慶應義塾大学法学研究会叢書 別冊12
プルーストの詩学
価格:9,900円 (消費税:900円)
ISBN978-4-7664-0683-2(4-7664-0683-4) C3090
奥付の初版発行年月:1999年01月
プルーストが、その作品の中において生涯追求した恋愛そして芸術を「現象学的光学」「色彩光学」「時学光学」……、一言で言えば「詩学」とでもいうべき視点から解き明かす論考集。
櫻木 泰行(さくらぎ やすゆき)
1932年三重県四日市市生まれ。南山大学文学部仏語学仏文学科卒(1958年)、慶應義塾大学文学修士(1960年)、同大学文学研究科博士課程修了(1963年)、20世紀フランス文学専攻、同大学部教授(1976年)。現在慶應義塾大学名誉教授、同法学部非常勤講師。
編著書に『フランス語Ⅳ』(共編)(私立大学通信教育協会1977年)、『新・フランス語 第四部』(共編)(慶應通信、1995年)などがある。
目次
はじめに
第一章 プルーストの愛における所有の概念について
第二章 プルーストと時間の問題
Ⅰ 時間における連続性と不連続性
Ⅱ プルースト的時間の素描と探究の方向
第三章 プルーストにおける詩的現象学
第四章 プルーストの方法
——その色彩光学をめぐって——
第五章 プルーストと色彩
——《atre》系の色彩語をめぐって——
第六章 文学と色彩
——プルーストと《mauve》——
第七章 プルーストと「青」のイマージュ
第八章 透明の詩学
——プルーストと「ガラス」のイマージュ——
Ⅰ
1 「砕けたガラス器」
2 「ビロードの外套」
3 「砕かれた声」
Ⅱ
『楽しみと日々』
1 <脆さ>と<粉砕>のモチーフ
2 <流動性>または<溶解>のモチーフ
(1)光と液体のイマージュ
(2)溶解のイマージュ
Ⅲ
『楽しみと日々』から『ジャン・サントゥイユ』へ
存在の脆さ——「脆い玩具」jouet fragile
Ⅳ
1 「砕かれた香水びん」flacons brises——裏切られた願望
2 『ジャン・サントゥイユ』における《briser》のモチーフ
Ⅴ
『ジャン・サントゥイユ』における《briser》のモチーフの変奏
(1)砕けた意思 la volonte brisee
(2)砕けた水差し la carafe brisee
第九章 プルーストと砕けたガラス器
——Pour une poetique de transparence (1)——
Ⅰ
Ⅱ
1 オデットが砕いたvase
2 砕かれたヴェネツィアのガラス器
3 押しつぶされたビロードの溶解
4 破壊できない結合
5 一つの解釈の可能性
6 第二の解釈
Ⅲ
1 砕けたガラス器を求めて
(1)オデットの「花瓶」vase
(2)レオニー叔母の花瓶
(3)アルベルチーヌの隠語
2 三つの破片
(1)ヴィルパリジス夫人のvase
(2)二国間のalliance
(3)永久に破壊されたvase
3 不在のvaseの喚起
Ⅳ
不滅のunionへの祈り
第十章 プルースト・一九〇四年と一九〇五年 あるいは「巨匠たちのワニス」
——Pour une poetique de transparence (2)——
Ⅰ
1 幻想の空間
2 一九〇五——母の死
Ⅱ 流動的なもの
Ⅲ 透明な「ワニス」
第十一章 プルースト素描——付加と縮約
——Pour une poetique de transparence (3)——
Ⅰ 「煮凍り」のように
Ⅱ ガラス・水・死
Ⅲ 縮約法
Ⅳ 「柱の滴」——イメージのエコー——
第十二章 プルーストと結氷の主題(前)
——Pour une poetique de transparence (4)——
Ⅰ 「脆さ」または「破壊」の主題の二重性
Ⅱ 唯一の「書物」と準備としてのテクスト
Ⅲ 詩人の死か?
Ⅳ 作品と死の意識
第十三章 プルーストと結氷の主題(後)
——Pour une poetique de transparence (5)——
Ⅰ 「脆さ」からの脱出
Ⅱ 文学的才能の欠如の観念
Ⅲ 『サント=ブーヴに反して』に含まれる原図
Ⅳ 夕闇の詩学
第十四章 プルースト・透明のイメージ
——Pour une poetique de transparence (6)——
第十五章 プルーストの「黒」のイメージ
第十六章 プルーストの植物誌ノート
——プルーストの花——
あとがき