慶應義塾大学東アジア研究所叢書
グローバル・ナショナル・ローカルの現在
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-7664-1259-8(4-7664-1259-1) C3030
奥付の初版発行年月:2006年03月 / 発売日:2006年03月上旬
「グローバル化の空間力学」とはなにか。
日本をふくむアジア/ラテン・アメリカを中心に、「グローバリゼーションと市民社会・農村社会との関係」「グローバリゼーションと共犯関係にあるナショナリズムの諸相」「ローカル/ナショナルを超えるガバナンスの可能性」を問い直した一冊。
【編著者】
野村亨(のむら とおる)
慶應義塾大学総合政策学部教授兼政策・メディア研究科委員。
専門分野:マレー世界の歴史、東南アジア交通史。
山本純一(やまもと じゅんいち)
慶應義塾大学環境情報学部教授兼政策・メディア研究科委員。
専門分野:メキシコ研究、言説分析、グローバリゼーション研究。
【執筆者】
田島英一(たじま えいいち)
慶應義塾大学総合政策学部助教授兼政策・メディア研究科委員。
専門分野:中国地域研究。
沈潔(しぇん じぇ)
浦和大学総合福祉学部教授。
専門分野:社会福祉、社会学。
廣田拓(ひろた たく)
慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。
専門分野:比較政治、民主化論。
小池洋一(こいけ よういち)
拓殖大学国際開発学部教授。
専門分野:開発研究、ラテンアメリカ研究。
鄭浩瀾(つぇん・はおらん)
慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。
専門分野:中国政治。
野田真里(のだ まさと)
中部大学国際関係学部助教授。
専門分野:社会開発政策、NGO/NPOマネジメント。
小嶋亜維子(こじま あいこ)
シカゴ大学社会学部Ph.D課程。
専門分野:文化社会学、消費社会学、日本研究。
安田涼(やすだ りょう)
慶應義塾大学東アジア研究所共同研究員。
専門分野:言語社会学。
桑野真紀(くわの まき)
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。
専門分野:文化人類学。
市川顕(いちかわ あきら)
慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程。
専門分野:体制移行・政策普及・ポーランド環境政策。
奥田敦(おくだ あつし)
慶應義塾大学総合政策学部教授兼政策・メディア研究科委員。
専門分野:イスラーム法および関連諸領域。
目次
序 章 グローバル化のトポロジーとトポグラフィー (山本純一)
第1部 グローバリゼーションと市民社会
第1章 インボランタリーからボランタリーへ
——「愛国主義」時代の中国で宗教系慈善団体が持つ意味 (田島英一)
はじめに
1 宗教系NPOが持つ戦略的意義
2 宗教的価値の実践にともなう制度困難
3 宗教系NPOの事例
4 上海YMCAアンケート分析
おわりに
第2章 中国の地域社会近代化への模索
コミュニティNPOの創出 (沈 潔)
はじめに
1 地域社会の意味についての論考
2 イデオロギー的地域社会づくりの挫折
3 「単位社会」の形成およびその崩壊
4 生活サービス供給型のコミュティへの模索
5 「社区服務」から「社区建設」へ
6 コミュニティNPOの創出
おわりに
第3章 グローバリゼーション下のアルゼンチンにおける市民社会の政治化
——ピケテーロス運動に焦点を当てて (廣田 拓)
はじめに
1 グローバリゼーションとアルゼンチンの対応
2 アルゼンチン社会のローカルな対応——「新しい市民社会論」の視座から
3 ピケテーロス運動
おわりに
第4章 国家、市場を社会に埋めこむ
——ブラジルにおける多元的社会創造への挑戦 (小池洋一)
はじめに
1 侵食される社会
2 社会を強化する試み
3 資本主義の修正
おわりに
第2部 グローバリゼーションと農村社会
第5章 中国農村における村民選挙と権力構造の変容
——江西省の村落を事例として (鄭 浩瀾)
はじめに
1 調査村落の概況
2 権力構造と村民選挙
3 村幹部、村民と「自治」
おわりに
第6章 コーヒーのフェアトレードの可能性と課題
——メキシコ・チアパス州の2つの生産者協同組合を事例として (山本純一)
はじめに—研究の背景と目的
1 メキシコ・コーヒー産業小史
2 コーヒーFT運動の現状
3 事例分析
おわりに——「市場との接合」は可能か
第7章 グローバル危機と社会行動仏教による人間の安全保障
——アジアのローカル文化復興によるオルタナティブ発展 (野田真里)
はじめに
1 グローバリゼーションの力学
——人間の安全の危機とオルタナティブな草の根(ローカル)文化の
復興としての仏教的開発
2 タイにおけるグローバリゼーションによる危機と開発僧の実践
3 仏教によるオルタナティブ発展のグローバルネットワーク
——カンボジアとインドを中心に
おわりに——「人道的グローバリゼーション」にむけて
第3部 ナショナリズムの諸相
第8章 食とナショナル・アイデンティティ
——日本のコメ輸入反対論を事例として (小嶋亜維子)
はじめに
1 アイデンティティと食の選択
2 「国民」と「ナショナルな食」
3 事例——コメの輸入反対論
おわりに
第9章 反捕鯨問題をめぐるグローバリズムとナショナリズム (安田 涼)
はじめに
1 近代における捕鯨小史
2 国際的捕鯨環境の変化
3 反捕鯨問題の成立
おわりに
第10章 コミュニティを基軸にしたチカーノ・ナショナリズムの構築
——1960年代のロス・アンゼルスで生まれたポリティクス (桑野真紀)
はじめに
1 1960年代 激動のアメリカ社会
2 チカーノ・ナショナリズムの台頭
3 コミュニティを基軸にしたナショナリズム
4 希望の哲学としてのコミュニティ
おわりに
第11章 ブータンの国家戦略
——両大国のはざまで (野村 亨)
はじめに
1 ブータンとはどのような国か
2 国家統一のプロセス
3 地政学的観点からみたブータン
おわりに——どうしたら生き残れるのか? シッキムとネパールの教訓
第4部 <ナショナル>を超えるガバナンスの可能性
第12章 マルチレベル・ガバナンスの有効性
——バルト海の環境問題を事例として (市川 顕)
はじめに
1 バルト海の概要と環境汚染の特徴
2 バルト海諸国による環境問題をめぐる地域協力
——Helcomを中心として
3 ポーランドとバルト海環境協力
4 バルト海における地方自治体を中心とした地域協力
5 バルト海地域協力とマルチレベル・ガバナンス
おわりに
第13章 イスラームとグローバル・ガバナンス (奥田 敦)
はじめに
1 ナショナリズムとイスラーム
2 ローカリズムとイスラーム
3 グローバル化とイスラーム
4 イスラームとグローバル・ガバナンス
まとめにかえて
あとがき (野村 亨)