慶應義塾大学東アジア研究所叢書
朝鮮半島の秩序再編
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-2016-6 C3331
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬
▼朴槿恵、金正恩政権下の朝鮮半島はどこへ向かうのか?
南北朝鮮と周辺国の新しいリーダーによる地域秩序の再編はどのような形になるのか。
政権交代期の朝鮮半島をめぐるアジア秩序を解き明かすアクチュアルな一冊。
▼2012年、北朝鮮で金正恩政権が誕生、韓国では朴大統領が政権につき、その任期中には戦時作戦統制権が米軍から韓国軍に返還されることが予定されている。また米国のオバマ大統領再選や中国の習主席就任、日本では安倍政権の誕生など周辺各国でも大きな動きがみられる。
▼この変革期における朝鮮半島情勢を、1990年代後半から今日までを視野において分析し、変革後の秩序再編の方向性について、政治・経済・国際関係の各分野の研究者が展望する。
【編著者】
小此木 政夫(おこのぎ まさお)
九州大学特任教授、慶應義塾大学名誉教授。
西野 純也(にしの じゅんや)
慶應義塾大学法学部准教授。
【執筆者】(掲載順)
阪田 恭代(さかた やすよ)
神田外語大学外国語学部教授
1966年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要業績:『ゼロ時代 日本の重大論点―外交・安全保障で読み解く』(共著、柏書房、2011年)、The U.S.-Japan Security Alliance (共著、Palgrave Macmillan, 011)、ほか。
磯﨑 敦仁(いそざき あつひと)
慶應義塾大学法学部専任講師
1975年生まれ。同大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要業績:『北朝鮮と人間の安全保障』(共編著、慶應義塾大学出版会、2009年)、『北朝鮮入門』(共著、東洋経済新報社、2010年)、ほか。
三村 光弘(みむら みつひろ)
公益財団法人環日本海経済研究所調査研究部長兼主任研究員
1969年生まれ。大阪大学大学院法学研究科博士後期課程修了。
主要業績:『経済から見た北朝鮮―北東アジア経済協力の視点から』(共編著、明石書店、2010年)、「朝鮮民主主義人民共和国における経済政策実現手段としての法とその整備過程」『アジア法研究2009』、ほか。
今村 弘子(いまむら ひろこ)
富山大学極東地域研究センター教授(センター長)
1952年生まれ。東京大学教養学科アジア科卒業。
主要業績:『中国から見た北朝鮮経済事情』(朝日新聞社、2000年)、『北朝鮮「虚構の経済」』(集英社、2005年)、ほか。
平岩 俊司(ひらいわ しゅんじ)
関西学院大学国際学部教授
1960年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。
主要業績:『朝鮮民主主義人民共和国と中華人民共和国―「唇歯の関係」の構造と変容』(世織書房、2010年)、『朝鮮半島と国際政治――冷戦の展開と変容』(共編著、慶應義塾大学出版会、2005年)、『経済発展と民主革命―1975-1990年』(共著、岩波書店、2011年)、ほか。
李 成日(り ちぇんる/Li, hengri)
中国社会科学院亜太與全球戦略研究院助理研究員
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。
主要業績:『中国の朝鮮半島政策―- 自主外交と中韓国交正常化』(慶應義塾大学出版会、2010年)、「中国の朝鮮半島政策と中韓関係」『法学研究』(第83巻12号、2011年)、ほか。
崔 喜植(ちぇ ひしっく/Choi, Hee Sik)
国民大学国際学部助教授
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了、博士(法学)。
