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オペラ黎明期の舞台上演責任者コラーゴ

コラーゴ オペラ黎明期の舞台上演責任者

A5判 286ページ 上製
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-588-42023-8 C3073
奥付の初版発行年月:2025年02月 / 発売日:2025年02月下旬

内容紹介

16世紀末にフィレンツェで誕生した「オペラ」。その黎明期には、音楽を用いた舞台芸術の制作・上演にかかわるすべてを裏方で統括し、オペラの成立に決定的に貢献した知られざる役職「コラーゴ」の存在があった。同時代の書簡や文献を渉猟し、音楽劇の萌芽と発展を考えるうえで欠かせない「コラーゴ」の実態に初めて焦点をあてる。従来のオペラ誕生史の空白を埋め、西洋音楽史研究を刷新する労作。

著者プロフィール

萩原 里香(ハギハラ リカ)

萩原 里香(ハギハラ リカ)
石川県出身。日本大学芸術学部音楽学科音楽理論コース卒業、芸術学部長賞受賞。東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻音楽文芸修士課程、及び博士後期課程修了。博士(学術)。博士在学中にイタリア政府給費奨学生としてボローニャ大学へ留学(2011~2013年度)。東京藝術大学声楽科教育研究助手等を経て、現在、武蔵野音楽大学、横浜市立大学、日伊学院にて非常勤講師。早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。専門は音楽学(西洋音楽史、イタリア・オペラ、リブレット、イタリア語)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 

序 章 コラーゴとは何か
 第1節 音楽劇前史とコラーゴ
 第2節 『コラーゴ──よき舞台を作るための考察』
  1 写本“Il Chorago”
  2 不詳の著者について
  3 コラーゴの語源
  4 コラーゴの定義

第1部 コラーゴの歴史
 第1部の概要

第1章 レオーネ・デ・ソンミ
 第1節 レオーネ・デ・ソンミの生い立ちと活動
 第2節 コラーゴとしてのレオーネ・デ・ソンミ
 第3節 『上演芸術に関する四つの対話』の写本
  1 執筆時期
  2 概要
 第4節 『上演芸術に関する四つの対話』から読み取れるデ・ソンミの仕事
  1 作家として
  2 役者の選出と教育
  3 衣装家として
  4 ステージマネージャーとして
  5 照明デザイナーとして
 第5節 ムツィオ・マンフレーディからの依頼

第2章 アンジェロ・インジェニェーリ
 第1節 アンジェロ・インジェニェーリの生い立ちと活動
 第2節 アッカデーミア・オリンピカとアンジェロ・インジェニェーリ
 第3節 コラーゴとしてのアンジェロ・インジェニェーリ
 第4節 『劇詩についておよび寓話を上演する方法』とコラーゴの仕事
  1 第一部:台本選考者(意見陳述者)として──作家たちへの助言
  2 第二部:上演するための三つの要素
   2‐1 舞台装置について
   2‐2 演技について
   2‐3 音楽について

第3章 エミーリオ・デ・カヴァリエーリ
 第1節 エミーリオ・デ・カヴァリエーリの生い立ちと活動
 第2節 コラーゴとしてのエミーリオ・デ・カヴァリエーリ
  1 一五八九年「フェルディナンド・デ・メディチの婚礼」
  2 作曲家として
  3 コレオグラファーとして
  4 カヴァリエーリの役割
 第3節 一六〇〇年《魂と肉体の劇》
  1 作品の独自性
  2 出版譜の序文等

第4章 エンツォ・ベンティヴォッリオ
 第1節 エンツォ・ベンティヴォッリオの生い立ちと活動
 第2節 一六一七~一六一九年「コジモ・デ・メディチ歓待計画」
  1 エンツォ・ベンティヴォッリオとファルネーゼ家の関係
  2 劇場について
  3 台本について
  4 音楽について
  5 プロジェクトの中止、政略結婚に向けて
 第3節 一六二七~一六二八年「オドアルド・ファルネーゼの婚礼」
  1 台本について
  2 劇場について
  3 音楽について
   3‐1 クラウディオ・モンテヴェルディの音楽
   3‐2 歌い手の選出
 第4節 采配者としてのコラーゴ

第1部の総括──コラーゴ職の成立
 エンツォ・ベンティヴォッリオの新奇性

第2部 舞台芸術の虚構と真実性
 第2部の概要

第5章 音楽劇の不自然さ
 第1節 「真実らしさ」という概念
 第2節 不自然さの問題
 第3節 スティーレ・レチタティーヴォ
  1 三つの舞台表現法
  2 音楽に合わせた三つの表現法

第6章 「真実らしさ」を重視した作品づくり
 第1節 真実らしい対話のための作詩法
 第2節 歌による会話がありえそうだと思える登場人物
 第3節 真実らしさを生み出す題材
 第4節 真実味に欠ける独白への対応
  1 独白の導入例①(合唱とともに)
  2 独白の導入例②(リトルネッロとともに)
 第5節 真実味のある語りを実現するために作曲家が気をつけるべきこと

第7章 真実味のある舞台のために
 第1節 楽器の使用と配置
 第2節 真実味のある演技
 第3節 合唱隊の存在が作り出す真実味
 第4節 舞台装置が作り出す真実らしさ
  1 真実味のあるプロシェーニオの想定
  2 遠近法
 第5節 真実らしさを引き出す衣装・化粧

第2部の総括──歌う劇を自然なものにすること
 音楽劇特有の「真実らしさ」と「驚異」に対する認識

終 章 「コラーゴ」を通すことで新しく見えてくる歴史的側面
 オペラ誕生と発展における「アッカデーミア」の貢献
 文化としての音楽劇の浸透

あとがき
図版出典
参考文献

事項索引
人名索引
ゴンザーガ家系図
ベンティヴォッリオ家系図
エステ家系図
ファルネーゼ家系図


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