日本の家計行動のダイナミズム[Ⅸ] ―家計パネルデータからみた市場の質
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-7664-2046-3 C3333
奥付の初版発行年月:2013年06月 / 発売日:2013年06月下旬
家計行動の構造を分析するシリーズ第9弾。
▼大規模なパネルデータを用いて人々の意識と暮らしの変化を追跡・分析する「慶應義塾家計パネル調査」(KHPS:Keio Household Panel Survey)を使用した家計パネル調査研究9年目の成果を発信。
▼本書は、<KHPS調査2012年の概要と2012年追加サンプルについての検証>、<主に労働市場の質から見た、就労・家庭内労働・結婚の分析>、<出産・子育てと就労行動の分析>、さらに<KHPSと2011年度に実施した「東日本大震災に関する特別調査」を活用した各種の分析>の4つのパートから成る。
▼世界金融危機、東日本大震災と原発事故、欧州金融危機など、さまざまな環境変化やショックを経験した家計行動の変容に伴う「市場の質」の変化に着目することで、質の高い政策論議に貢献する。
(執筆順。所属・肩書は2013年6月30日現在)
【編者】
瀬古 美喜(せこ みき)序章・10章執筆/武蔵野大学政治経済学部教授・慶應義塾大学名誉教授
照山 博司(てるやま ひろし)序章・8章・9章執筆/京都大学経済研究所教授
山本 勲(やまもと いさむ)序章執筆/慶應義塾大学商学部准教授
樋口 美雄(ひぐち よしお)序章執筆/慶應義塾大学商学部教授
【執筆者】
坂本 和靖(さかもと かずやす)1・2章執筆・調査票集計/群馬大学社会情報学部准教授
小林 徹(こばやし とおる)1・3章執筆/慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程・元慶應―京大連携グローバルCOEプログラム研究員
萩原 里紗(はぎわら りさ)1・4章執筆/慶應義塾大学商学部助教(有期)・慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程
曺 成虎(ちょ そんほ)1・5章執筆/大阪商業大学JGSS研究センターPD研究員
何 芳(か ほう)1・6章執筆/慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程・元慶應―京大連携グローバルCOEプログラム研究員
石野 卓也(いしの たくや)1・10章執筆/金沢星稜大学経済学部講師
深堀 遼太郎(ふかほり りょうたろう)1章執筆/慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程・日本学術振興会特別研究員
佐藤 一磨(さとう かずま)3章執筆/明海大学経済学部専任講師
柴田 章久(しばた あきひさ)7章執筆/京都大学経済研究所教授
Raymo, James(レイモ、ジェームズ)7章執筆/ウィスコンシン大学マディソン校社会学部教授
松浦 司(まつうら つかさ)8章執筆/中央大学経済学部准教授
木村 匡子(きむら まさこ)9章執筆/名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授
佐々木 公明(ささき こうめい)11章執筆/尚絅学院大学学長
横井 渉央(よこい たかひさ)11章執筆/東北大学大学院情報科学研究科助教
目次
はしがき
序 章 本書の目的と概要
瀬古美喜/照山博司/山本勲/樋口美雄
第1節 本書の目的
第2節 本書の概要
第Ⅰ部 KHPSの標本特性
第1章 東日本大震災前後における家計行動の変化
――KHPS2012調査から
坂本和靖/石野卓也/萩原里紗/曺成虎/小林徹/何芳/
深堀遼太郎
第1節 はじめに
第2節 2012年調査の概要と回答状況
第3節 景気変動と家計行動――2012年調査結果から
1 生活と就業