主要業績:『歴史としての日韓国交正常化Ⅱ――植民地化編』(共著、法政大学出版局、2011年)、「もう一つの日韓関係―国交正常化後の多国間関係における日韓関係」『現代韓国朝鮮研究』(第10号、2010年)、ほか。
李 泳采(い よんちぇ/Lee,Young Chae)
恵泉女学園大学人間社会学部国際社会学科准教授
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要業績:『なるほど!これが韓国か―名言・流行語・造語で知る現代史』(共著、朝日新聞社、2006年)、『朴正煕 動員された近代化――韓国、開発動員体制の二重性』(監訳・解説、彩流社、2013年)、ほか。
倉田 秀也(くらた ひでや)
防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要業績:『朝鮮半島と国際政治――冷戦の展開と変容』(共編著、慶應義塾大学出版会、2005年)、『膨張する中国の対外関係――パックス・シニカと周辺国』(共著、勁草書房、2010年)、ほか。
目次
はじめに――日韓関係の新しいイニシアティブ 小此木政夫
第Ⅰ部 李明博政権から朴槿恵政権へ
第1章 朴槿恵政権の政治と外交
――第18代大統領選挙を通して見る韓国の課題 西野純也
はじめに
Ⅰ 大統領選挙戦を通して見る内政の課題
Ⅱ 大統領選挙公約を通して見る外交安保政策
おわりに
第2章 「グローバル・コリア」と米韓同盟
――李明博政権時代の同盟変革 阪田恭代
はじめに
Ⅰ 李明博政権の「グローバル・コリア戦略」
――新しい国家像と同盟ビジョン
Ⅱ 米韓同盟の変革――「未来ビジョン」と「21世紀包括的戦略同
盟」
おわりに
第Ⅱ部 金正恩政権の登場と経済的課題
第3章 第3回朝鮮労働党代表者会における金正恩公式化と「先軍」
の継続意思 礒﨑敦仁
はじめに
Ⅰ 党代表者会の招集と「先軍」
Ⅱ 党代表者会の開催と「先軍」
おわりに
第4章 北朝鮮の新政権の経済政策と今後の北朝鮮 三村光弘
はじめに
Ⅰ 北朝鮮経済の規定要因――その普遍性と特殊性
Ⅱ 北朝鮮経済の歩み
Ⅲ 金正日体制の成立と経済改革の開始
Ⅳ 経済改革と社会の変化
Ⅴ 金正恩体制最初の1年の政策
おわりに
第5章 北朝鮮の経済―変革か改革か 今村弘子
はじめに
Ⅰ 北朝鮮経済の現状
Ⅱ 対外経済関係と北朝鮮経済
Ⅲ 北朝鮮経済の展望
おわりに――改革はあり得るのか
第Ⅲ部 秩序再編をめぐる国際政治
第6章 北朝鮮の対南姿勢
――李明博政権の「非核・開放・3000」構想と南北関係
平岩俊司
はじめに
Ⅰ 「非核・開放・3000」と北朝鮮――南北関係の綻び
Ⅱ 李明博政権批判と南北関係の破綻
Ⅲ 北方限界線をめぐる緊張
Ⅳ ミサイル発射実験による国際的孤立と南北関係
おわりに――哨戒艦沈没事件と延坪島砲撃事件
第7章 脱冷戦期における中国の対北朝鮮影響力の変化への考察
李成日
はじめに
Ⅰ 中韓国交正常化と中朝同盟関係の変容
Ⅱ 中韓国交正常化以降の中朝関係の沿革
Ⅲ 中国の対北朝鮮影響力の変化
Ⅳ 中国の北朝鮮政策要因の多元化
おわりに
第8章 日本の政治変動と対北朝鮮政策 崔喜植
はじめに
Ⅰ 冷戦期の日本の政治変動と対北朝鮮政策
Ⅱ 脱冷戦期の日本における北朝鮮問題の変化
Ⅲ 2000年代の日本の政治変動と対北朝鮮政策
おわりに
第9章 日朝国交正常化と東北アジアの秩序変化
――その決定要因と影響を中心に 李泳采
はじめに
Ⅰ 歴史的アプローチとしての日朝関係
Ⅱ 日朝関係の主な決定要因と四つのシナリオ
Ⅲ 日朝国交正常化と東北アジアの国際秩序への影響
おわりに
第10章 六者会合と「安全の保証」の地域的展開
――米国の核態勢と北朝鮮「核保有」の修辞 倉田秀也
はじめに――米国の核兵器政策と北朝鮮
Ⅰ 安全の保証の包括性と拘束力
――「先制行動論」の中の「6月提案」
Ⅱ 六者会合共同声明と安全の保証――核放棄との条件関係
Ⅲ 安全の保証なき核放棄の模索
――「2・13合意」と核実験後の条件関係
Ⅳ 「核なき世界」と「朝鮮半島の非核化」
――「同期化」と「逆利用」
おわりに――「核なき世界」と六者会合の劣化
索 引
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