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リオデジャネイロの詩と時魔法使いの国の掟

魔法使いの国の掟 リオデジャネイロの詩と時

四六判 272ページ 上製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-7664-1819-4 C3098
奥付の初版発行年月:2011年06月 / 発売日:2011年06月上旬

内容紹介

サウダーヂ=郷愁、とは何か。
▼20世紀ブラジルのリオデジャネイロで活動した4人の詩人、マヌエル・バンディラ、カルロス・ドゥルモン・ヂ・アンドラーヂ、ヴィニシウス・ヂ・モライス、セシリア・メイレーリスの詩作品を哲学や小説を含む西洋近代の思考の変遷に照らしつつ明らかにする。
▼西欧文学との影響関係の分析を通して、リオデジャネイロという都市に流れる〈時〉、ブラジル、ポルトガル、リオの詩人や人々にとって神聖な言葉「サウダーヂ」(郷愁)の意味を読み解く。


目次

序 リオデジャネイロに降る雪  

第1章 魔法使いの国の掟 マヌエル・バンデイラと幼年時代    
Ⅰ 至福の時は忘却のなかからよみがえる
Ⅱ 詩人たちは意のままに幼年時代を見出そうとする
Ⅲ 詩は魔法を言葉によって失い言葉によって取り戻す
Ⅳ もっとも偉大な魔法使いはみずからをも欺く魔法使いである

楽園の日常  

第2章 儚いものと永遠のもの セシーリア・メイレーリスと過ぎ去る女  
Ⅰ 絶えず逃げ去ろうとするものが永遠と出会う
Ⅱ 詩は一瞬を永遠のものにすることができる
Ⅲ 儚く失われるものが美しいものとして現れる
Ⅳ 過ぎ去ることが永遠に留まることでもある

美しい季節の終わりの花嫁  

第3章 前夜祭の予感 ヴィニシウスとカーニヴァル  
Ⅰ 祭りのなかで悲しみとよろこびはひとつである
Ⅱ 祭りの直中にあるときそれについて語ることはできない
Ⅲ 祭りの日々とは祭りに先立つ日々である
Ⅳ 祭りを待ち望むよろこびが悲しみのなかで語る

愛はそれが続いているあいだは永遠である  

第4章 言葉と幽霊 マヌエル・バンデイラと憑依  
Ⅰ あらゆる作家はみずからの幽霊作家である
Ⅱ 死を想う者は生きながらすでに幽霊として存在する
Ⅲ 言葉を知らない者はまた死をも知らない
Ⅳ 生とは未来の亡霊としてみずからに憑依することである

カーニヴァルの遠い響き  

第5章 見出されぬ時 ドゥルモンと無意志的記憶  
Ⅰ おまえひとりは生き存えてこの物語を語り伝えよ
Ⅱ 証言することができない者が真の証人である
Ⅲ すべてが廃墟となったあとに記憶という建物が残る
Ⅳ 途方もない惨劇の証言となるのは証言の不在である

コパカバーナ海岸の緩やかな弧  

第6章 人魚姫の叶わぬ恋 セシーリア・メイレーリスと沈黙  
Ⅰ 声を失った人魚姫は海の泡となって消える
Ⅱ 語り伝えられないことがもっとも重い悲劇である
Ⅲ 純粋な悲劇ほど証人を持つ可能性は小さくなる
Ⅳ 言われた言葉や開かれた言葉は空気のうえの空気でしかない

最初で最後のまなざしで落ちる恋  

結 失われた幸福な結末を求めて 
 
 註 
 謝辞


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