SFC総合政策学シリーズ
日中環境政策協調の実践
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-7664-1522-3 C3330
奥付の初版発行年月:2008年04月 / 発売日:2008年04月上旬
▼中国の急速な経済発展にともなう環境・生態系の悪化に対して、日中両国はどのような対策が可能なのか。現在の課題、方法、実践を具体的な事例で詳細に分析。
【編者】
小島 朋之(こじま ともゆき) 序章、第1章、第8章
慶應義塾大学 総合政策学部教授。
1967年 慶應義塾大学法学部卒業。1973年 同大学院博士課程修了。法学博士。1991年より現職。2001〜2006年 総合政策学部長。『現代東アジアの政治』(共著、放送大学教育振興会、2002年)、『未来を創る大学』(共編著、慶應義塾大学出版会、2004年)、『富強大国の中国』(一藝社、2003年)など多数。
厳 網林(げん もうりん) 序章〜第2章、第4章、第10章
慶應義塾大学 環境情報学部教授
1982年 中国・武漢測絵科学技術大学卒業。1992年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。武蔵工業大学助教授を経て2001年より現職。『地理情報科学の新展開』(共著、日科技連、1997年)、『GISの基礎と応用—空間情報統合化技術』(共著、オーム社、2001年)、『GISの原理と応用』(日科技連、2003年)など。
【執筆者】
関根 嘉香(せきね よしか) 第3章
東海大学理学部化学科准教授。
1989年 慶應義塾大学理工学部卒業。1991年 同大学院博士課程前期修了。1993年 東海大学大学院理学研究科にて理学博士を取得。2000年より現職。『中国の環境問題』(共著、慶應義塾大学出版会、2004年)など。
王 雪萍(おう せつへい) 第3章、第8章
慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所助教。
2006年 慶應義塾大学大学院博士課程修了、博士(政策・メディア)。慶應義塾大学産業研究所共同研究員、慶應義塾大学法学部兼任講師、青山学院大学非常勤講師を経て、2006年より現職。『留学生与中外文化』(共著、中国南開大学出版社、2006年)、『中国の外交』(共著、山川出版社、2007年)など。
楊治敏(やん じーみん) 第3章
成都華日環境総合技術中心。
中国重慶大学(現中国重慶建築工程学院)卒業。成都市環境保護科学研究所副所長を経て現職。『中国環境研究』(共著、勁草書房、1995年)、『四川の環境問題』(共編著、慶應義塾大学出版会、2004年)など。
山本 悠介(やまもと ゆうすけ) 第5章
情報通信総合研究所研究員
2000年慶應義塾大学商学部卒業。2005年同大学院博士課程単位取得退学。『情報通信ハンドブック2007』(共著、情報通信総合研究所編、2006年)。
吉岡 完治(よしおか かんじ) 第5章
慶應義塾大学 産業研究所教授。
1969年 慶應義塾大学商学部卒業。1974年 同大学院博士課程修了。商学博士。1990年より現職。『日本の製造業・金融業の生産性分析』(東洋経済新報社、1989年)、『環境分析用産業連関表』(共著、慶應義塾大学出版会、2001年)、『アジアの経済発展と環境保全』(共著、日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業、2002年)など多数.