2 学びの活動
3 生活習慣と健康状態
4 資産・負債
5 世帯収入と消費支出
6 住宅
第4節 おわりに
第2章 KHPS2012 新規対象サンプルの標本特性
坂本和靖
第1節 はじめに
第2節 調査の実施方法
1 調査の内容
2 標本設計
3 調査の実施
第3節 2012年新規対象サンプルの標本特性
1 回収状況
2 主な項目への回答率
3 KHPSと他の統計調査との比較
第4節 おわりに
第Ⅱ部 就労・家庭内労働・結婚(査読論文)
第3章 自己啓発の実施と再就職・失業・賃金
小林徹/佐藤一磨
第1節 問題意識
第2節 先行研究
第3節 データ
第4節 自己啓発の実施と再就職・失業・賃金の関係
第5節 推計手法
1 自己啓発の実施に関する推計手法
2 自己啓発の実施が再就職・無業化抑制・賃金に及ぼす影響に関す
る推計手法
第6節 推計結果
1 自己啓発の実施に関する推計結果
2 自己啓発の実施が就業に与える影響の推計結果
3 自己啓発の実施が賃金に与える影響の推計結果
第7節 結論
第4章 労働時間制度が主観的厚生に与える影響の考察
萩原里紗
第1節 はじめに
第2節 データ
第3節 現状分析
1 労働時間制度の種類別構成比
2 制度間の移行確率
3 労働時間制度別の主観的厚生
4 労働時間制度別にみた正規労働者の属性
5 各労働時間制度下における労働時間の長さ
第4節 労働時間制度と主観的厚生との理論的関係と実証方法
第5節 推定結果
1 心身症状指標
2 主観的健康度
3 仕事の充実度・満足度
第6節 おわりに
第5章 家庭内労働と男女間の賃金格差
曺成虎
第1節 はじめに
第2節 理論モデル
第3節 先行研究
第4節 計量モデル
1 家庭内労働と賃金
2 賃金格差の要因分解
第5節 データおよび変数
第6節 分析結果
1 頑健性のテスト
2 家庭内労働と賃金
3 賃金格差の要因分解
第7節 まとめと政策的インプリケーション
第6章 男女比の変化と未婚女性の結婚行動
――メイトサーチモデルに基づく実証分析
何芳
第1節 はじめに
第2節 先行研究および本章の特徴
1 先行研究のサーベイ
2 本章の特徴
第3節 データおよび予備的観察
1 利用するデータ
2 マクロデータからみた日本の結婚市場
3 KHPSとJHPSによる観察
第4節 実証分析
1 推定手法
2 説明変数の設定
3 推定結果
――女性の結婚タイミングに関するCox比例ハザード分析
第5節 結論
第Ⅲ部 出産・子育てと就労行動
第7章 男女の経済的リスクの変動が出生率に及ぼす影響について
柴田章久/ジェームズ・レイモ
第1節 はじめに
第2節 経済的リスクと出生行動
第3節 経済的リスクと出生率
第4節 おわりに
第8章 子ども数が生活満足度に与える影響
――KHPSを用いた検証
松浦司/照山博司
第1節 はじめに
第2節 先行研究のサーベイ
1 海外における先行研究
2 日本における先行研究
第3節 生活満足度と子ども数――再考
第4節 データについて
1 データの特徴と変数について
2 生活満足度と子ども数――概観
第5節 実証分析
1 基本推定
2 ライフサイクル的視点
3 子育ての時間的負担
第6節 結語
第9章 転職の誘因と転職による賃金変化
――KHPSを用いた検証
木村匡子/照山博司
第1節 はじめに
第2節 転職による賃金変化率の分布
第3節 労働者の転職誘因
第4節 転職と仕事の満足度
第5節 転職と年功賃金
第6節 おわりに
第Ⅳ部 震災と日本社会の価値観の変容
第10章 東日本大震災後の自然災害に対する備えの意識の推移
石野卓也/瀬古美喜
第1節 はじめに
第2節 データ
第3節 実証分析
第4節 結論
第11章 東日本大震災と日本人の価値観の変容
佐々木公明/横井渉央
第1節 はじめに
第2節 アンケート集計結果
第3節 分割表による分析
1 価値観の変容
2 不安や恐怖の変化
3 復興支援額の差異
4 消費の自粛行動
第4節 結論
付録 調査票
索 引