進のうねりを起こすことと期待しています。
ICTの発展により,コーポレート・サーチによる情報検索システムやプロジェクトに使われるような企業内SNSは自然に浸透していきます。コンテクストを扱うeラーニングは,新人からエキスパートまで役に立つことを考えますので,この分野でeラーニング関係者はリーダーシップを発揮してほしいと思っています。
数年前,eラーニングの活用は当たり前となる時代を反映して,ひとりでも多くの方にeラーニングに踏み込んでいただこうと,日本イーラーニングコンソシアムの広報委員会のメンバーが中心になり,『eラーニング導入ガイド』という書籍をまとめました。その続刊として,より効果を高める活用の方法を考える本がこの『eラーニング活用ガイド』です。
この本は,日頃eラーニング関係の仕事をしている方が,eラーニングの現場の視点で,eラーニングの基本から実用上のノウハウまでをわかりやすくまとめました。この本がeラーニングの裾野を広げ,eラーニングの新しい方向のイメージを提示し,eラーニングを実践する方の力強い味方になることを心から願っています。
目次
1章 活用企業の悩みと解決策
1−1 eラーニングは費用がかかる?
1−2 eラーニングを導入すれば研修は不要になる?
1−3 eラーニングは中小企業より大企業向き?
1−4 eラーニングは1人1台のパソコン環境でないと効果がないのでは?
1−5 eラーニングについてはどのようにして学べばいいの?
2章 企業の活用実態
2−1 求められるコンテンツの種類
2−2 求められるコンテンツの質
2−3 これからのコンテンツ
2−4 インフラ環境や関連する体制の問題
2−5 学習意欲とeラーニングの必要性
2−6 経営者のeラーニングに対する積極性と効果の関係
[座談会1]ベンダがみた企業内eラーニングの課題
3章 成功するeラーニングを実現する人材 —eラーニングプロフェッショナルの未来
3−1 eラーニング神話の崩壊
3−2 eラーニングプロフェッショナルの重要性
3−3 eラーニングプロフェッショナルに必要なコンピテンシー
3−4 eラーニングプロフェッショナルになるには?
3−5 eラーニングプロフェッショナルの未来
4章 eラーニングの標準化
4−1 eラーニングの標準化についてこんな誤解が・・・
4−2 eラーニングの標準規格SCORMはどこが作っているの?
4−3 SCORM1.2は何が決めてあるの?
4−4 標準化にはどんなメリットがあるの?
4−5 標準化なんて必要ないと無視していたらどうなる?
4−6 標準化を導入した方がよい場合と導入しなくてもよい場合
4−7 標準化普及のために
4−8 新しい標準化規格こんなにいい!
4−9 今後の,eLC標準化推進委員会の活動
5章 今後のeラーニング動向
5−1 はじめに
5−2 ナレッジワーカーと学習
5−3 ナレッジマネジメントとeラーニング
5−4 学習管理とROI
[座談会2]ユーザー企業がホンネで語る
索 引