中野 諭(なかの さとし) 第5章、第6章
慶應義塾大学 グローバルセキュリティ研究所研究員。
1999年 慶應義塾大学商学部卒業。2005年 同大学院博士課程単位取得退学。2005年より現職。『環境分析用産業連関表』(共著、慶應義塾大学出版会、2001年)など。
裵 潤(べ ゆん) 第7章
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科専攻後期博士課程在学中。
政策COE・RA。
早見 均(はやみ ひとし) 第8章
慶應義塾大学 商学部教授。
1983年 慶應義塾大学経済学部卒業。1988年 同大学院博士課程修了。商学博士。
2004年より現職。2007年10月より慶應義塾大学産業研究所所長を兼任。『情報経済論』(共著、有斐閣、1997年)、『地球温暖化と東アジアの国際協調』(共編著、慶應義塾大学出版会、2004年)。
鄭 雨宗(ちょん うじょん) 第9章
慶應義塾大学 産業研究所共同研究員。
1995年 韓国航空大学経営学科卒業。2005年 慶應義塾大学大学院博士課程修了。商学博士。2005年より現職。2006〜2008年現在、日本学術振興会外国人特別研究員。『EUの公共政策』(共著、慶應義塾大学出版会、2006年)など。
目次
まえがき
序章 日中環境協力の実践的アプローチ 小島朋之・厳網林
1 地球温暖化問題と日中環境協調
2 政策COEにおける取り組みと本書の主旨
3 本書の構成
第1章 東アジアにおける環境問題と国際政策協調スキームの構築 厳網林・小島朋之
1 はじめに
2 環境問題を取り巻く国際情勢
3 環境問題への総合政策学の方法
4 東アジアにおける環境ガバナンスの実践
5 瀋陽CDM植林に関する実証実験
6 CDM植林による国際協調スキームの実現に向けて
7 おわりに
第2章 地域生態系マッピングとそのサービスの評価 厳網林
1 はじめに
2 研究方法
3 エコマッピングの実例
4 考察
5 結論
第3章 中国内陸部の人と生態系に関わる環境政策の実践
—四川省成都市における日中共同研究 関根嘉香・王雪萍・楊治敏
1 はじめに
2 四川省成都市
3 成都市の大気汚染
4 民生部門におけるSO2排出量削減対策
5 生活環境中の化学物質:室内空気汚染
6 生物多様性の保護:パンダ食用竹の植林
7 成都市の水質汚濁
8 環境意識と環境教育
9 今後の環境課題
第4章 自然資本の運用による環境保全と社会発展のためのフレームワークの構築—チンハイ・チベット高原を事例として 厳網林
1 はじめに
2 自然資本の概念
3 チンハイ・チベット高原にとっての自然資本の意義
4 自然資本の評価と運用
5 青海省におけるフレームワークの適用条件
6 まとめ
第5章 太陽光発電のユーザーコストとCO2削減効果—大学キャンパスにおける実験 山本悠介・中野諭・吉岡完治
1 はじめに
2 投資財価格とユーザーコスト
3 太陽電池のユーザーコストの推計
4 CO2排出量推計のためのモデル
5 慶應義塾大学キャンパスにおける太陽電池導入の効果
6 教育・研究・医療部門の電力消費量及び発電による誘発CO2排出量
7 おわりに
第6章 石炭依存地域における硫黄酸化物対策シミュレーション—中国遼寧省のケーススタディ 中野諭
1 はじめに
2 先行研究
3 モデルの体系
4 経済・環境統計と環境・経済モデルの留保条件
5 シミュレーション
6 シミュレーションの結果
7 おわりに
第7章 日中におけるCDMプロジェクトの実現に向けて—環境ガバナンス的アプローチ 裵潤
1 はじめに
2 日本政府機関のCDM実施状況
3 日本企業のCDM
4 自治体及びNGO・NPOの植林事業
5 CDMにおける日中環境ガバナンス
6 おわりに
第8章 日中友好植林活動のCDM国際認証に向けて—環境ガバナンス的アプローチ 早見均・王雪萍・小島朋之
1 はじめに
2 植林によるCO2吸収量の測定ガイドライン
3 植林によるCO2の吸収量の測定:インベントリー報告書形式
4 おわりに
第9章 EUの戦略的貿易措置による中国の環境保全効果 鄭雨宗
1 はじめに
2 理論的背景と分析モデル
3 EUと中国のエネルギー効率の比較と限界費用
4 EUの域外炭素税がもたらす経済と環境影響
5 むすびに
第10章 日中環境協力の新しいパラダイム 厳網林
1 日中新時代の到来
2 日中関係のパラダイムシフト
3 日中協調による新しい価値創造
4 総合政策学による日中環境協調
5 おわりに
索引