叢書 21COE-CCC 多文化世界における市民意識の動態22
市民社会と地方自治
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-1406-6 C3331
奥付の初版発行年月:2007年08月 / 発売日:2007年08月上旬
元鳥取県知事、片山善博による、注目の地方自治論。
▼財政難に直面し、多くが破産の危機にある現代日本の地方自治体。三位一体政策の問題点を指摘し、地方税制、地方議会改革、公務員制度や透明性が問われる入札システムなどに、鳥取県知事として型破りな改革を行った著者が、「納税者の視点」からの地方自治体の改革を提言する。
片山善博(かたやま よしひろ)
慶應義塾大学大学院法学研究科教授。
1951年生まれ。1974年、東京大学法学部卒業。能代税務署長、自治大臣官房国際交流企画官、自治省固定資産税課長、同府県税課長、鳥取県知事(2期)などを経て、2007年4月より現職。併せて、中央教育審議会臨時委員、財政制度等審議会臨時委員、日弁連市民会議委員、日弁連法務研究財団認証評価評議会評議員などを務める。
主要業績に、『地域間交流が外交を変える』(共著)(光文社、2003年)、『改革は誰にでもできる』(北海道大学大学院法学研究科、2005年)、『住むことは生きること−鳥取県西部地震と住宅再建支援』(東信堂、2006年)、「地方自治の原点は地方税にあり」『地方税』第51巻6号(2000年6月)、「図書館のミッションを考える」『情報の科学と技術』第57巻4号(2007年)など。
目次
序章 地方自治の現状と課題
Ⅰ 財政難にあえぐ全国の地方自治体
Ⅱ 三位一体改革の問題点
Ⅲ 誠実さと一体性が求められる政府
Ⅳ 義務教育費国庫負担金の一般財源化問題
Ⅴ 政府の予算編成過程の欠陥
Ⅵ 鳥取県における予算編成の新たな試み
Ⅶ 透明性のある厳しいチェックの必要性
第1章 納税者が主役の地方自治
Ⅰ 地方分権時代のベクトル転換
Ⅱ 歳出と税負担が連動する財政
Ⅲ 税率と地方債制度
Ⅳ 地方議会における税の議論とその必要性
Ⅴ 税の使途を吟味し情報を公開する議会
Ⅵ 納税者の代表で構成する地方議会の確立
Ⅶ 納税者がつくる生き生きとした自治
第2章 税から見つめる地方自治
Ⅰ 「納税者」という視点の提示
Ⅱ 行政改革と納税者
Ⅲ 市町村合併と納税者
Ⅳ 監査委員制度と納税者
Ⅴ 納税者としての法人
Ⅵ 地方自治と納税者の選択
第3章 分権時代の地方税制
Ⅰ 現場重視への意識改革
Ⅱ 税に対する首長の無関心とその克服
Ⅲ 税務行政を担う職員の能力向上
Ⅳ 住民が「わかりやすい」税制の追求
Ⅴ 「わかりやすい」税制構築の実践例
Ⅵ 税制における情報公開の積極的推進の必要性
Ⅶ 地方分権時代における税制と制度運用のあり方
第4章 税制における専門性とチェックシステム
Ⅰ 固定資産税評価のミス発覚
Ⅱ 固定資産税評価に対する市職員の見識
Ⅲ 固定資産評価員の職責
Ⅳ 固定資産評価員の選任をめぐる問題点
Ⅴ 固定資産評価制度の機能不全
Ⅵ 外国の事例から学ぶ固定資産評価のあり方
Ⅶ 情報公開と不服申し立て制度の必要性
第5章 日韓地方資産課税比較論
Ⅰ 日韓の土地税制と地方財政
Ⅱ 韓国の総合土地税の概要
Ⅲ 課税基準と土地評価をめぐる日韓比較
Ⅳ 税の性格論と税制比較研究の意義
第6章 法人事業税の再検討
Ⅰ 法人事業税の見直し論議
Ⅱ 外形基準の導入とは
Ⅲ 外形基準導入論の背景
Ⅳ 外形基準の導入と法人の所得に対する実効税率をめぐる議論
Ⅴ 法人事業税の見直しと減税論
Ⅵ 外形基準の導入をめぐる課税側と納税側の見解
Ⅶ 外形基準として何を選択すべきか
Ⅷ 外形基準の導入に際して考慮すべき事項
第7章 地方議会改革の重要性
Ⅰ 自治体の意識改革と現場主義
Ⅱ 自治体の政策形成能力と議会の果たすべき役割
Ⅲ 地方分権時代における議会のあり方
Ⅳ 議会におけるオープンな議論の必要性
Ⅴ 議員立法のすすめ
Ⅵ 税負担を議論する場としての地方議会
Ⅶ 自由闊達で多様性のある地方議会に
第8章 政策的課題Ⅰ——男女共同参画・消防防災体制
Ⅰ 男女共同参画
Ⅱ 消防防災体制
第9章 政策的課題Ⅱ——談合防止・公務員処遇
Ⅰ 談合防止
Ⅱ 公務員の処遇
終章 地方分権時代の地域づくり
Ⅰ 地方分権とまちづくり、地域づくり
Ⅱ 「現場が基本」の災害復興とまちの再建
Ⅲ 我が国初の住宅再建支援策
Ⅳ 災害復興から学んだまちづくり、地域づくり
Ⅴ 地域づくりは自ら考えることから
あとがき