科学の地理学 場所が問題になるとき
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-588-37120-2 C1020
奥付の初版発行年月:2014年06月 / 発売日:2014年06月上旬
科学的知識は、実験室、研究所、博物館の文書室、動植物園、病院、パブ、公共空間、観測所、フィールド調査、さらには地域や国など、あらゆる〈場所〉で生成される。本書は、科学と場所の問題について歴史をたどりながらさまざまな角度から論じ、科学的客観性が実は、つねに「どこからかの見方」にほかならないことを提示し、科学論における「地理学的転回」を試みた意欲作。
デイヴィッド・リヴィングストン(リヴィングストン,D.)
(David N. Livingstone)
1953年北アイルランド生まれ。ベルファストのクイーンズ大学で地理学を専攻し、同大学でPh.D. を取得。現在、同大学の地理学と知識史の教授。専門は地理学。
本書のほか主な著書に、The Geographic Tradition: Episodes in the History of a Contested Enterprise( Blackwell Publishers, 1992), Adam’s Ancestors: Race, Religion and the Politics of Human Origins( Johns Hopkins University Press, 2008), Dealing with Darwin: Place, Politics and Rhetoric in Religious Engagements with Evolution(Johns Hopkins University Press, 2014), Geographies of Nineteenth Century Science( co-editor, University of Chicago Press, 2011), The Sage Handbook of Geographical Knowledge( co-editor, Sage, 2011)などがある。
梶 雅範(カジ マサノリ)
1956年横浜生まれ。1988年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了(学術博士)。日本学術振興会特別研究員、ソ連政府奨学金留学生、東京工業大学工学部人文社会群助教授などを経て、現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科准教授。専門は科学史。
主な著訳書に、『メンデレーエフの周期律発見』(北海道大学図書刊行会、1997年)、『科学者ってなんだ?』(編著、丸善、2007年)、『昭和前期の科学思想史』(共著、勁草書房、2011年)、スティーヴ・フラー著『我らの時代のための哲学史──トーマス・クーン/冷戦保守思想としてのパラダイム論』(共訳、海鳴社、2009年)ほか。
山田 俊弘(ヤマダ トシヒロ)
1955年千葉県生まれ。1980年京都大学理学部卒業後、高校教員。1998年より東京地学協会日本地学史編纂委員会委員、国際地質科学史委員会(INHIGEO)日本委員。2004年東京大学総合文化研究科博士課程修了(博士〔学術〕)、現在、東京大学教育学研究員。専門は科学史、とくに地学史。
主な論文・訳書に、“Kircher and Steno on the ‘geocosm,’ with a reassessment of the role of Gassendi’s works,” GSA Special Papers, vol. 411( Geological Society of America, 2006)、ニコラウス・ステノ著『プロドロムス──固体論』(東海大学出版会、2004年)など。
目次
序文
第1章 科学の地理学はあるか
空間が問題
科学の地理学
第2章 現場──科学の発生地
実験の館
蓄積の陳列棚
フィールド作業
展示の庭園
診療の空間
科学知識の身体
他の空間について
第3章 地域──科学の諸文化
地域、革命、科学的ヨーロッパの勃興
権力、政治、地域科学
地域、読書、受容の地理学
科学、国家、地域のアイデンティティ
第4章 流通──科学の諸運動
移転と転移──問題の提起
旅行と信用のテクニック
つなぎ合わせて世界をつくる
第5章 科学を然るべき場所に位置づける
原註および訳註
訳者解説
文献案内
索引
関連書
J.ラウズ著/成定薫・他訳『知識と権力』
D.R.ヘッドリク著/塚原東吾・隠岐さや香訳『情報時代の到来』