評伝 西脇順三郎
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-1114-0(4-7664-1114-5) C0095
奥付の初版発行年月:2004年11月 / 発売日:2004年11月上旬
日本の近・現代詩に、その豊饒な言語的感覚をもって衝撃を与え、いまだに多くの愛読者をもつ西脇順三郎の本格的評伝です。著者は西脇順三郎に私淑して、三十年あまり詩、絵画、散文、文学論について親しく質疑を繰り返し研究してきました。作品と実生活とを見据え、西脇の内面の肖像を丹念に描いている西脇伝記の決定版です。
新潟県小千谷で過した幼少の頃、ラテン語で書いた卒業論文、初期詩集『アムバルワリア』での鮮烈な詩壇デビュー、かつて画家を目指したこと、ノーベル文学賞の候補、晩年のギリシア語と漢語の比較研究など、西脇の詩の世界、現実の世界を絡め合わせて、詩人の心象風景を豊かに表現しています。 カバー・表紙には、西脇順三郎の描いた絵・イラストを用い、巻頭に口絵(モノクロ十六頁)、巻末に著者作成の年譜と主要参考文献を収載しています。
一九三〇年生まれ。慶應義塾大学卒。フルブライト留学生としてミネソタ大学大学院に留学。明治学院大学名誉教授。西脇順三郎の全集や定本全詩集のテキストの校訂をはじめとして、西脇英詩集の翻訳に携わる。著訳書『西脇順三郎全詩引喩集成』(筑摩書房)、『西脇順三郎 変容の伝統』(東峰書房)、『エズラ・パウンド詩集』(角川書店)、『エズラ・パウンド詩集』(小沢書店)、『アメリカ詩の世界』(大修館書店)、『エミリー・ディキンソン 不在の肖像』(大修館書店)、『詩人たちの世紀——西脇順三郎とエズラ・パウンド』(みすず書房、ロゲンドルフ賞)、『ピサ詩篇』(みすず書房)ほか。
目次
I 信濃川、静かに流れよ
小千谷紀行 幼時の追憶 ナショナル・リーダーズ 曙町と藤島武二 父の死
II それから三田へ来た
理財科予科 アーサー・シモンズと早稲田 ラテン語の卒業論文 ペイターと美の宗教 フローベールのスタイル
III ディオニソスは夢みつつ航海する
北野丸船客 緑の夜明け——ロンドン オックスフォード生活 マージョリとの結婚 英文詩集『スペクトラム』
旅人よ、帰れ——未刊のフランス語詩集
IV 馥郁タル火夫ヨ
浮き上がれ、ミューズよ—復刊「三田文学」と「詩と詩論」の頃
テンゲンジ物語—瀧口修三君へ 「純粋な鶯」—北園克衛への手紙
覆された宝石—『アムバルワリア』 トリトンの噴水学
V 幻影の人の淋しき
荻原・春山論争 「ゴーガンの村」を求めて
「幻影の人」の成立 流謫—鎌倉から小千谷へ
土星の苦悩
VI なぜ深沢をさまよわねばならないのか
豊饒の女神 『第三の神話』前後
ノーベル賞候補 『失われた時』
イタリア紀行 詩画集—池田満寿夫たちと
VII 野原をさまよう神に
モントリオール世界詩人会議 イギリスの野原
撃壌歌または冗歌 はせをの芸術—加藤楸邨との対談
鹿門先生 自然に返る
VIII また追放の人はかえるだろう
永劫の旅人 詩人・画家 西脇順三郎—生誕百年
燈台へ行く道 世田谷/奥の細道—没後二十年
北園・瀧口の帰還
主要参考文献
年譜
あとがき